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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
数日前、ある不動産ファームのブローカーが訴訟を起こされました。
私(佐藤)の方にも内容が回ってきましたので目を通すと、
「署名による同意なしに、不動産購入手続きを推し進めた」
として、この不動産ファームにかつて所属していた不動産エージェントの行為により、ファームのブローカーが訴えられたのです。
アメリカ不動産会社の仕組みとしては、こちらにも書いた通り不動産ファームを所有しているのはブローカーであり、
不動産エージェントは厳密には「ブローカーのエージェント」として、ブローカーの仮面をかぶって仲介行為を行う身です。
つまり、不動産ファームは中心となるブローカーと、その分身たち(不動産エージェントたち)で構成されているわけです。
私(佐藤)自身も上司であるアメリカ人ブローカーの代理人として活動していますから、担当地域の不動産売買においては私(佐藤)が仲介をさせて頂く場合には、そのエージェント契約書上には佐藤ではなくブローカーの名前が出てくるのです。
その為、前述のように一人の不動産エージェントが犯したミスで訴訟を起こされた場合、エージェントはブローカーのエージェントですから、ブローカーが訴えられることになります。
そして一度訴訟を起こされれば、仮にその正当性が証明されて無罪になったとしても法廷に関する費用だけでも結構な額になるものです。
その為、アメリカには自分の専門職を行う上で訴訟を起こされた場合の保険として、「E&O保険」というものが存在しています。
今日はこのE&O保険について、見ていきましょう。
E&O保険とは
E&O保険の正式名称は「Errors and Omissions Insurance」です。
直訳すると
Errors = 失敗
Omissions = 怠慢もしくは手抜かり
です。
要は、自分の専門職を通してミスや手抜かりが発生し、その為にお客様から訴訟を起こされた場合の
・法廷にかかった経費
・弁護士費用
・賠償金
等を支払うための保険がE&O保険です。
専門職とは、例えば
生命保険ブローカー
生命保険営業者
投資アドバイザー
ファイナンシャルプランナー
その他金融関連専門職(顧客と関わるもの)
等、とりわけアドバイザーや仲介者といった、お客様と直接関わる専門職の人々が加入出来る対象となります。
訴訟の可能性があるという意味では医者は最たるものですが、医者の場合は「メディカル・プラクティス・インシュランス(Medical Malpractice Insurance)」という、性質はE&O保険に似た別名の専門保険です。
アメリカの医療費というのは、医者個人が加入する保険の為に医療費が上がっている一面もあるわけですね。ある意味、医者を訴えてその結果が医療費に還ってくるようなものかもしれません。
E&O保険の場合、その補償内容は保険会社により大きく違いがあり、掛け金により補償内容が異なる点は生命保険や車両保険と変わりません。
またE&O保険会社の補償ポリシーによって、非正規社員をカバーする場合もあれば、非正規社員はカバーしない等、様々です。
金融業界の場合
例えば金融業界の場合、よほど大きなものでないと表には出てきませんが、結構な数で訴訟が行われています。
特に投資アドバイスを受けたクライアントが投資に従ってお金を運用した結果が思わしくない場合に、その損失を補てんするべく投資アドバイザーを訴えるわけです。
クライアントとしては、「投資は自己責任であり、最終的には自分が決断するもの」であることはよく分かっていますし、また事前にそのような自己責任であることを誓う書類に署名もしているわけです。
それでも署名はよそに投資成績が良ければ喜び、投資成績が悪ければアドバイザーを訴える、という結果になりがちなものです。
もちろん投資額が大きければ大きいほど、その損失も大きくなるので気持ちは分かりますが。。
不動産業界の場合
アメリカ不動産業界の場合は、
ブローカー
と
エージェント
が存在するわけですが、ブローカーが自分の名前で不動産ファームを立ち上げる際には、テキサス州の規定では
「E&O保険に加入し、自分と社員をカバーする最低1ミリオンの補償額をもつ契約をすること」
と定められています。
自分を含め、ファームで働く正社員を補償するE&O保険に加入することが義務付けられているわけです。
その為に冒頭のブローカーも、過去の分身である不動産エージェントの行為であれ自分の責任になりますので、自身のE&O保険を使って今からの訴訟に臨むことになります。
ちなみに、不動産エージェントはブローカーの仮面を被って活動しているからといって、自分の責任そのものがなくなるわけではありません。
ブローカーはブローカーで責任を背負いますが、当然ながら間違いを起こした当人にも責任は問われるのです。
また厳密にいえば、アメリカの不動産エージェントは日本語で言えば「個人事業者」の扱いになります。
個人事業者として立ち、ブローカーにスポンサーを依頼することで初めて不動産エージェントとして活動できるのです。
そうすると、不動産エージェントも個人事業である以上は自分でもE&O保険に加入することが推奨されるわけですが、不動産エージェントという専門職の場合のE&O保険例は下記のようなものです。
(*下記は一例であり、全ての不動産エージェントに当てはまるものではありません)
金額のみでいえば、
年間保険料:$5,454.00
1回の訴訟に対する補償限度額:$1,000,000
契約期間中の補償限度額:$1,000,000
契約期間中の自己負担額:$1,000
となります。
掛け金は、今のレートで約594,540円也。
結構な金額ですよね。でも、保険料の金額にはもう慣れました(笑)
かくして、アメリカの専門職たちは不動産エージェントでも、これだけの保険料を支払っているのです。日々、ミリオン単位の投資運用に関わるアドバイザーの保険料はかなりのものでしょうね。。
ちなみに私(佐藤)の場合は過去に訴えられたことがないのは当然ですが、ありがたくも日頃のクレームそのものの少なさをお褒め頂くことがあります。
でも別に自慢するようなことではなく、我欲を出さずにまっとうに商売していればクレームはほとんど起こりませんし、ましてや訴訟など早々に起こらないはずです。
コンサルティング業務にしても、まだまだ自分自身が勉強中の身ではありますが、
クライアント以上に考え、
クライアントのご意見を更に飛躍させ、
先回りして根回し交渉しておく
そんなクライアント利益至上の姿勢は変えていないつもりです。
不動産業に限らずまっとうな商売をしていれば、やりとりの中で多少の誤解は生じたとしても、根本的なクレームや訴訟などとは無縁の世界に誰でも入れるのではないでしょうか。
金銭報酬などは、クライアントを至上とする想いと行動の結果にしか過ぎないと思うのです。
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