こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
質問シリーズです。
米国内に在住の方々から頂くご質問の中にこのようなものがあります。
家を購入して現在の賃貸物件から引っ越したいのですが、周りの友人・知人からは必ず不動産専門の弁護士を雇うように言われます。
弁護士を雇うとそれなりに費用がかかると思いますが、やはり購入する時には弁護士は必要なのでしょうか。
アメリカで不動産物件を購入するにあたり、弁護士を雇う必要があるかというご質問です。
実際、あなたがアメリカで物件を購入する際には必ず購入契約書にサインをすることになりますが、例えば現在のテキサス州の四戸建てまでの住居用物件に使われる購入契約書の最後の項目にはこのように書かれています。
24.CONSULT WITH AN ATTORNEY BEFORE SIGNING: TREC rules prohibit real estate license holders from giving legal advice. READ THIS CONTRACT CAREFULLY.
TRECとはTexas Real Estate Commissionの略です。日本語的にいえばテキサス不動産協会ですね。
私達テキサス州の不動産エージェントライセンスを有するものは、物件売買の取引に携わる場合はこのTRECが発行している定形の契約書テンプレートを使用することが規約上定められています。
不動産会社毎に契約書内容が違う、ということはありませんのでこの点は安心ですね。
そしてこの契約書の一番最後、サインをする前にわざわざタイトルが
「
CONSULT WITH AN ATTORNEY BEFORE SIGNING(署名の前に、弁護士にご相談ください)
」
と記載されているのです。
日本で習う英語的にはここは命令文で書かれていますが、かといってこれに従って必ず弁護士を雇うことが法律上定められているわけではありません。
TRECとしては
「私は弁護士を使ってこの契約書をよく読むように警告しましたからね。
もし何かトラブルがあっても、TRECが出しているこの契約書の責任はしないでね。」
と暗に言っているわけです。
アメリカの商業取引ではしばしばこのように暗に訴訟を避ける為の文言や行動を目にします。
恐らく早晩日本でもそのようになってくるような気がしますが、アメリカの場合は今の時点でも訴訟を事前回避する姿勢は顕著です。
そして実際に不動産取引においてトラブルは多々ありますので、このようなTRECの警告の仕方は決して間違ってはいないわけです。
とはいえ、あなたがアメリカで不動産売買する際には実際に不動産弁護士を雇う必要があるのでしょうか?
今日から、アメリカの不動産取引において弁護士を雇う場合について深掘りしてみましょう。
結構大切な話なので、2日間に分けてお伝えさせて頂きます。
不動産弁護士の役割は?
そもそもアメリカの不動産売買において不動産弁護士を雇った場合、彼らは何をしてくれるのでしょうか?
不動産弁護士の役割には主に下記のような3つの役割があります。
契約書内容を確認する
これは一番分かりやすいと思いますが、まず不動産弁護士は不動産取引において登場するありとあらゆる契約書類に目を通し、確認をしてくれます。
とりわけあなたにとって不動産取引が初めてである場合は不安はつきものですし、その不安は契約書類に署名する時が最高潮になろうかと思います。
この契約書に専門的な表現で変なことが書かれていて、よく理解せずにサインをして後からトラブルになったら、、。
とりわけ初めての取引であればそんな不安はあるものです。
その為、アメリカ人でも不動産弁護士を雇って逐一契約書の内容を確認する方は結構な割合でいます。
前述のTRECが明記しているアドバイス(警告)に従って、きちんと不動産弁護士を通して取引を行っているのです。
例えばこちらが買い主側で物件を購入しようとした場合に、売り主の希望売却価格よりも低い価格でオファーを出したとします。
そうするとしばらく返事が返ってこない場合がよくありますが、この場合の多くは売り主がこちらのオファーを弁護士に回して確認してもらっているのです(オファーレターの内容を精査している)。
また同様に買い主が不動産弁護士を雇う場合は、一番最初の購入契約内容確認はもとより、相手からのカウンターオファーを精査する際に内容確認を依頼する場合もあります。
このようにオファーレターを初めてとして不動産弁護士は売買取引において終始、契約書内容の確認を行ってくれます。
契約書を加筆・修正・削除する
そして不動産弁護士には、契約書内容を加筆・修正・削除することも許されています。
これは私(佐藤)のような不動産弁護士資格を持たない者には出来ない行為です。
通常の不動産エージェントが行うべきは淡々とTREC(テキサス州の場合)が用意する定形の契約書に沿って取引を進めることだけであり、不動産エージェントは契約書への代理記入は出来ますが、項目を加筆・修正・削除する行為は厳禁とされています。
私(佐藤)は日本の不動産取引は全く経験がないのですが、日本の場合は不動産会社毎に内容が多少違うと聞いたことがあります(間違いであればすみません)。
もし不動産会社毎に契約内容が違うのであれば不安が伴いますが、アメリカの場合は州単位で契約書のテンプレートが定められているので安心です。
そして不動産弁護士の場合は、この定形の契約書内容の加筆・修正・削除が可能なのです。
また、大きな取引になるとゼロから契約書を草案することも弁護士には許されています(使用前に不動産協会からの許可が必要です)。
とはいえよほど大きな取引でない限りは契約書内容を変える場面は早々に出てこず、通常の住居用物件売買であれば定形のテンプレート契約書に沿った手続きだけで済むはずです。
明日に続けます。
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