こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
11月2日、トランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に現FRB理事のジェローム・パウエル氏を指名したとの報道が流れました。
パウエル氏は金融政策に中立、いわゆる穏やかな可もなく不可もない姿勢で取り組む人物として知られ、現議長のイエレン氏の後を継いで議長に就任した場合でも現行のまま、緩やかな利上げ方針を引き継ぐだろうと予想されています。
この米連邦準備理事会(FRB)の議長選出やその金融政策は毎回世界中で大きくニュースに取り上げられますが、なぜここまで毎回大きく報道されるのでしょうか。
「FRBが金利を上げた!」
「FRBが金利を下げた!」
と、さも大事であるかのように逐一報道されています。
その理由は、良くも悪くも米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が世界中の経済に影響を及ぼすからです。
経済に影響を及ぼすということは私たちの生活にまで影響が及んでくるわけで、国でいえばその国力に、個人でいえばその生活力に大きく影響してくることになります。
そして不動産業界もまたこの米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に大きく影響されることになりますから、私(佐藤)にとっても米連邦準備理事会(FRB)が定める金利は常に把握するべき数字なのです。
そこで、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長が選考され始めているこの時期に米連邦準備理事会(FRB)が定める金融政策とその歴史についてお伝えさせて頂きます。
この手の内容は大半の投資家の方々にとっては当たり前の情報かとは思いますが、当サイトは不動産投資の初心者の方々も広くサポート対象としていますのでお付き合いください。
また下記の内容はアメリカ合衆国内の金融機関に焦点を当てたお伝えとなります。
金利の意味合いとは
米連邦準備理事会(FRB)の金融政策がなぜ毎回報道されるほど重要なのか、これを分かりやすく理解するには
米連邦準備理事会(FRB) ⇒ 個人
ではなく
個人 ⇒ 米連邦準備理事会(FRB)
の順番で考えた方が分かりやすいです。
例えば、日常生活の中で誰だって「お金でモノを購入する」という行為を行います。衣食住は生きるに欠かせないものですが、その頻度は順番に
- 食
- 衣
- 住
ではないでしょうか。金額の高は真逆ですが、購入頻度ではこの順番になります。
そして食材一つにしても、世の人々を食べさせていくには大きな工場は不可欠です。その工場は経営者が銀行から融資を受けて建設されたものでしょうし、工場の運営資金そのものも銀行から融資を受けている場合が多くあります。
ここで融資の話になりますが、通常は法人であれ個人であれ商業銀行を中心とする金融機関から融資という形でお金を借りて、そのお金を経営資金に充てるのが一般的です。
最初から自己資金のみで全て運営できればそれは結構なことですが、普通は起業後に営利活動を拡げていこうと思えばお金を借りて資金を集めねばならず、個人事業のレベルでも借金なしには前に進むことはほとんどの場合は出来ないものなのです。
そして金融機関から融資を受ける場合、当然ながらその借金はある一定の期間内に返済する約束で融資を受けるわけですが、この返済にあたっては「お金を使わせてもらう対価」として利息が発生します。
この利息が金融機関の大きな儲けの一つになるわけで、それ故に利息を定める金利というパーセンテージは融資をする金融機関にとっても融資を受ける法人・個人にとっても非常に重要な数字となるのです。
金融機関もまた借金をしている
そしてここからがよく理解しておきたいポイントですが、金融機関は法人・個人に対して融資を行い法人・個人は金融機関に対して借金を背負うことになりますが、実は金融機関もまた融資を受けて借金を背負っているのです。
なぜかというと、銀行業を行う金融機関には
「銀行業を行う上では現金は最低でも$○○○○○○○○は内部留保しておかねばならない」
という法律があり、ある一定の現金は内々に確保しておかねばならないのです。
法人や個人にお金を貸せば貸すほど、内部留保はどんどん少なくなっていきます。ある一定のラインを保つためにはどうしても現金を確保する必要があり、その為に金融機関もまた融資を受けて借金をしなくてはならないのです。
銀行が融資を受けるパターンとしては大きく分けて
- 中央銀行(FRBの傘下)から融資を受ける
- 銀行間でお互いに貸し借りする
の二つのパターンがあります。厳密にはローンを金融商品化してセカンドマーケットに卸して現金を確保する等のパターンもありますが、ここでは分かりやすく純粋な融資のみに絞ります。
そして融資である以上は当然そこには金利という利息を定めるパーセンテージが存在し、各銀行はその利息に応じて借金を返済していく必要があるのです。この米連邦準備理事会(FRB)が定める金利のことをDiscount Point(ディスカウントポイント)と呼びます。
結果として利息を伴う借金を返済していく以上は、銀行としては儲けを出すためにはその米連邦準備理事会(FRB)に定められた金利以上の金利で法人や個人に融資を行わなくてはなりません。
例えば本日2017年11月1日の金利は
米連邦準備理事会(FRB)が定める金利 … 1.25%
ウェルスファーゴ銀行(Wells Fargo Bank)が定める住宅ローン …
金利(Interest Rate) 3.375%
年率(APR) 3.481%
となっています。通常は金利に加えて諸々の手数料を加味した年率を住宅ローンに適用しますが、この手数料というのは銀行が法人・個人に課する手数料ですのでここでは純粋に金利だけ見たとしても3.375%ですから、
中央銀行(FRB傘下)から銀行が融資を受ける際の儲けの割合
= 2.125% (3.375% - 1.25%)
となるわけです。
そして中央銀行はそもそも各銀行を指導する立場にあり最も影響力のある機関ですから、その権威機関が定める金利は絶対権限となり
各銀行はその金利に合わせて法人・個人に融資する際の金利を定めざるを得ない運命にあるのです。
すなわち、この金利をいくらにするかが銀行間でしのぎを削る一つのポイントであり、法人や個人から見ると
「この銀行の住宅ローンは金利が安い」
「この銀行は金利は高いがサービスがいい」
等の品定めの理由にもなってくるのです。
長くなりますので、明日以降に続けます。
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