こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
ご質問シリーズで項を上げます。
現在アメリカに賃貸物件で暮らしています。
家賃が年々上昇している為、それならばいっそのこと物件を購入した方がいいかもと思い地元の不動産エージェントの方に相談したところ、ぜひ購入するべきだと言われています。
セカンドオピニオンとして伺いたいのですが、佐藤様は今の時期にアメリカで不動産購入を進めるべきと思われますか?
今のアメリカで不動産を購入するべきかどうか、というご質問です。
不動産エージェントは誰でも「買ったらいいよ!」というでしょうから、セカンドオピニオンがほしいのとのこと。(私もエージェントですが。。)
実際、同様のご質問は多くいただきます。
⇒ アメリカの家賃はどんどん高くなる
⇒ 必ずしもそれに伴って賃金が上昇するわけではない
⇒ それならば、家賃としてお金を捨てるよりも自宅として購入して資産にした方がよいのでは?
このように悩まれる方が、今の時期には多いのです。
そしてこのようなお悩みをお持ちの方々に共通するのは、
「けれど、今購入すると再び大暴落の憂き目に合う可能性があるのでは?」
という懸念。
購入したはいいけれども、やや過熱気味の今の時期に購入してしまうと大損するのではないか?
そんな不安が足枷となり、アメリカで自宅購入の決意を踏みとどまらせているわけです。
実際のところ、今のアメリカで不動産物件を購入するべきなのでしょうか?
もしくはしばらく様子を見るべきなのでしょうか?
今日は、この点を深堀して考えてみましょう。
不動産購入は蓋然性で判断する
最初に正直に告白しますが、実は私、「不動産投資に関する本」は一度も読んだことがありません。
正真正銘、オフィスの本棚には不動産投資関連の本は一冊もないのです。
不動産エージェントライセンス取得に必要だったテキストは当然ありますが、テキストには不動産投資に関する項目など一つもありません。
この考えは20代のSEだった頃に身に付いたものですが、結局のところ実社会ではあらゆる教科書は役に立たないと考えています。
プログラマーだった時代にも教科書なしに実践でスキルを上達させてきましたし、分からないことがあれば世界中のプログラマー達が知恵を集結している英語フォーラムサイトにいけば、そこにヒントがありました。
IT業界などそれこそドッグイヤーで進歩していきますから、ナンタラIT資格を目指して必死にテキストを勉強しても、修了する時には時代遅れになっている可能性が非常に高いのです。
不動産業界については、私自身は「不動産管理」から入りました。
これは自分で望んだわけではなくたまたま流れでそうなったのですが、ここでも不動産管理について学んだのは教科書ではなく、教えてくれたのは業者のおっちゃん達だったのです。
それを土台に進んだ不動産投資にしても、やはりやりながら覚えていく過程の中で教科書で学んだことはありません。
なので私がこのブログサイト上で書いているのは実体験を元にしたものばかりで、教科書で学んだ知識はないことをお伝えしておきます。
。。。
そんな私ですが、それでは不動産投資については何を基準にしているのか?といえば、多分これはあらゆる投資にも通じる話だろうと思いますが、
蓋然性(がいぜんせい)
を基準にしています。(あくまで佐藤個人の基準です)
蓋然性とは確実性の度合いの意味になりますが、結局のところ自宅を購入するにしてもそれを不動産投資の一つと考えるのであれば、そこには常にリスクが伴います。
リスクゼロの投資など存在しませんから、要は大切なのは
「この不動産購入(不動産投資)はどれだけ確実性が高いのか?」
という、理論値で確実性を求める姿勢が大切だろうと思うのです。
感情だけで
「う~ん、どうしようかなー。」
と考えて判断するのは危険です。
きちっと数字で判断して、その上に自分の感情をかぶせて、最終的に自分が心から納得する判断を下すのが適切と考えています。
暴落の可能性は高い、けれども再浮上する可能性も高い
そこで、冒頭のご質問のお答えに近づけていきましょう。
今のアメリカでは物件価格が上昇しすぎている感があるのはご存じの通りです。
2007年夏ごろから動きがおかしくなり、そこから一気に不動産価格の大暴落が始まったのは10年前のこと。
そしてサブプライムローンの巨額の損失でリーマン・ブラザーズの経営が破綻し、それが引き金となって世界の金融危機をもたらしたリーマンショックは2008年9月ですから、来月であれからちょうど10年になります。
今日までにアメリカの不動産価格は2007年当時の水準に戻るどころか、それ以上の価格に推移しています。
こちらのグラフをご覧ください。
(出典:セントルイス連邦準備銀行)
上のグラフはアメリカ全体の不動産価格の中間値を表しています。
時間軸でポイントを箇条書きにすると、
● 2007年第1四半期に最高値の$257,400から一気に暴落
● 2年後の2009年第1四半期に$208,400の底値を打つ
● 4年後の2013年第1四半期までに$257,400まで戻す
● 2017年第4四半期に$337,900の最高値
という(回復+上昇)ぶりです。
上のグラフから、2つの現象がハッキリと読み取れます。
1.アメリカの不動産物件価格は、過去に上下がありながらも相対的には上昇し続けている
2.2007年大暴落後、不動産価格は当時のそれ以上になっている
という事実です。
現象には常に原因があります。
相対的に価格が上昇し続け、かつ暴落が起こっても価格が戻っている原因は何でしょうか?
その一番の原因はズバリ、アメリカの人口増加です。
こちらのグラフをご覧ください。
(出典: tradingeconomics.com)
アメリカの人口は過去一貫して増加し続けていますね。
トランプ大統領の政策でここ最近伸びが鈍化しているとはいえ、トランプ政権以降も鈍化し続けると思いますか?
その可能性は低いですね。
人口は不動産需要で最も大切な要素の一つです。人が生きていく上での「衣食住」の一つである住は必ず必要になります。
そしてこの人口増加という「原因」が、
1.アメリカの不動産物件価格は過去に上下がありながらも、相対的には上昇し続けている
2.2007年大暴落後、不動産価格は当時のそれ以上になっている
という結果につながっていると考えられるのです。
これを一つの蓋然性と考えれば、冒頭のご質問の答えは自ずと出てきますね。
つまり、
「アメリカの不動産は今後も価値が上昇し続ける可能性が高い」
「大暴落が再び起こっても、ピンポン玉のように不動産価値(価格)は再び浮き上がってくる可能性が高い」
ということです。
それならば、不動産購入検討の入り口としては
⇒ 購入は早ければ早い方がいい。今のうちに購入しよう。
⇒ 購入するにせよ、価値が下がった時がいい。再び暴落が起こるまで待とう。
この二択になるのではないでしょうか。
ただし、後者の場合は
- いつ価格調整がどのような形で起こるのか分からない
- その時に競争を勝ち抜いて、無事に安値で購入できるのか分からない
という不安要素が残りますから、その意味では前者の方が無難なのです。
結論、ご質問のお答えとしては
「
近い将来に何らかの形で価値が下がる可能性は否定できませんが、慌てずに待てばその後価値が戻る可能性は高いです。
それならば今のうちに購入しても間違いではありませんし、むしろその方が無難だと思います。
」
となります。
あなたのアメリカ不動産購入の参考になりましたら。
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