昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
通常は住宅を購入する際に
立地
価格
サイズ
デザイン
等、様々な要素を考慮して物件を検討しますが、これらに加えてアメリカの場合は
「ホームオーナーアソシエーション(Homeowner Association)に加入義務がある物件か」
も検討事項の一つになります。
このホームオーナーアソシエーション(以下、HOA)に加入する必要がある場合はプラスとマイナスの両方の側面がありますから、
HOAによるサービス内容
HOAに支払うべき月額料金
等をよく検討する必要があるのです。
今日は購入する物件がHOAに加入義務がある場合の、そのプラス面とマイナス面を見ていきましょう。
プラス面:HOAが共有部分を維持管理してくれる
これは間違いないなく、HOAに加入義務がある物件の良い点です。
あなたが購入する物件がHOAに加入する義務がある場合、その地域一体はまず間違いなく
共有区域
近隣のアメニティー(プールやテニスコート等)
に関しては、HOAにより維持管理がなされています。
このことは、HOA加入義務がある地域で暮らすことの最大の利点と言ってもよいかもしれません。
HOAの運営陣は
年間管理維持費
有事の準備金
の見立てを元に1年間で集められるべき資金を算出して、コミュニティーに所属する世帯に等しく課金していきます。(厳密には、同じコミュニティー内でも区域によって違いがある場合があります)
この毎月HOAに支払う管理費の総額を資金とし、一年間の管理計画に沿って物件周りと地域周辺、そして共有施設の維持・管理を行っているのです。
この共有施設の中には、
プール
クラブハウス(各種イベントが開催できる建物)
テニスコート
バスケットコート
コミュニティが設置した歩道
等のアメニティーが含まれ、どのような施設があるのかはコミュニティーによって違いがあります。
マイナス面:毎月の支払いが発生する
HOAにより管理がなされているコミュニティーの物件を購入する場合、HOAに毎月維持管理費を支払うことは義務になります。
前述のようにどれだけの施設があり、それらに対して年間でどれくらいの維持・管理費がかかるのか、そしてそのコミュニティーに何世帯あるのかによって毎月の維持管理費が決められることになります。
仮にこの維持管理費の支払い義務を怠る場合は条例に反する結果となり、最終的にはなんと物件没収の憂き目にあってしまうのです。。(何ヶ月の滞納をもって物件没収となるかは、州にごとに規定の違いがあります)
そして、この月間維持管理費の価格は自分たちでは決めれないものであり、
物件価値
物件の所在地域
に始まり、
どれだけのアメニティー(付帯施設)があるか
により、大きく違ってきます。
私(佐藤)が知る限り、毎月のHOA維持管理費はそのコミュニティー毎に
$100 - $1300
の範囲で様々ですが、対象物件のHOA維持管理費がいくらであるかは通常は物件情報が記載されているWebページ上で確認ができます。
もし不確かな場合は、不動産エージェントに尋ねてください。
またもう一つのマイナス点として、HOAの支払い義務があると、
「この物件はHOAの費用が発生するな。買うのはやめようかな。。」
と、物件を売却する時にHOAへの支払いを避けたい人には売れにくくなる、という可能性があります。
プラス面:HOAが地域の均一性を保ってくれる
HOAも一つの組織として運営される以上、そこには組織としての方針・規定・規則があります。
所属するホームオーナーたちに対して
「これはHOAが行いますが、これは出来ません」
といった、
HOAが定期的に行うこと
HOAに頼めば出来ること
HOAが関知しないこと
等が極めて明確に定められているのです。
また、家の外観一つにしてもHOAがその基準を定めており、
「紫色が好きだから、今度業者に依頼して外壁を紫色に塗り替えよう!」
と勝手に決めることは出来ません。
ただしこれは悪いことではなく、言い換えると
「HOAが地域一帯の統一性を保ち、そのおかげで地域一帯の物件価値が保てている」
とも言えるのです。
赤い家
青い家
白い家
グレーの家
にはじまり、
コンクリート屋根
木造瓦葺
トタン屋根
等、地域に並ぶ物件がその
サイズ
デザイン
色
の全てにおいて統一性がないと、地域一帯の物件価値は下がる傾向があります。
また、物件様式のみならず
「芝生の上に駐車しないこと」
「自宅所有地内の庭の草刈りは定期的に行うこと」
「屋外では、所有地内であってもタバコを吸わないこと」
等の生活ルールのようなものもあり、一見厳しいようなルールですが、それらをコミュニティー住人が一様に守ることで地域一帯の価値が高まり、また安全性も高まることも事実です。
マイナス面:全ておいて許可が必要になる
前述のように規定のおかげで地域全体の価値が高められるものの、その一方で面倒な手続きが増えることもまた事実です。
例えば
「平屋を2階建てに改築したい」
この付帯工事を行うにしてもまずはHOAに申請が必要ですが、まず平屋を2階建てにするという申請に対して許可が出るかは難しいところです。
また
「裏庭に子供用のちょっとした遊具を設置したい(付帯工事と見なされるレベルのもの)」
という場合にも勝手に工事を行うことは許されず、まずはHOAに許可を取る必要があります。
その申請時にHOAの規定を詳しく見ることになると思いますが、遊具にしても
位置
高さ
色
形
素材の種類
等が細かく定められているはずです。
この規定の為に選択肢が絞られ、かつそのプロセスには非常に時間がかかる結果となります。
加えて、これらの許可はオーナーの申請に対して出されるものです。
すなわち、同じ物件であったとしてもオーナーが変わるのであれば同じことをするのにも改めてHOAに申請を出す必要が出てくるのが通常となります。
ある事例では、子供用のバスケットボールのゴールを物件に付帯させる許可を取る際に、同じ物件の前オーナーが同じ申請で許可が出ていたにも関わらず、オーナーが変わったということで改めて申請が必要となり、しかもその許可が出るのに改めて8か月を要した、という実話があります。
この手の許可申請に関しては、何とも理屈に合わない面倒さが出てくるのがHOAの管理下にある物件の特徴でもあります。
まとめ
このように、物件を購入する際には
「HOAに加入する必要があるか?あるのなら、月額いくらになるのか?」
このことは確実に確認しておきましょう。
私(佐藤)の場合はHOAに加入している物件が多く、加入しない場合との違いを如実に知っていますが、相対的にはHOAに加入義務のある物件は価値を高く保つ意味では安定していると言えると思います。
とはいえ、キャッシュフロー重視の投資であればHOAの維持管理費は毎月の固定費となりますから、とりわけ融資を受けてのレバレッジ投資であれば余計にキャッシュフローのマイナス要素として響いてきます。
住居用であれ投資用であれ、HOAについては購入前にしっかりと検討してください。
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