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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日はPETEと呼ばれる政府による個人・法人所有の不動産への執行権限は
Police Power(ポリス パワー)
Eminent Domain(エミネント ドメイン)
Taxation(タクゼーション)
Escheat(エスチート)
の4つがあることをご紹介、この中で
Police Power(ポリス パワー)
Eminent Domain(エミネント ドメイン)
の2つについてお伝えさせて頂きました。
本日も続けます。
アメリカ政府による買収
アメリカ政府による公共施設の建設を目的とする土地や建物といった不動産買収は米国政府の歴史の中でも早期に法律で定められました。
その法律の趣旨は
「個人・法人所有の不動産が公共利用の為に政府機関により取得される場合、然るべき対価をもって譲渡されるものとする」
というものです。
この法律が意味するところは、単に政府が一方的に土地を取り上げるのではなくて公共利用の為に「Eminent Domain(エミネント ドメイン)」の権限を施行して取得するが、その一方で不動産の譲渡に際しては公平な然るべき対価が従来の持ち主に支払われなければならない、ということです。
この法律により、仮に公共利用の為にその土地を政府が使用する必要が出てきた場合には政府と地主の間で話し合い、理想としてはお互いの利益を理解し合い、そして地主が納得する価格で対価が支払われ土地の譲渡がなされなければなりません。
ただし例外もあり、その土地が学校・図書館・公園といった幅広く明確に世の人々の為に使われるという場合には、地主の中には無償で土地を政府機関に譲渡するようなパターンもあり、この時には対価となる金銭的報酬は発生しません。
またこのような場合には純粋な寄付として扱われ、その建物には寄付者の名前を使用されることがしばしばあります。
これとは反対に、政府機関と地主の話し合いの折り合いがつかず、多くの場合は地主が買収価格に納得せずに話が平行線を辿ることがあります。
このような場合は政府機関はComdemnation(コンデムネイション)の権限を施行し、半ば強制的にその土地を取得することになるのです。この時に支払われる対価はほぼ政府の言い値となり、法律をもって政府権限で施行される以上は個人・法人にはどうしようも抵抗出来ない措置となります。
政府取得規定を変えたニューロンドン市での判決
そのような中、2005年にコネチカット州のニューロンドン市で異例の判決が出されました。
従来は政府による土地の取得は公共の目的で使用されることが前提であったはずが、この判決では土地の取得後の土地開発にあたり担当業者が多額の利益を享受することが分かっているにもかかわらず、公共目的ではなく商業目的で政府によるEminent Domain(エミネント ドメイン)の施行を可とする判決が出されたのです。
この時の裁判長の判断の骨子は、コネチカット州がそれ以前に定めていた「経済発展を促すEminent Domain(エミネント ドメイン)の施行を可とする」という州法を基にしたものでした。
過去のEminent Domain(エミネント ドメイン)の概念を大きく変えるこの判決は米国でも大きなニュースとなり、必然的にコネチカット州以外の州がこの判例に続き、現在では公共利用目的のみならず商業目的でも政府がEminent Domain(エミネント ドメイン)を施行することが一般的な認識になりつつあります。
Taxation(タクゼーション)
政府権限のPETEのの中で、どの土地と建物にも一様に定期的にお金の支払い義務が課せられるのがTaxation(タクゼーション)と呼ばれるもので、日本語でいういわゆる税金です。
アメリカという国の土地を取得してそこに建物を維持する以上はその土地と建物に一定の条件の下に都度課金する、という政府が定めるルールです。
この税金はその土地と建物が属するカウンティ(郡)が徴収し、その群に属する市の政府機関とそのサービスの為の大きな資金源となります。
税金の構成は主として
固定資産税
その地域の政府機関により査定された後に算出される、土地と建物に対する年間の税金。学校区、公共交通機関、電気・水道のインフラ等を維持する為に使われる税金。
譲渡税
個人や法人による不動産売却から得られる利益に課せられる税金。
特別徴収
その地域で道路建設や電気・水道のインフラ設備を整える特別な開発計画に際し徴収される都度税金。
の3種類があります。
この課税に関する政府権限もまた絶対のものであり、個人・法人の力で変えることは決して出来ません。土地や建物に対する課税に反発して支払わない場合は政府への借金となり、やがてはその土地と建物を政府により没収される場合もあります。
Escheat(エスチート)
特定の土地や建物を個人が所有しているが、その個人が亡くなった後に
相続者が全くいない
死後の相続のあり方を伝える遺書が存在していない
生前に信託の契約がなされていない
等の条件が揃い、その土地と建物の譲渡を全く定義できない場合には政府が介入してその土地と建物を取得する、このパターンをEscheat(エスチート)といいます。
州によってはその土地と建物は所属するカウンティ(群)の所有となったり、州の所有になったりとまちまちです。
いずれにせよ、Escheat(エスチート)はアメリカ国土上の土地や建物が持ち主なしで宙ぶらりんになることを防ぐ目的で政府機関により施行されます。
まとめ
2日間にわたり政府による土地や建物といった不動産へのPETEと呼ばれる権限、
- Police Power(ポリス パワー)
- Eminent Domain(エミネント ドメイン)
- Taxation(タクゼーション)
- Escheat(エスチート)
についてお伝えさせて頂きました。
これらはいずれも個人・法人の権限を大きく超えるものであり、いずれも決して逆らえるものではありません。
ただし、アメリカ合衆国では国土の隅から隅までその利用が法律によりきちっと規制されていますから安心ともいえるのです。
発展途上国ではその国の国土が広い場合、とりわけ未開発地では不動産業者が自分の土地だと偽って売却するようなパターンが未だに存在します。お金を払った後でいざ開発しようと進めたところ、土地自体がきちんと登録されていないことが分かりトラブルとなるのです。
その意味ではアメリカでは細かい法律の上に土地や建物の売買が平等になされるように法の整備がなされていますから、不動産売買においては大きな安心感があります。
その分、アメリカ国土をきちんと管理してくれる政府機関へのお礼の意味として、PETEの権限を尊重するしかありませんね。
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