こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
いつものご質問シリーズで項を上げます。
いろんな物件をネットで見るのですが、結局のところ、その物件が投資に適しているのかどうかさっぱり分かりません。
その物件が投資として成り立つのかは、どう判断するべきなのでしょうか?
自分でネットで検索しながらシュミレーションを繰り返すのは大変効果的です。
今の時代はアメリカの物件でもあなたのPCからいくらでも情報が引き出せますので、リアルタイムで市場に出ている物件情報を使って試算がいくらでも出来ますね。
とはいえ、情報は引き出せるにしても基準がないことには良し悪しを判断することは出来ません。
ご質問の場合は「投資に適しているか判断が出来ない」ということですが、物事を判断する上では「基準を持たねばならない」ということになりますから、不動産投資なら不動産投資であなたの目的にあった投資に対する基準を設けることが大切なのです。
節税目的
短期減価償却目的
キャピタルゲイン狙い
キャッシュフロー重視
等、これらの不動産投資効果の中であなたが求めるものはどれでしょうか。
複数の場合もあるでしょうし、最低でも1つは選び、あなたの投資目的を明確にしなくてはなりません。
まず順番としてはこの定性目標をはっきりさせたうえで、次に定量目標という数字に落とし込んでいくわけです。
そこで今回はとりあえず、あなたの投資目的が「キャッシュフロー」だとしましょう。
「これから日本はいよいよ行く先が暗い。手元に残るお金はどんどん少なくなりそうだ。今のうちにアメリカの不動産から少しでも安定したキャッシュフローを得られるように物件を購入しておきたい。」
そんな想いでキャッシュフロー重視の投資を希望したとします。
そこから初めて、
「この物件はキャッシュフロー重視の投資に向いているのか?」
という問いが出てくるわけです。
そしてキャッシュフロー重視の不動産投資を行う場合、投資として成立するかどうかを判断する基準は複数あります。
カテゴリーとしては投資成立の可否を判断するには「内部要因」と「外部要因」があり、どちらも不可欠です。
その中でも今日は内部要因にあたる1つ、キャップレートについて考えてみましょう。
キャップレートで投資可否を判断する
キャプレートは従来、大型商業物件への投資を検討するのに使われ始めた概念です。(こちらにも詳細を上げています)
それでもキャップレートの概念は一戸建て物件への投資を判断する際にも使えますので、投資判断の一つとしてキャプレートの使い方を見てみましょう。
キャップレートを算出するには、次の順番で見ていきます。
1.年間収入を家賃から見立てる
一戸建ての場合、その収入元はほぼ100%が家賃となります。
そこでその物件の適正市場家賃価格が不確かな場合、zillow.com等で検索して同等物件の家賃を見比べてみてください。
ご近所に散らばる同等物件の家賃の平均が適正家賃価格とみてほぼ間違いありません。
2.年間支出を見立てる
その物件を所有した後で一年間に発生してくる支出を見積もります。項目としては
レントロス
投資物件を購入して賃貸に出す場合、「物件を保有する期間中、完璧に100%家賃が毎月入り続ける」ということはまずあり得ません(数週間で物件を売却しない限り)。
レントロスと呼ばれる、家賃が入らない期間は必ず発生してくるものです。
そこで、プロの場合はこのレントロスを年間5%~10%の間で見積もります。
投資物件を売るフリップ業者からの情報では、そのプロジェクション(収益見積書)上の情報には大概「レントロス 5%」と、低く見積もられているはずです。
私(佐藤)の場合は保守的に、レントロスは10%で見ます。
レントロスの原因は「家賃支払い不履行」「住人退去」が主な理由です。
またテナントとの交渉で家賃を多少下げるのも、レントロスの一つの原因になります。
これらのレントロス要素を全て加味して、年間5%~10%のレントロスを予想値として支出に含めます。
例えば毎月の家賃が$1,000であれば、年間収入は$12,000になりますが、レントロスを
5%の場合 ... $600($12,000 × 5%)
10%の場合 ... $1200($12,000 × 10%)
の支出と見るわけです。
固定資産税
その物件に対する固定資産税は毎年発生しますから、固定資産税も確実に年間支出に含めるようにします。
その物件の固定資産税がいくらなのかを正確に算出するには、一番よいのは管轄郡の役所のデータベースで調べることです。
大概は対象物件の情報は役所のデータベースであなたのPCからも閲覧することが出来ますし、ここが最も正確です。
もしくは、管轄郡によってはこのデータベースに入れないこともありますので、その場合はzillow.com等の一般物件検索サイト上の情報で確認が出来ます。
過去の固定資産税額情報が掲載されていますので、それを見れば固定資産税上昇率も計算できるはずですから、ほぼ正確な固定資産税を見立てることが出来るのです。
水道光熱費
テナントが支払う電気・ガス・水道等の水道光熱費以外に、家主であるあなた自身が支払うことになる水道光熱費がある場合はその点も見積もっておきます。
保険
家屋保険は必須のアイテムです。
物件に損害が発生した場合の補償のみならず、テナントが物件が原因で怪我をした場合の補償の為にも保険には加入しておく必要があります。
保険料に関してはおおよその数字はインターネットのコラム等で検索できると思いますが、より正確な情報はその物件を管轄する保険会社に問い合わせて見積もりを取るしかありません。
一度見積もりを取れば、同等の物件であればその後も同じ数字を使えばよいと思います。
修繕費
家賃収入が毎月毎月入ることはあり得ないのと同様に、物件保有期間中に修繕が発生しないことはあり得ない、と考えてください。
ちょっとした破損の修繕、屋根取り換え積立、大型製品(エアコンや温水器等)の入れ替え積立、有事の修繕工事積立等を試算しておきます。
それぞれのケースの実際の修繕費・交換費用は地域によっても大きな違いがありますので、あなたが投資を検討している地域ではどれくらいの修繕費を見積もる必要があるのかは独自に調べる必要があります。
保険と同様にインターネット上のコラムで情報を取る方法もありますし、地元のフリップ業者に問い合わせるとより確実な情報が手に入ると思います。
。。。
ここまで、一戸建て物件の場合のキャップレート算出に必要な年間収入と年間支出の算出についてお伝えさせて頂きました。
ここから今度は物件価格をもってキャプレートを算出し、投資可否を検討していくことになります。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。