こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの住宅ローンの下地であり、金融機関による融資活動を支えているのは「Saving Account(セービングアカウント:普通預金口座)」です。
金融機関のセービングアカウント(普通預金口座)に入っているお金は融資資金となり、融資を求める人々に審査を経て貸し出されます。
そしてお金を借りた人々は利息をつけて銀行に返済しますが、この融資を受けた人々から返済される元利金に含まれる利息の一部が、セービングアカウント(普通預金口座)にお金を預けていた人々に「利子」という形で分配されるわけです。(かなり微々たる金額ですが。。)
この辺りの
- 金融機関が一般から預かるお金を資金に、融資活動を行う
- 融資を受けた債務者は、元金に利息を加えて返済する
- 金融機関は利息の一部をお金を預けた一般人に分配する
という一連の流れは、日本の銀行でも全く同じかと思います。
そしてこれと同様に、アメリカ不動産において住宅ローンの形で融資を受ける人々の資金もまた、一般個人がセービングアカウント(普通預金口座)に預けたお金が使われているのです。
住宅ローンという融資の仕組み
アメリカでこれらの住宅ローンを行う主要な金融機関は
- 商業銀行(Commercial Banks)
- 貯蓄銀行(Saving Banks)
- 生命保険会社(Life Insurance Companies)
- 信用組合(Credit Unions)
の4種類です。
そしてこれら主要な金融機関で貸し借りが行われる市場は「プライマリーマーケット」と呼ばれ、我々一般個人・あるいは企業はこのプライマリーマーケットで融資を受けるやりとりを行います。
プライマリーマーケットで融資が行われると、お金が貸し出されると同時にそこには「債権(借金を請求する権利)」が誕生します。
お金を貸す側の「債権者」とお金を借りた「債務者」の2者が現れ、融資が行われた事実とその元金に利子をつけて返済をしなくてはならない債務者から債権者への「責任」が、債権という形で現れるわけです。
そしてプライマリーマーケットでお金が貸し出されればその分、プライマリーマーケットには次に貸し出すための現金が不足してきますから、各金融機関は次に誰かに貸し出す時に備えて現金を確保しなければならないのです。
その融資用の現金を確保するための手段としてプライマリーマーケットで生みだされた債権は、「セカンダリーマーケット」と呼ばれるマーケットに売りに出されていきます。
アメリカでこのセカンダリーマーケットを構成するのは
- ファニー・メイ(Fannie Mae)
- フレディー・マック(Freddie Mac)
- ジニー・メイ(Ginnie Mae)
- フェデラル・ホームローン・バンク(Federal Home Loan Bank)
- プライベート・インベスター(Private Investors)
等の機関です。
これらの機関がプライマリーマーケットで誕生した債権を買い取り、プライマリーマーケットの金融機関は潤沢な資金を再び確保し、次の融資資金に充てることが出来るようになります。
その一方でセカンダリーマーケットでは買い取った債権を様々な別の債権と組み合わせて証券化し、それを投資家に売りに出していきます。
ここからセカンダリーマーケットは利益をあげ、引き続きプライマリーマーケットから債権を買い続けることになるのです。
融資用途は住宅物件がほとんどを占める
ここで、アメリカの融資市場における融資の用途別の表を見てみましょう。
上記は米国連邦政府機関により発表された、2014年第1四半期の融資用途とその融資額の比較です。
2014年第1四半期時点の融資総額(プライマリーマーケットから搬出されている金額)は、$13トリリオン($1=100円換算で13兆円)でした。この数字は2009年同時期の$14トリリオン($1=100円換算で14兆円)よりは下回る数字です。
いずれにせよ、上記の一覧の中で融資されたお金を用途別に見てみると「1世帯〜4世帯の住宅物件」への融資が全体の75%を占めていることが分かります。
アメリカ不動産市場においては、住宅物件への融資がどれだけ重要であるかが明らかなのです。
不動産は地域市場ですが、不動産価格そのものは不動産市場の状態によって大きく変化する性質があります。そしてほとんどの住宅用不動産物件購入者は、不動産物件を一括で購入出来るほどの現金は持ち合わせていないものです。
そのために、購入資金が不足している不動産購入者は購入額の不足分を補うべく、足りない分の融資を受ける必要が出てきます。
ところが、もし融資行為そのものがあまりにも高い金額の融資枠にのみ限られてしまった場合、おそらくごく少数の不動産物件にしか融資が実現せず、その結果として不動産売買の取引もごく少数しか成り立たなくなることが予想されます。
これとは反対に、金融機関において融資資金が大きく不足してしまった場合は建設業界に関わるあらゆる側面に甚大な影響が及んでしまい、そのまま国全体の経済に大きく影響してくるものなのです。
まとめ
このように、アメリカの不動産金融は建設業界にとっても不動産購入者にとっても非常に重要な意味合いがあります。
アメリカでは個人や企業に不動産物件購入の不足額を融資してくれるプライマリーマーケットと、そのプライマリーマッケで誕生した債権を買いとるセカンダリーマーケットの双方が存在して初めて、不動産金融が健全に流れる仕掛けになっているのです。
その融資用途の中でも「1~4世帯住居物件」用の融資案件がほとんどである事実は、アメリカの不動産金融そのものがいかに個人の不動産購買意欲に大きく依存しているかを明らかにしているのです。
明日は住宅ローン金利について、深くみていきます。
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