昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカでカリフォルニア州とテキサス州を中心に不動産セールスエージェントとして働く佐藤です。
よくテレビや新聞で米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、金利の上げ下げで騒がれることがあります。
「FRBが政策金利引き上げ、年内あと1回の利上げ見込む」
「米FRB:金利据え置き 利上げ方針は変更なし」
「長期金利、小幅に上昇 FRBが利上げ、物価・経済見通しは据え置き 」
などなど、さも政策金利が大きな問題であるかのように書かれており、金利の何たるかをこれから学ぶ方々にとっては小難しくて「まあ、何かしら重大な問題なんだろう」くらいの認識でいらっしゃるかもしれません。
実際にFRBの金融政策は何にどう影響するのでしょうか?
本日は不動産購入にも大いに影響してくる米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策についてお伝えさせて頂きます。
米連邦準備制度理事会(FRB)はアメリカの銀行の中心
FRSとFRBの二つの言葉がやや混同されがちですので最初に整理すると、
FRSとは:
Federal Reserve System、連邦準備制度。アメリカ合衆国の中央銀行制度という制度そのものを差します。他国にも中央銀行は存在しています。
FRBとは:
FRBという言葉には厳密には二種類あります。
Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)
Federal Reserve Bank(連邦準備銀行)
前者のFederal Reserve Board(連邦準備制度理事会)が後者のアメリカ主要都市に散らばるFederal Reserve Bank(連邦準備銀行)を統括しています。
一般的には「FRBが政策金利引き上げ、年内あと1回の利上げ見込む」などの新聞の見出しが出た際のFRBとは前者の大元締め、Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)のことを差しています。理事会が金利の上げ下げを決定し、各主要都市の連邦準備銀行がそれを実行しているのです。
金利の影響を直接受けるのはアメリカの銀行
そこで邦準備制度理事会の決定で連邦準備銀行が金利の上げ下げを実施するわけですが、この金利は誰にどんな影響を与えるのでしょうか?
中央銀行制度という名の如く、連邦準備制度はアメリカ合衆国の銀行を統括しています。そしてここが重要ですが、実は各銀行は自己資金のみで運営しているわけではなく(連邦準備制度理事会により動かされる)連邦準備銀行からお金を借りているのです。銀行が銀行からお金を借りているというこの構図。つまり各銀行にとって、邦準備制度理事会は頭の上がらない存在であり、この縁なくしてアメリカ合衆国で銀行を営業することそのものが出来ない構図になっているのです。
(正確にはちょっと違いますが、それは明日の項で)
そしてお金を借りるということは、当然そこには利子がついてきます。このアメリカの銀行が連邦準備銀行から借用する際の金利(貸金・預金に対する利子)のことをDiscount Rate(ディスカウント・レート)と呼びます。ディスカウントとは耳障りのいい言葉ですが、本当の意味は全くその反対で各銀行にとっては連邦準備銀行からの借金返済額に影響してくる重大な問題なのです。
例えばある銀行が連邦銀行から1兆円を借りたとします。金利が1%上昇した場合、その銀行が連邦準備銀行に返済するべき利子は100億円も多くなってしまう計算となりますから、各銀行にとっては金利政策は最も大きな問題といっても過言ではなく、この金利の上げ下げに踊らされてしまうのは銀行の運命ともいえるのです。
(正確にはちょっと違いますが、それは明日の項で。。)
銀行の本業の一つは企業や個人にお金を貸すことであり、利子として多めに返してもらうことで儲けを出しているわけですが各銀行は民間企業として存続していくためには利益を出し続けなければなりませんから、邦準備制度理事会の金利政策で金利が上昇した場合、当然ながら銀行が企業や個人に貸し出す金利も上昇させねばならないのです。
そして儲けを出すためには必然的に、各銀行が企業や民間企業に貸し出す際の金利は邦準備制度理事会が定めるDiscount Rate(ディスカウント・レート)よりも高めに設定されていることになります。
例えばA銀行の場合、邦準備制度理事会が定める金利が1.5%であれば、企業や個人に貸しだす際の金利を2.5%に設定する一方、B銀行が企業や個人に貸し出す際の金利は3.5%かもしれません。いずれにせよ、銀行にとっては企業や個人に貸し出す際の金利と邦準備制度理事会が定める金利との差額が儲けになってきますから、儲けを出しつつも極力顧客目線でよいサービスを展開しながら、かつ利子を上げすぎないように調整することにお互いしのぎを削っているわけです。
かくして企業や個人は邦準備制度理事会の決定を間接的ながらも、その影響を確実に受けてしまうことになります。
まとめ
今日の項はいかがだったでしょうか。
金利についてはもっと複雑な側面がありますが、さしあたり表面的ながらも金利が何たるかについてお伝えさせて頂きました。このようにして米連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策は各銀行を直撃し、企業や個人に貸し出される際の金利に影響し、企業の設備投資増減等に大きくかかわり、ビジネスの活性化に影響して結果として私たち市民の生活に影響することとなります。
そして不動産という側面においては多くの人々がローンを組んで物件を購入していますから、不動産投資家や不動産をローンで購入する一般の方々にとっても米連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策は常に注目するべき(せざるを得ない)ものなのです。
この金利については今後も度々、本ブログで情報を共有させて頂きたいと思います。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。