こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産コンサルティングとしてご相談を頂く中で日本人投資家の方々から様々なご相談を頂きますが、
長年不動産投資をされているベテランの方々でも案外気に止めていない、不動産投資の成否を大きく左右する初期段階の法則があります。
いや、むしろ資金に余裕がある方ほど脇が甘くなってしまい見逃しがち(あるいは気にもとめない)といってもいいかもしれません。
その法則とは
「物件は提示価格(売り主の言い値)で買ってはいけない」
ということです。
このことは言いすぎても言い過ぎることはありませんので、私(佐藤)もコンサルティングの際は度々投資家さんにお伝えさせて頂くのですが、リスティングに上げられている物件のAsking price(提示価格)とはあくまで
「売り主の意見」
であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
インターネット上でリスティング価格を見る時には
「高いなー、でもいい家だなー。」
「おっ、これは安いな〜。これなら買えるかな。」
と見ていきがちなもの。
ところがこのように「高いなー、安いなー」の感想をもつこと自体、すでに物件価格に囚われてしまっているのです。
Asking price(提示価格)はアメリカの不動産規定にそって算出された価格でもなく、交渉の余地がないFixed Price(固定価格)でもありません。
はっきり言えば、「Asking price(提示価格)は無視してよい」のです。
人はお金で感情が揺さぶられる
またアメリカでの不動産購入の定石としても「Asking price(提示価格)は無視してよい」のですが、無視しなくてはいけないもう一つの理由は
「人はお金で感情が揺さぶられる」
という事実があるからです。
日常生活では100円、1,000円単位のお金をお財布から出すのは当たり前なので何とも思わないわけですが、
十万円、百万円単位になるとそれなりに緊張し、これが一千万円以上になると完全な非日常として無意識にも感情が絡んでくるもの。
面白いもので、正の感情も負の感情も金額の高に相応して大きくなるのが人の心というものです。
そうすると、不動産などという軽く一千万円を超える買い物では良くも悪くも感情が伴わないはずがありません。だからこそ、物件の提示価格に囚われてしまうと最初から感情を握られてしまい、実際の取引が始まると売り主との販売価格のやりとりに翻弄され、
「この物件を買いたい!」という願いが強ければ強いほどあたかも売り主との駆け引きが全てであるかのように思い違いしてしまい、「この物件を誰か他の人に取られるくらいなら。。」と妥協して割高に購入価格を払ったりしてしまうのです。
余談ですが、本当にお金を持っている人たち(いわゆるお金が集まってくる人たち)はどんな時でもお金に感情を左右されない姿勢が一貫しています。
仮に周りに誰の目もない部屋の中のテーブルに札束の山が置かれていて、ひと束くらい抜いても絶対に気づかれなかったとしても彼らはそこに手をつけることは絶対にないだろうと思います。
目に見えないお金の法則性を肌身で理解しているからともいえますが、本来自分に属さないお金を懐に入れてしまうと後からロクなことが分かっているからです。
ただしお金で感情を揺さぶられないことと脇が甘いこととは別の話。不動産物件購入に関しては物件価格についてあまり深く考えず、提示価格そのままで購入する富裕層が結構いらっしゃいます。
いくら富裕層でもよほどのレベルでなければはした金ということはないはずですし、このあたりは富裕層の方に対してもお節介ながら私(佐藤)の方で提示価格そのままで購入しないようにアドバイスさせて頂いています。
物件価格に関する3箇条
そこでアメリカで不動産を購入する場合の最も大切な物件購入価格については下記の3つにまとめられます。
- 売り主の提示価格とあなたが購入するべき金額は無関係
- 自分で物件の価値を定めること。それがあなたからのオファー(申し出価格)になる。
- 複数の戸をもつ物件の場合、その物件価値は現在のキャッシュフロー
これらの詳細を簡単にまとめさせて頂きます。
売り主の提示価格とあなたが購入するべき金額は無関係
これは前述のとおりですが、リスティングに出されている提示価格はあくまで売り主の意見であり、その価格は通常高く設定されています。
アメリカの商習慣として「言ったもん勝ち」の風習がありますが(教科書には載っていませんが、経験から学びました)、
不動産売買でもいわゆる価格交渉を当たり前とする世界ですから、大概は
A. わざと高い価格。これで売れたら儲けもの
B. 納得できる価格。最低でもこの価格で売りたい
C. これ以上下げられず、損をしてしまう価格
という、3つの価格帯があります。当然ながら最初にリスティングに出されているのは「A」であり市場価値よりも通常は高く設定されているもの。Zillow.com等では対象物件の過去の販売価格が確認できるわけですが、その物件が最初売りに出された際は少なからず高めに出されていたはずなのです。
買い主としては狙いたいのはCですが、よほどの事情がない限りはAのフルプライスでの購入は理にかなわない限り、避けなくてはならないのです。
もちろん一部の富裕層のように
「価格交渉に時間をかけるのはもったいない。その差額はいくらでも稼げるから、他の人に取られないようにさっさと片をつけてくれ。」
という場合もありますが(佐藤の経験では資産家の中でも数百億をお持ちの方々。。)、
通常は千ドル単位でもその後の運用に大きく影響が出てきますから、自分で価値計算をしてみて理にかなわないようであれば価格を下げてくれない限り購入する必要はないと思うのです。
長くなりましたので、明日に続けます。
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