こんにちは。アメリカでカリフォルニア州とテキサス州を中心に不
昨日はある特定の目的で他人の土地を合法的に使用できる権利Easement(イーズメント:地役権)と
- 土地を使用させてもらう側:Dominant tenement(ドミナント テネメント:要役地)
- 土地を使用させてあげる側:Servient tenement(サービエント テネメント:承役地)
についてお伝えさせて頂きました。
陸続きの二つの土地でそれぞれの土地に対し別々の所有者が存在する場合、状況によっては一方の所有者が他方の所有者に土地の一部利用に便宜を図って上げる必要が出てきます。
「お隣さんの土地を通る道からでないと、公道に出られない」
等は典型的な例ですが、お互いの合意の上で他者に土地の一部を使わせて上げるこのEasement(イーズメント:地役権)はEasement Appurtenant(イーズメント アパーテナント:付属地役権)として不動産権の付属的存在となり、所有者から所有者に引き継がれていくのです。
本日はEasement(イーズメント:地役権)の種類について、もう少し深掘りしてお伝えさせて頂きます。
Creating an Easement(クリエイティング アン イーズメント:地役権の制定)
Easement(イーズメント:地役権)の権利を書面による同意で制定する行為をCreating an Easement(クリエイティング アン イーズメント:地役権の制定)といい、通常は一方が土地を所有して他方がその土地の一部を使用させてもらうという、別々の両者が存在して初めて成立します。
しかしながらこの双方の同意によらずともEasement(イーズメント:地役権)が成立する場合が二つあり、それぞれ
- Easement by Necessity(イーズメント バイ ネセシティ:必要地役権)
- Easement by Prescription(イーズメント バイ プリスクリプション:取得時効地役権)
と呼ばれています。
Easement by Necessity(イーズメント バイ ネセシティ:必要地役権)
ある土地の所有者がその土地の一部を売却するけれども、その売却した土地は売り主の残りの土地にぐるっと囲まれており公道に出ることが出来ない。。
このような状況では明らかに買い主にとっては売り主の土地の一部を使用するNecessity(ネセシティ:必要性)が出てきます。このような必要性に応じてEasement(イーズメント:地役権)を制定することをEasement by Necessity(イーズメント バイ ネセシティ:必要地役権)と呼び、通常は裁判所の手続きを通してきちんとした権利を制定することになります。
「買い主は自分が購入した土地へ出入りする必要があり、出入り権は必須となる」
という、議論の余地のない裁判所が認める強い権利となります。
売り主が買い主の為に便宜を図ってあげるというよりも、自身の土地に囲まれた土地を他者に売却するのであれば公道への出入り用に土地を使わせてあげることは必須、というニュアンスです。
もっぱら普通はそのような持ち主の土地に囲まれた土地を購入するのであれば、売り主と買い主の間で売却後に売り主の土地を通って公道への出入りを行うことは契約前に口約束が最初に交わされるはずですが、この権利をEasement by Necessity(イーズメント バイ ネセシティ:必要地役権)として裁判所を通してきちんと制定して後から話が変わることのないように手続きをするわけです。
Easement by Prescription(イーズメント バイ プリスクリプション:取得時効地役権)
Easement(イーズメント:地役権)を制定する中で最も遺恨を残しやすいのがこのEasement by Prescription(イーズメント バイ プリスクリプション:取得時効地役権)です。
ちょっと乱暴な表現で説明すると、
「他者の土地を州が定める一定期間使用し続けた場合、その土地は自分の所有となる」
このことをEasement by Prescription(イーズメント バイ プリスクリプション:取得時効地役権)といい、取得が認められる時効(対象の土地を使用し続ける期間)は10年〜21年となります。また時効と同時にこの地役権が成立する為の条件は
- 土地取得要求者は時効成立期間中、その土地を使い続けていたこと
- 時効成立までの期間において、土地の所有者もその土地や建物を使用しようと思えば可能であったこと(土地の所有者が明らかに他者の使用を確認できる状態であったこと)
- さりとて、土地の所有者は他者による使用を認めていたわけではないこと
です。
10年から21年もの間、他者に自分の土地を使うことを許し続けていたとはよほど呑気な所有者であろうとは思いますが、このようなパターンは田舎の広い土地であれば起こり得るかもしれませんね。。
確かに、上記の条件で10年以上も継続的に使用していたのであれば「地主も認めていたも同然であり、その土地は譲らねばならない」と判断されても不自然ではないかと思います。
Easement in Gross(イーズメント イン グロス:公益法人地役権)
個人或いは法人が公共利用の目的で他者の土地を利用する権利をEasement in Gross(イーズメント イン グロス:公益法人地役権)といいます。
例えば自分の土地の上を通る電線、鉄道が走る地面上の線路、あるいは地域の家に水を供給する地中の排水管等は誰か特定の個人や法人ではなく、不特定多数に利用される公共の目的で敷設され、それらはEasement in Gross(イーズメント イン グロス:公益法人地役権)という不動産権の中で他者に使用を認めるものです。
ただし法人と個人が持つEasement in Gross(イーズメント イン グロス:公益法人地役権)には違いがあり、法人の場合はその権利を売却・譲渡・相続できる一方で個人の場合は譲渡は出来ない決まりとなっており、個人の場合は通常その個人所有者が亡くなった際にEasement in Gross(イーズメント イン グロス:公益法人地役権)も同時に消滅する形となります。
Terminating an Easement(ターミネーティング アン イーズメント:地役権の終結)
ここまでEasement(イーズメント:地役権)の種類をお伝えさせて頂きましたが、これら制定されたEasement(イーズメント:地役権)は然るべき手続きを踏まないとその権利が恒久的に継続されることになります。
その権利が終結される条件は
- 地役の必要性そのものがなくなった時
- 土地を使用させてあげる側、あるいは土地を使用している側が他方の土地も取得して所有者が一人になった時
- 土地を使用させてもらう側が法的に手続きをして地役権を手放した時
- 土地を使用させてもらう側が法的に手続きをして地役権を停止した時
- Easement by Prescription(イーズメント バイ プリスクリプション:取得時効地役権)で取得した土地が使用されなくなった時
のいずれかです。手続きを踏まない限り地役権は継続される、というのがポイントとなります。
まとめ
土地の利用には様々なパターンがあります。
ほとんどの場合は自分が購入した土地内で事は収まるはずですが、とりわけRural(農村、田園)と呼ばれるような地域ではその土地の広さからしばしばEasement(イーズメント:地役権)の問題が出てきます。
またEasement in Gross(イーズメント イン グロス:公益法人地役権)については都市で一戸建てやコンドミニアムを購入する方にも起こり得ることですが、こちらは政府が認めた公共の目的である以上は拒否することも出来ませんので何ら拒否する行動を起こすことはできません。(そして通常は不快に感じるものではないはず)
とりわけ広い土地を購入するような場合はその周囲の土地とどのような影響があるのかをよく精査する必要があり、場合によっては相手側との話し合いによりEasement(イーズメント:地役権)を定める必要が出てくるのです。
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