こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は不動産管理の初期契約時に発生する
セキュリティデポジット(敷金)
初月家賃
の2つに言及させて頂きました。
実際、アメリカで不動産投資を行う場合は自分がその物件の近所に暮らしているということはほとんどないでしょうから、物件の管理は地元の不動産会社に委託する必要があります。
その時にまともな管理会社はきちんと管理全般を担ってくれるはずですが、不動産投資の8割は不動管理技術にかかってくるといっても過言ではありませんので、必要に応じて家主として管理会社にも口を出すべきなのです。
セキュリティデポジット(敷金)の場合はその設定金額は「家賃の1か月以上2か月分未満の範囲」
がベストであり、例えば家賃が$1200であれば
- 初月家賃:$1200
- セキュリティデポジット(敷金):$2000(家賃の1か月以上2か月分未満の範囲)
くらいで定めるのがベストです。
その理由は賃貸人の心理を考えた時に
- 家賃の前払いと勘違いしない金額
- 退去後に戻ってくると期待したい金額
に設定することが大切だから。
このようなちょっとした知識をもって不動産管理会社がこのような点まで配慮しているか、あるいは効率のよい管理方法を実施しているかを自分でも確認することは大切な姿勢です。
また項を改めて具体例をお伝えさせて頂きたいと思いますが、$5もかからない備品を購入して予防するしないで、後に$5000以上の修繕に発展する物件損害も実際に起こり得ますから、家主としては不動産管理会社に委託するのみならず、自分でもその不動産管理会社を監督する姿勢は必要だろうと思います。
家主として不動産管理会社を監督する際の目安として、いくつかのポイントを本日もお伝えさせて頂きます。
セキュリティデポジット(敷金)と初月家賃をマーケティングテクニックに使う
契約初期に発生するセキュリティデポジット(敷金)と初月家賃を賃貸募集の際のマーケティングテクニックに使う方法のいくつかを見ていきましょう。
アメリカで不動産投資をされている方は、あなたが使う不動産管理会社のシステムと比較してみてください。
セキュリティデポジット(敷金)を割り引く
セキュリティデポジット(敷金)の設定額は
「家賃の1か月以上2か月分未満の範囲」
がベストではあるのですが、このセキュリティデポジット(敷金)の設定額をマーケティングテクニックに使うことも出来ます。例えば前述の家賃$1200の場合であれば
入居の際は初月家賃$1200とセキュリティデポジット(敷金)$2000が初期費用のことろ、残り○日間はセキュリティデポジット(敷金)は$99のみ。
(*注:このセキュリティデポジット割引は審査基準を満たした方のみです)
と謳うのです。
この場合、入居希望者は$1101も割り引いて頂けるわけですから、結構な割合で募集が殺到することになります。
ただし、注意書きにあるとおり審査基準を満たす必要があると同時にその審査基準は高めに設定するのです。(通常はクレジットスコアを中心に査定します)
$1101も割り引くわけですから審査基準は高くても然るべき。そこに違法性は全くありません。しかしながら実際には高い審査基準を満たす方はそういませんから、
「残念ながら、審査基準が満たっていませんでした。その為にセキュリティデポジット(敷金)は$99というわけにはいかないのですが、せっかくお申込みくださいましたので$2000のところ$1200にしましょう。」
と、お得感を残して安心して頂きながらも「家賃の1か月以上2か月分未満の範囲」で出来る限り多くセキュリティデポジット(敷金)を頂戴するのです。
セキュリティデポジット(敷金)はあくまでその賃貸人が退去する際の修繕費用に充てる準備資金ですから、賃貸期間中にどんな損害が物件に発生するかが読めない以上は出来る限りセキュリティデポジット(敷金)は頂いておいた方がよいのです。
このあたりはマーケティングツールとしてのセキュリティデポジット(敷金)と、将来の未だ見えない被害への補償額としてのセキュリティデポジット(敷金)のバランスを考えておく必要があります。
初月の家賃を割り引く
またもう一つのテクにクックとしては、セキュリティデポジット(敷金)を低くするのではなく家賃を一時的に低くする方法も有効です。
セキュリティデポジット(敷金)は修繕費用の準備金としてあくまで手堅い額にしておき、その代わりに「初月の家賃は半額でいいですよ。」等を謳い家賃の値下げをしてあげてお得感を出します。
この場合は初月のキャッシュフローが低くはなりますが、長期的にはさほど大きな問題にはならず、むしろ契約の最後の修繕費用準備金をしっかり用意出来ますので安心感があります。
セキュリティデポジット(敷金)は残額を返金する
そしてたまに「セキュリティデポジット(敷金)の返金はありません」と定める家主がいますが、この方法は賢明ではありません。
もっぱらテキサス州では「セキュリティデポジット(敷金)の残金は退去から30日以内に元賃貸人に返金せねばならない」と定められているのですが、仮にあなたが不動産投資物件を持つ州の法律でセキュリティデポジット(敷金)をそのまま保持することが許されていたとしても、セキュリティデポジット(敷金)の残額はしっかりお返しすることを一番最初に伝えておいた方がよいのです。
その理由は、これも昨日の家賃前払いの錯覚と同じで人の心理から
「自分はセキュリティデポジット(敷金)を支払って、退去時の責任も果たし終えた」
と、最初から物件に対する責任感が払拭されてしまうからです。
「きちんと物件を綺麗に使えば、その分セキュリティデポジット(敷金)が自分に返金される可能性が高い」
と
「セキュリティデポジット(敷金)は支払い終わって、自分の責任はもう果たした」
この2つのパターンでは、どちらの方が賃貸期間中の物件への破損が少ないと予想されるでしょうか?
当然、前者の場合ですね。
人は良くも悪くもお金が行動の動機になります。返金がなされるのであれば、当然その方向に向かって行動を起こすのです。
これは物件でペットを飼うことを許可する場合も同様です。ペットに対しても賃貸人とは別途でセキュリティデポジット(敷金)を課金することが出来ますが、
「ペットのセキュリティデポジット(敷金)は返金されません。」
としてしまうと、賃貸人は
「私のペットに対する責任は果たしたわ。」
という気分になり、入居期間中にペットの振る舞いに対して気を使わなくなってしまうものなのです。結果としてペットによる物件内外への被害が大なり小なり大きくなる可能性が高まってしまいます。
反対にペットのセキュリティデポジット(敷金)も退去時に返金されるのであれば、ペットの飼い主は返金を期待してペットの物件内外での振る舞いにも気をつけて、返金を期待して行動してくれるものなのです。
まとめ
このように不動産管理においてはその入居との一番最初の契約で発生する
セキュリティデポジット(敷金)
初月家賃
この2つに対してだけでも様々なテクニックがあります。
不動産会社(ひいては、家主であるあなた)と賃貸人の双方にとって得をする方法を選択しなければなりませんが、そのコツはどこまでも
「賃貸人の心理を掴む」
ことなのです。
賃貸人の心理をよく掴んで、可能な限り修繕の準備資金や家賃を入れつつ、かつ双方にとって幸せな方向に導くテクニックが不動産管理会社には求めまれます。
すでにアメリカで不動産投資を実践している方は、上記のような目線で一度あなたの不動産管理会社の対応を見直されてはいかがでしょうか。
ちょっとしたテコ入れが不動産投資運用の成績を大きく変えていきますので、上記の点も一考の価値があります。
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