こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカで不動産物件を購入する場合、いずれの場合も不動産エージェントを雇って物件購入の手続きを行います。
投資物件を専門に取り扱うフリップ業者の場合は投資家と直接取引が行われることがありますが、それ以外の通常のルートで市場に出ている不動産を購入する場合は、不動産ライセンスを有しない限りは不動産エージェントに購入手続きを委託する必要があるのです。
そこであなたが自分が望む物件を選んでいざ購入となる段階では、不動産エージェントの助けを借りて「購入同意書」なるものに必要事項を記入することになります。
この購入同意書に記されていることは売主とあなたがどうした内容になり、契約にあたる約束事はほぼ全てこの購入同意書上から出ているものなのです。
そしてこの購入同意書の書式自体は各州ごとに若干の違いがあるものの、契約内容にはどの州にも共通する項目があります。
全州に共通する項目であるということはそれだけ重要性が高いということなのです。
今日はこの、不動産物件購入同意書に署名をする前に気を付けておきたい7つのポイントについて見ていきましょう。
1.オーネストマネー(Earnest money)
「オーネストマネー」は日本でいう手付金のようなものです。
購入したい物件が見つかったら、まずこのオーネストマネーと同時に購入オファー(申し出)を入れます。
オーネストマネーそのものは法律では義務付けられてはいませんが、売主にしてみれば口先だけで購入したいと言われても、手付金を渡されないことには信用できないわけです。
そこで通常はオーネストマネーは物件価格の1%~2%を渡しますが、いくらにするかは買主であるあなたが決めなくてはなりませんから、慎重に決める必要があります。
とりわけ競争が激しく買い手が多いだろうと分かっているような不動産市場では、このオーネストマネーのパーセンテージを3%~4%に引き上げることが一つのコツです。
つまり、売主側の不動産エージェントは買い手から受けた受けたオファーは全て売主に見せるように義務付けられていますから、競争の激しい市場であればあるほど、このオーネストマネーの価格が高いと
「おや?」
と売主の気を引くことが出来るわけです。
オーネストマネーそのものは購入価格の一部となりますから、購入する気持ちが真剣であればパーセンテージを上げることには躊躇する必要はありません。
また、仮にオファーが受入れらた後でも契約期間に何かしら契約書に記載されている事項に反する行為や事前に知らされていない物件の不備が確認された場合は、このオーネストマネーは全額手元に戻ってくることが規定で定められています。
ただし、購入者(あなた)自身による契約に反する行為が確認された場合は契約不履行となり、オーネストマネーは戻ってきませんので注意が必要です。
2.コンティンジェンシー(Contingency)
契約を前に進める為に、契約期間中に売主あるいは買主によって済ませるべき事項を「コンティンジェンシー」といいます。
例えば購入者が住宅を所有していて、その手持ち物件の売却を先に確約してから新しい物件の購入を確定したい場合があります。
購入者としては、自分が現在暮らしている住宅が売れないと新しい住宅を購入する為の資金もつくれないような場合です。
仮に新しい物件を購入した後でそのまま現在の家が売れないと、長期に渡って二重のローンに苦しむ結果にもなりかねないわけです。
大概はこのようなパターンでは
1.現在の所有物件を売却する
2.売却益でローンを完済させる
3.残った売却益を新しい家の頭金にする
という流れを想定していますから、新しい物件を購入したいにせよ現在の物件が売れてくれないと困るのです。
このような時、購入者はコンティンジェンシーを発動させて、
「○○○の物件が売れたら、この○○○の物件を購入します」
と同意書にしたためることが出来ます(厳密には別の同意書を付属させます)。
これに売主が同意する場合は、通常の購入契約書にコンティンジェンシーを付属させて、このコンティンジェンシーに記載されている期間の間に買主は現在の物件売却を成立させる必要があります。
この期間を過ぎてしまうと、契約は「ナシ」となり、売主も別のオファーを検討できることになるのです。
また、このコンティンジェンシーにより仮に売主が現在の物件を売却できなかった場合は前出のオーネストマネーは全額戻ってくることになります。
このように、仮に物件の購入と同時に自分が売却したい物件を抱えている場合は、このコンティンジェンシーを使用することを忘れないようにしましょう。
3.セトルメントデー(Settlement date)
「セトルメントデー」は別名で「クロージングデー:Closing Day」とも呼ばれています。
ともすると、このクロージングでの呼び方の方が日本では知られているかもしれません。
クロージングデーとはいわゆる「締め日」のことで、このクロージングをいつにするかも十分に注意を払って決める必要があります。
不動産はほとんどの人々にとって最も大きな買物であり、通常は一千万円単位のお金が動く取引となります。
その一方で、人は誰でも怠け癖があるのが本性であり、きちんと強い意志をもって約束事には臨まないと物事がなあなあになり進まないものです。
自分の出身国を持ち上げるのもなんですが、日本人は世界で比べてもかなり約束を守る方だと思います。
発生する責任が大きければ大きいほど、時間的な約束であれ何であれ、きちっと対応する傾向があるのです。
それと比較すると、海外では案外約束事をなあなあにしてしまう人種の多いこと多いこと。。
私は決して人種差別主義者ではありませんが、日本人ほど約束をきちっと守る民族はそういない、とは正直思います。
その意味では、不動産のような大きい買い物において契約をなあなあにされたら堪ったものではないのです。
不動産取引においては多額のお金が動きますから、それこそこのような契約上でしっかりと締め日を取り決めて契約期間に臨んでもらう必要があります。
もしあなたがアメリカで物件を購入する場合も、このクロージングデーに関してはまずどこの州の購入同意書にも出てきますから、ご自身のスケジュールをよく調べて同意する日を決めるようにしましょう。
一旦このクロージングデーを定めると、お互いの同意がない限りは変更することは出来ません。
また、このクロージングデーまでに契約で約束が交わされた前述のコンティンジェンシーが完了していないと「契約不履行」となり、契約は破棄されてしまいます。
またこの場合も、オーネストマネーは手元に戻ってきませんので注意が必要です。
明日に続けます。
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