こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
物件の購入資金は
住宅ローンを組む
現金で購入する
のいずれかで工面する必要がありますが、売り主と買主のどちらの立場であったとしても、現金購入の方が有利です。
もっぱら、現金購入できるだけの資金がないからこそローンを組むわけですが、もしあなたに現金購入できる余裕があるのであれば、間違いなく現金購入の方が得になります。
とりわけアメリカでは銀行との取引関係は日本のそれと比べると圧倒的にドライですので、「銀行との付き合いでローンを組んだ方がいい」などという概念は存在しません。
アメリカでも
「余力の為に現金は残しておいた方がいい」
というアドバイスをする向きもありますが、どう考えても現金購入がいいに決まっているのです。
今日は現金購入の方が得(有利)である4つの理由について、見ていきましょう。
1.売主は現金購入を好む
物件売買では売主と買主の2つの立場がありますが、売主の視点では現金購入の方が圧倒的に好まれます。
不動産は本来流動性の低く、売買のプロセスにも時間がかかるものです。
多くの売主は
「少しでも早く売却したい」
という気持ちで市場に出しており、一度購入希望者が現れてそのオファー(購入希望額)が売主に納得のいく額であれば、そこから先は売却の手続きを少しでも早く済ませたいものなのです。
その為、複数のエージェントから次々とオファーが来るような状況では、まず高い可能性で売主としては
「高額かつ現金購入の買主」
を選ぶ向きがあります。
いざ現金購入者と売買契約を開始した後は、ローン審査のプロセスを踏み必要がないことで全体の手続きがスムースに手短に終わるためです。
2.お金と時間を節約できる
現金購入をする場合は、ローンを組む場合と比較すると明らかにお金と時間を節約することが出来ます。
売主にとって
前述と重複しますが、売主にとっては買主が現金で購入してくれた方が確実により早くクローズ出来ます。
とりわけ売主が不動産投資家である場合は尚更の話で、売主(投資家)は次のプロジェクトの資金に出来ることを期待していますから、早々に現金化してしまいたいものなのです。
買主にとって
買主にとって、現金購入は住宅ローンを組む場合と比較すると大きくお金を節約できる利点があります。
住宅ローンのプロセスでは申し込み料に始まり、様々な費用がかかってくるものです。
たとえばアメリカの場合は商業銀行で住宅ローンを組む際に、
「前倒し返済を可能とするか」
を選ぶことが出来、前倒し返済を可能とする場合は契約の時点でペナルティに相当する料金を支払う場合もあります。(銀行の規定によります)
また「Buy down(バイダウン)」と呼ばれる方法では、ローンの契約時点で物件の○%を頭金とは別に支払うことで、その割合で利子率を下げられることもあります。
住宅ローンの手続きでは、これらのオプションを取ればとるほど買主にとっては購入時の負担となり、現金購入する場合と比較するとかなりの追加出費になるわけです。
3.不動産鑑定のプロセスを省くことが出来る
住宅ローンを組む場合、通常は融資側から住宅の査定を求められます。
融資側としては多額のお金を貸し出すに際し、仮に買主が債務不履行に陥った場合の保険はかけておかねばなりません。
この保険が通常は対象の住宅そのものとなるわけですが、そうすると
「この物件の価値は実際はどれくらいなのか?」
このことをきちんと把握した上で、仮に買主が債務不履行に陥った後に差し押さえて売却した場合、どれくらいの価格で売れるのかを予め把握する必要があるわけです。
この不動産価値を推し量る調査は公認不動産鑑定士の専門的調査によりなされる必要があり、住宅ローン審査の一つとして
- 公認不動産鑑定士を選出する
- 鑑定士が対象物件を鑑定する
- 鑑定結果が融資側に出される
- 鑑定結果を融資側が精査する
というプロセスが出てくることになります。
この点も外部専門家を雇って時間とお金がかかる話になりますが、現金購入の場合と比較すると大きな負担となるのです。
また、もしここで不動産鑑定士による鑑定の結果
「この物件は求められる融資額に対して債務不履行に陥った場合、十分に損失を補てんすることは出来ない」
と判断された場合は住宅ローンが通らない結果となり、売買取引は不成立となるわけです。
売主にとっては改めて物件を市場に出す必要があり、余計に売却に時間がかかる結果となり、買主にとっては無駄なお金を費やしてしまう結果となってしまうのです。
4.住宅ローンからの解放
そして現金で購入する場合の最大の利点は、売主にとって「住宅ローンがない」ことです。
毎月のローン返済はまさに固定費であり、毎月正業でいくら稼ぐかにかかわらず、住宅ローンは契約を交わした以上は毎月きちんと返済する必要があります。
毎月10万以上、20万以上の固定費があることは精神的にも負担が大きいものです。
また毎月返済するにしてもその内訳は元金のみならず利息が含まれ、元金としては実際はさほど返済しているわけではありませんから、いよいよ道のりは長いように感じられ、精神的負担が大きくなるのです。
このことは投資物件の場合、毎月のローン返済があるとモロにキャッシュフローに影響してきます。
通常はテナントの家賃をローン返済に充てるわけですが、
テナントによる家賃の滞納
テナントの入れ替わり時期の未収入
等の要素があったとしても、固定費であるローン返済は毎月着々と進めなくてはなりません。
仮にローン返済に家賃から$1000を充てる必要があった場合、キャッシュフローの観点では
現金購入の場合 → $1000の収入
ローン購入の場合 → $1000の支出
となるわけで、数字上は倍となる$2000もの違いが出てくるのです。
これが1年間となればキャッシュフローに$24000もの差が出てくることとなり、いかに現金購入と融資を受けた場合で差がでるかが分かります。
まとめ
このように現金購入とローン購入とでは、あらゆる面から考えて現金購入が有利なことが分かります。
今日の項で一番強調したいのは最後の4番目、「住宅ローンからの解放」です。
不動産投資の場合はまさにここが一番の測りどころであり、不動産投資運用成績には雲泥の差が出てきてしまいます。
家賃収入がローンの返済に充てることなく手元に残る場合は
⇒ 修繕準備金の一部に充てる
⇒ 別の物件のローン返済に充てる
⇒ 生活資金にする
⇒ その他の不足の事態に備えて貯蓄する
等、非常に有利になるのです。
結果として間違いなく、「不動産投資を成功させる大きな要素」になり得ます。
これが理由で、私(佐藤)は相談に来られる不動産投資初心者の皆様には
「せめて、最初の物件は現金で購入を」
とお薦めしているのです。
その意味でも、アメリカ中西部のメンフィスのような市場は1000万円台で3ベッドルームを購入できますから、初心者にやさしい不動産市場なのです。
厳し目の言葉で締めくくると、メンフィスで最初の物件も現金で購入できないようであれば、不動産投資はまだ早いだろうと思います。
初心者様の為を思えばこそはっきりお伝えしますが、最初から無理に借金をして不動産投資をスタートさせると、成功率を大きく下げてしまうのです。
不動産投資の成功率を高める上で、せめて最初の一軒は現金で購入することを心がけていきましょう。
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