こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は「農場・牧場への投資」についてお伝えさせて頂きました。
広大な土地を所有してそこから富を生み出す手法でアメリカで一番最初に成功したのは例は1626年、オランダ人のピーター・ミュニットが現在のマンハッタン島を約$24で購入したのが最初、と言われています。
(厳密には、ピーター・ミュニットは植民地を開拓しました)
それから現在まで土地を取得して富を生み出す手法はアメリカで大きく発展し、数々の億万長者を生み出してきました。
そのような「土地への投資」の中でも
「農場・牧場への投資」
は居住利用や商業利用とは違う、広大な自然を所有して野生の動物たちを育みつつ、かつ富を生み出すという、アメリカンドリームの一つとして多くのアメリカ人投資家(とりわけそこにロマンを感じる男たち)を魅了しています。
その草分け的存在は昨日もお伝えしたCNNの創設者テッド・ターナー氏ですが、そのモンタナ州に所有するFlyng D Ranchは大きな成功例となり、これに続く富豪たちが多く現れています。
とはいえ、農場や牧場に投資する場合は居住物件や商業物件への投資とはまた違ったリスクが潜んでいるのも事実です。
今日は農場・牧場に投資する前に知っておくべきリスクについて、その一端を見てみましょう。
鉱業権(Mineral Right)
農場や牧場を購入する場合、居住地区や商業地区と違って考慮しなくてはならないことの一つに
鉱業権(Mineral Right)
があります。
鉱業権(Mineral Right)とはそのまま、「地中に埋もれている鉱物を採掘する権利」になりますが、
- 土地(地表)の権利
- 土地の下の地中に埋もれている鉱物を採取する権利
この2つは別々の権利で成り立っており、例えばあなたがアメリカに不動産を購入する場合は意識する、しないに関わらず鉱業権(Mineral Right)は一緒に不動産権についてきます。
そして、例えばあなたが所有する土地の下に
「シェールガスが埋蔵されている。。」
ということが分かった場合、
「土地は手放しませんが、鉱業権(Mineral Right)のみを採掘業者に売却します。」
ということも可能なのです。
この事実を踏まえ、農場・牧場を購入する場合は少しその概念が違ってきます。
「住居物件を購入する場合、通常はその土地の下の鉱業権(Mineral Right)も付属している」
とお伝えしましたが、農場・牧場の場合はその反対で
「農場・牧場の購入に際し、鉱業権(Mineral Right)は付属していない」
場合が多いのです。
このことはその土地の権利(Title)を専門家に調べてもらえばハッキリ分かりますが、農場・牧場の中には鉱業権(Mineral Right)が付属されているものもあり、この場合は非常に価値のある投資となります。
その為農場・牧場への投資を検討する場合、「鉱業権(Mineral Right)が付属しているか?」は必ず確認する必要があるのです。
水利権(Water Rights)
鉱業権(Mineral Right)と同時に押さえておくべきは、水利権(Water Rights)です。
読んで字の如く「水を利用する権利」ですが、農場・牧場にとってはその土地にある
- (小川等の)水が流れる位置
- その水を使う権利
は非常に重要な問題なのです。
水利権(Water Rights)についてかなり複雑でもあり、それだけに不動産権においては非常に価値のある権利となります。
例えば、モンタナ州で牧場を購入する場合は前述の鉱業権(Mineral Right)と同様に、水利権(Water Rights)は別モノとして販売されているのが通常です。
水利権(Water Rights)も同時に購入する場合、事が複雑なだけに専門家の助けを借りてよく調査する必要があります。専門家は
- 水利権(Water Rights)から算出される価値
- それに伴う価格
を測定してくれることになりますが、農場・牧場の売買では
「水利権(Water Rights)のみが、その土地の従来の価格と同じ値段で何度も売買を繰り返されている」
という実例がいくつもあるくらい、水を利用する権利は貴重なのです。
- 農産物用の灌漑水用として
- 家畜の飲水用として
- 人の飲水用として
等、様々な用途が考えられますが、水利権(Water Rights)はある意味、農場・牧場への投資の中では最も価値があるものと言えます。
水の流れ
そして先の水利権(Water Rights)に絡む要素になりますが、その農場・牧場の中で
「水路がどのように通っているか、訪問者が使えるか」
は非常に重要な要素です。具体的には、土地の中でその水の流れが
「レクレーション用に使えるか」
「魚釣りに使えるか」
「ハンティングに使えるか」
等の利用可能用途により、水の価値が大きく違ってきます。
言い換えると、
「訪れる人々が使えるかどうか」
が重要であり、小山に隠れているような人が使えない水の流れではさほど価値がないわけです。
また水路そのものが通常は「土地の境界線」にもなりますから、殊更水の流れは重要な意味を持ちます。
同時に、
「水の流れが公共の土地にまで通じているか」
も重要な要素です。
自分が所有する農場・牧場から流れ出る水路が公共区域に通じる場合、良い点と悪い点の双方があります。
公共に通じているおかげで価値が上がることもあれば(他者と共有することで価値が上がる)、流れ出る水が地域周辺に害を及ぼす場合は、下手をすると訴訟問題にもなりかねません。
まさに吉と出るか凶と出るか、水の流れと水質には不動産価値としての重要な要素が含まれているわけです。
まとめ
農場・牧場を購入する場合に考慮するべき代表的な3つの要素
鉱業権(Mineral Right)
水利権(Water Rights)
水の流れ
についてお伝えさせて頂きました。
ここに書いた3つはいずれも居住物件・商業物件にはない特殊事情になりますが、実際に農場・牧場を購入する際は他にも多くの検討事項があります。
その一方で、動物保護法や家畜を飼育することによる、非課税措置を含む政府からの支援が多いのも農場・牧場への投資の特徴の一つです。
ある投資家など、広大な牧場を所有しながらも非課税による優遇措置をフル活用し、ほとんど税金を納めずに土地を所有し続けることが出来たのは本当の話です。
このように、農場・牧場への投資は趣味と実益を兼ねた側面があります。
多くのアメリカ人を魅了する雄大な自然への投資は、晩年の人生をより豊かに生きたいと願う投資家たちの憧れとなっているのです。
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