こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
ご存知のとおり世の中の流通は需要と供給で成り立っています。
「うまいコーヒーが飲みたい!」
という消費者の需要があるから、ドトールコーヒーやルノアールのような珈琲店が供給者として繁盛し続けますし、
「豪華じゃなくても安く泊まれればいい!」
という潜在需要があったから、Airbnbのような民泊システムがひと度供給者として登場すればブレークしたのです。
このようにあらゆる市場は需要と供給、欲する者とそれを満たす者とのバランスで成り立ち、お金が行き交っています。
それでは不動産市場の需要と供給はどんな要素で成り立っているのでしょうか?
ごく基本的なことではありますが、とりわけ不動産投資に興味がある方はすべからく理解しておくべき不動産市場の需要と供給についてお伝えさせて頂きます。
Uniqueness(独自性)とImmobility(不動性)
不動産市場の需要と供給は本質的に常にUniqueness(独自性)とImmobility(不動性)に影響されます。これは他の市場には見られない不動産市場の特徴です。
不動産におけるUniqueness(独自性)
「二つとして同じ不動産物件は存在せず、かつそれぞれが特有の地理的位置に建つ」
という前提を不動産市場におけるUniqueness(独自性)といいます。
家はそれぞれが独特の外観をなし、また内装も家によって一つとして同じものはありません。
アパートやマンションであれば同じ間取りの部屋ばかりというケースもあろうかと思いますが、それでも端っこの部屋は窓が多かったり内装は全く違ったりするものです。
これが一戸建て住宅となるといよいよ世の中に同じものは存在せず、それぞれが独特の外観と間取りをもつのです。
また仮に建売住宅で全く同じ外観と間取りの家があったとしても、同じ土地に二つ以上の家が重なって建つということは物理的にあり得ません。全ての建物は独自の土地の上に建つ、世の中で唯一無二の建物なのです。
このことを不動産のUniqueness(独自性)といいます。
不動産におけるImmobility(不動性)
一方で
「物件は高い需要があっても供給が乏しい地域に自ら移動することはできず、かつ物件購入者は供給度の高い地域に向けて移動しづらい」
という前提を不動産におけるImmobility(不動性)といいます。
例えば極めて品質の高い大人気のお弁当があったとします。販売業者は通常はたくさんのオフィスが入るビルの玄関前でお昼時にお弁当を販売してバカ売れ。けれども土日にはオフィスビルは閑散として売れないません。それでも販売業者は土日は人が多く集まる公園の前に行けば、通常日と変わらない売上を達成できる可能性が高くなります。
ところが不動産の場合は売れないからといって家が需要のある場所に移動するということは不可能であり、どうしても建てられた場所に縛られてしまいます。
また家の購入希望者も通常は家を選ぶ前に暮らす場所を選びます。仕事先に近い住居を探すかもしれませんし、子供のことを考えて良質な教育が受けられる地域を選ぶかもしれません。
この場合はどの地域に暮らすか?という前提が先にくるものの、暮らしたい場所に十分な住居がない(供給が少ない)ことも考えられるのです。
このように不動産物件そのものが需要のある場所に移動できない、また購入者が不動産物件という供給に合わせ動けない(引っ越しができない)ことをImmobility(不動性)といいます。
これら二つの要素がある為に、不動産市場は常にLocal Market(地域市場)としてみなさねばならず、局地的な範囲の市場が各地に分散しているというイメージで不動産市場を理解する必要があるのです。
不動産市場は需要と供給にゆっくりと反応する
株式市場は需要と供給の動きが最も激しくかつ需要と供給への反応が最も早い市場ですが、これとは正反対に不動産の場合は需要と供給にはゆっくりと反応する性質があります。
たくさんの住宅が建てられている地域でもその地域の建物の購入希望者が少ない場合、これは供給過多で需要過小ですから求める人が少ない以上は住宅価格はどうしても低くなってしまいます。しかもその地域の人口が急激に増えるような何かしらの理由がない限り、供給過多と需要過小は早々には解決しません。
その一方で物件購入希望者が多い地域に住宅そのものが少ない場合はどうでしょうか。この場合は供給過小で需要過多であると同時に不動産物件というハコモノはその建設に多くの手間と時間がかかってしまいますから、どうしても供給が需要に追いつくにはそれなりの期間を要するのです。
これらの要素から、不動産市場はその需要と供給にゆっくりと反応するという本質があります。
まとめ
このように、不動産市場を理解する上で大切なのはまず
- Uniqueness(独自性)
- Immobility(不動性)
この二つが市場に大きく影響するということ、そして不動産市場の流動性は低く不動産市場は需要と供給にゆっくりと反応していくという本質を押さえる必要があります。
しかしながら不動産市場はゆっくりと反応するという意味では「結構な確率でその地域の不動産市場を予測することが可能」ということです。
少なくとも株式市場で起こり得る乱高下は不動産市場ではそうそう起こりませんから、慎重に慎重を重ねて長期投資を行いたい方には株式投資よりも不動産投資の方が向いている、という理屈になります。
(佐藤はまさにこのタイプ)
またある程度市場の先が読めるとはいっても、今夏ヒューストン市に大きな被害を与えたハリケーン「ハービー」等の天災はこの限りではなく、このようなハリケーンや地震の天災は不動産市場を大きく変えてしまうものです。
(ヒューストン市の経済復興は3〜5年かかると言われています)
また国全体の金融政策、あるいはその地域の大工場の閉鎖等もLocal Market(地域市場)である不動産市場には大きく影響してくるものです。
これら不動産市場に大きな影響を与えてくる要素については明日に続けさせて頂きます。
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