昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は住宅公正取引法に基づいて、入居希望者については
新鮮なコーン(Fresh Corn:フレッシュ コーン)
F Family status including children(子供を含む家族構成)
R Race(人種)
E Ethnic background(民族背景)
S Sex(性別)
H Handicap(身体障害)
C Color(肌の色)
O Origin(出身地)
R Religion(宗教)
N Nationality(国籍)
の理由で入居を拒否することは法律違反、とお伝えさせて頂きました。
上記の理由で差別なしに入居希望者の申込みを受けつけなくてはなりませんが、かといって誰でも入居させればいいかというと、そういうわけにもいきません。
差別なしに受け入れはするものの、その後にはいわゆる、
「スクリーニング(入居審査)」
を行うことが大切なのです。
スクリーニング(入居審査)を行う
入居希望者に対して入居を許可するか否かを判断する「スクリーニング」を行うことは非常に大切です。
とりわけ
「この入居者は支払い能力が十分にあるか?」
という基準で判断した時に、スクリーニングを行わずに盲目的に入居を許可してしまうと間もなくして家賃滞納が始まり、結局はその対応に
- 法的手続きにかかる費用
- ターンオーバー(入居入替え時)の費用
といった費用を費やして、結果として大きくマイナスになりかねないのです。
その為にも一番最初の段階でスクリーニングをしっかりと行っておけば、後から滞納等のトラブルが発生する確立はぐっと低くなります。
もちろんしっかりとしたスクリーニングを行ったとしても、後に何らかの問題が起こる場合もあります。
トラブルが行った時には常に入居申込時に受け取った申込み関連書類を参照する必要があり、その意味でも一番最初に申込書に何を書いてもらうかが大切となるのです。
そこで申し込み書の内容と同時に、スクリーニングのプロセスについてみていきましょう。
①賃貸申し込み内容
賃貸申込書では、最低でも下記のような内容が網羅されている必要があります。
フルネーム、誕生日、社会保障番号、現在の住所、以前の住所、自宅電話番号、職場電話番号、携帯電話番号、メールアドレス、免許証番号、緊急時連絡先、住居予定人数、ペット(種類・大きさ)、賃貸履歴、現在と過去の賃貸人(オーナー)の連絡先、雇用者情報、収入情報、1ヵ月総収入、犯罪を犯していない宣誓、どこで対象物件を知ったか
これらの情報は賃貸申込書上で全て漏れなく記入してもらいます。
特に緊急連絡先は契約期間が切れた退去後に元住人を追いかけるのに使える場合がありますので、必須です。
申込者がオフィスに出向いてきて紙面上で申込書を記入する場合は上記の情報がきちんと記入されているかをつぶさに精査し、もし1つでも漏れがあれば先方に返し、確実に記入して頂かねばなりません。
実際この一番最初の段階で情報をきちんともらうことを怠ってしまうと、後で問題が発生した場合に問題解決の為に拠り所にするべき情報がないことになりますから、最初の段階で然るべき情報は全て頂いておく必要があるのです。
この点、申し込みがオンラインで書式化されている場合は、記入漏れがあると先に進めないように設定できるので大変便利です。
②記入された情報の確認
申し込み書に記入して頂いたら、その次に
「記入情報が本物か」
を確認する作業が必須となります。
記載された情報に虚偽があっては何の役にも立ちませんから、情報の審議確認は非常に大切なステップなのです。
申し込み書の記載内容を確認する方法の例としては
- アウトソーシングして、専門機関に委ねる
- 給与明細や銀行明細のような第三者が発行している資金力を示す証拠と身分証明書を申込書と一緒に提出してもらう
- 過去の賃貸先の家主からの推薦書を追加する
等があります。
確実に確認しておきたい内容
- 雇用情報
- 自己資金力情報
- 賃貸歴
- クレジットレポート
- 犯罪履歴
これらの中で、収入情報一つにしてもスクリーニングで合格とするか否かの基準は独自にしっかりと設けておく必要があります。
例えば入居者の資金力(賃貸支払い能力)を示す基準として、その入居者の月収を
「家賃の2.5倍の収入があること」
と定める場合、月額家賃が$1,000の物件であれば毎月の収入が$2,500以上であることが条件となるわけです。
この、
「家賃を支払える能力があるか」
を見極めることは、ある意味最も大切です。
例えば、過去に身なりのいい男性がオフィスに出向いて申し込みを希望してきたことがありました。
高級車でオフィスに来て、クレジットスコア(信用偏差値)もよかった為にその2点だけで信用して入居を許可したのです。
ところが、その際にきちっと申込書を書かせずに入居させたのが間違いでした。
いざ入居させてみると家賃支払いの小切手は全く切れず、家賃滞納で2ヶ月間もそのままタダで物件に居座られる結果になってしまったのです。
結局は無収入のままで終わり、ターンオーバー期間に余計な出費が発生してマイナスとなってしまいました。
それのみならず、結果としては2ヶ月(ターンオーバーを含めると3ヶ月)の空室期間と同じですから、空室を無収入ではなく出費と考えると
3ヶ月 × 家賃
の出費となってしまったわけです。
スコアリングシステムを活用する
そして入居審査の手続きの中でもここからが物件管理のアマチュアとプロの違いとなりますが、プロは入居審査スクリーニングを行う際に「スコアシート」を使います。
このスコアシートには
- 現在の仕事をどれくらい継続しているか ⇒ プラス○ポイント
- 過去に退去させられたことがあるか ⇒ マイナス○ポイント
等、評価対象となる項目を並べ、項目毎にプラスとマイナスのポイントを決めておくのです。
これらの合計でスコアを算出し、
「○ポイント以上で合格」
という数値基準を定めておきます。
また完全な合格でなかったとしても、
「○ポイント以下であれば追加書類」
「○ポイント以下であれば敷金は倍」
「○ポイント以下であれば審査不合格」
等、ポイント毎に然るべき追加対応をすることで問題が発生した場合の保険をかけることも出来るのです。
まとめ
このように入居審査時のスクリーニングは非常に大切です。
同時にスコアリングをつけて、一定以下のポイントには条件つきで合格させることがコツとなります。このスコアリングではどれか一つの項目で判断するのではなく、全てのスコアの合計で判断するわけです。
そしてスコアリングの実行は公正住宅取引法に基づいて、かつ判断基準の定義が明確に分かるように、スコアシートそのものに判断基準を記載しておきます。
こうすることで、仮に審査結果に不満をもつ人が現れた場合でも
「この基準で行っているんですよ。誰に対しても平等にやっていますよ。」
と明確に平等性を示すことが出来るわけです。
とりわけ多人種が揃うアメリカでは民族ごとに感性(受け止め方)も違いますので、あくまで人の裁量に委ねるような判断は避け、誰にでも理解できる明確な基準を拠り所にして判断することが大切なのです。
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