こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アーカンソー州リトルロック市の不動産市場について検証しています。
不動産投資を通して早々にセミリアタイアを目指すのであれば、不動産投資に期待できる
キャッシュフロー
減価償却
キャピタルゲイン
の中でもキャッシュフローに最も重点を置く必要があります。
「キャピタルゲインでも利益を取れるのでは?」
というと、それはもちろんそうです。
私(佐藤)がカリフォルニア州’を中心に管理する物件のキャピタルゲイン総額見込みは3億を軽く超えていますし、仮にそれらを売却した場合には修繕費と税金を差し引いても十分な現金が手元に残るでしょう。
でも、それ以上でも以下でもないのです。「動かない現金が手元に残る」以上でも以下でもなく、儲けが手元に残るだけ。
水に例えれば分かることで、自分の池に水を引いてきた場合、キャピタルゲイを確定させるというのは池に水を貯めるだけの状態にするようなもの。
水は溜まったままでは腐って不健康になり、また使って減ることはあっても増えていくことは決してありません。
首尾よく残り一生を過ごすのに十分と思える億単位のキャピタルゲインを税引き後も確保できたのならそれでもよいのかしれませんが、通常はキャピタルゲインが億単位に達することは早々なく、一千万円単位のキャピタルゲインでも一生暮らすには十分とは言えません。
結局のところ、池に水を引いてくるだけではだめで、池に水を入れ続けかつ池から水を外に出して水を常に流動させるという、水の流れを作り出すことが大切なのです。
キャッシュフローとはそのまま「現金の流れ」という意味ですが、自分の池に流れてくる水を現金と思えば、言葉が意図するところそのままですね。
不動産投資であれば、不動産の家賃収入(マルチファミリー物件の場合は駐車場やコインランドリーの使用料等を含む)からの現金が自分の池に注ぎ込まれ、それが修繕維持費や固定資産税という形で池から外に流れ出ていきます。
池に入ってくる水(キャッシュ)の量が池から出ていく水(キャッシュ)の量を上回っていれば安泰で、この状態に入ってこそセミリアタイアが実現してくるのです。
「それでは、どれくらいの現金が流れてくれば十分なのか?」
というと、これは個人の投資目的により様々かと思いますが、私(佐藤)の感覚で申し上げれば
「年間30万ドル($1=100円計算で3000万)」
のキャッシュフロー(池に入ってくる水の方)があれば十分ではないかと思います。この程度あれば、
- 修繕維持費
- 保険
- 固定資産税
等を支払った後でも、更に別の投資機会に資金を注ぐ余裕が出て来るからです。
ちなみに、上記の流れ出る項目にローンを組んだ場合の「ローン返済額」は含めていません。
ローンを組んで物件を購入することはよいとしても、将来に完済後したあとでキャッシュフローが年間30万ドルある状態が、「不労所得で死ぬまで安泰に暮らせる目安」だろうと思います。
。。。
キャッシュフローについての話が長くなってしまいましたが、とどのつまりセミリアタイアを目指すのであれば、ご自身の不動産投資ポートフォリオにはキャッシュフローが基準になければ無理ですよ、という話なのです。
その意味では、アメリカへの不動産投資において
「どの地域が最もキャッシュフローを健全に狙えるのか?」
といえば、それはやはりアメリカ中南部を中心とするエリアです。
この中でも今回はアメリカ中南西部に位置するアーカンソー州リトルロック市に焦点をあてて、その不動産市場の可能性を検証しています。
また今回はこの比較対象として、アメリカ中南東部に属しながらリトルロックから車で2時間半ほどしか離れていないテネシー州メンフィス市を比較対象として上げています。
メンフィスへの投資は日本人投資家の間でも安定したキャッシュフローが期待できる街として広く知られるようになってきましたので、キャッシュフロー狙いで不動産投資を行う方々にとってはリトルロックとメンフィスを比較することで、よりイメージが掴めるのではないかと思います。
リトルロックの不動産市場価格変化のおさらい
そこで、昨日はリトルロックの不動産市場の動向をフロリダ州、メンフィス、リトルロックの3つで比較してみたところ、インデックスグラフ上ではリトルロックの不動産価格は非常に安定しており、かつ打たれ強いことが分かりました。
おさらいとして、全米、フロリダ州、メンフィス市、リトルロック市をサブプライム問題前の最高指標とその後の不動産価格暴落による最低指標の数字を比較してより深く見てみます。
アメリカ全土の変化
サブプライム問題前の最高指標 378.23(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 307.02(2012年)
下落率 71.21
フロリダ州の変化
サブプライム問題前の最高指標 481.67(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 266.28(2012年)
下落率 215.39
シェルビー郡(テネシー州メンフィス市の管轄郡)の変化
サブプライム問題前の最高指標 117.46(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 98.06(2012年)
下落率 19.4
メンフィス市の変化
サブプライム問題前の最高指標 157.20(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 137.54(2012年)
下落率 19.66
プラスキー郡(アーカンソー州リトルロック市の管轄郡)の変化
サブプライム問題前の最高指標 135.45(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 130.76(2012年)
下落率 4.69
リトルロック市の変化
サブプライム問題前の最高指標 166.40(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 163.18(2012年)
下落率 3.22
いかがでしょうか。
全米の平均と比較した時にフロリダ州の下落率は目も当てられない一方で、不動産価格とキャッシュフローが安定している、と呼ばれるメンフィス市は不動産価格暴落時の下落が全米平均よりも遥かに低い、19.66でした。
ところがです。
アーカンソー州リトルロック市に至っては、その下落率がメンフィスのそれよりも低く、なんとたったの3.22の下げでした。
リトルロックの人口
ここで、リトルロックの人口変化をグラフで見てみます。
リトルロック市人口変化
堅調ですね。大きくぐんぐん人口が伸びているとはいえませんが、実に堅調に人口が増えています。
これをメンフィスの人口と比較してみましょう。
メンフィス市人口変化
メンフィスでは人口増加が鈍化しているのに対して、リトルロックの方が安心感がありますね。
更に、リトルロックの年齢別人口をグラフで見てみましょう。
リトルロック市年齢別人口
(出典:DataUSAより)
右の緑色グラフが現地人の割合、左の紺色グラフが移民の割合です。
完全なピラミッドではありませんが、直ちに高齢化社会に突入するような深刻な状態ではありません。しかも5〜17歳が最も割合が多いことが、将来に対して大きな安心感を与えています。
将来のリトルロックの年齢別人口分布がこの先にどのように変化していくかは5〜10年後にはっきりと分かりますが、今の段階では安心できるレベルにあることは間違いありません。
結果として、不動産需要の三大要素
- 人口
- 人口動態
- 労働・賃金
において、人口に関してはリトルロックはメンフィス以上に堅調であることが分かりました。
すなわち、「リトルロックはアメリカ不動産投資において間違いなく長期投資の対象になり得る街である」、ということになろうかと思います。
明日はリトルロックの不動産需要に影響する労働と賃金について、深く掘り下げてみましょう。
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