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マイクロアパートメントという新しいトレンド

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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

「六畳一間、台所とキッチン付」

日本ではこのような1人暮らし用のアパート物件の広告をよく目にしますね。

昔、東京で暮らす知人宅でこのサイズのアパートに泊めてもらったことがありますが、駅から徒歩1分で家賃は9万円でした(高いのか安いのか相場が分かりませんが)。

かつて、日本ではごくありきたりなこのサイズのアパート賃貸物件はアメリカではまず見ることがありませんでした。

日本とアメリカでは人口に対する国土の広さから建物サイズの規定に関する感覚が根本的に違うこともあり、そもそもここまで小さいサイズを売り(貸し)に出すことは違法だったのです。

ところが約10年前にこの法律が改正されてそれまでの縛りがなくなり、近年は小さいサイズのワンルームアパートが賃貸に出されるようになりました。

この背景にあるのは、近年続いているアメリカ全土の家賃上昇です。

物件価格が10年前の暴落前の価格どころか、そのほとんどの地域においてはあの当時以上の物件価格に推移してくる中、家賃相場そのものもインフレに伴って上昇し続けています。

そんな中、

「家には寝る為に帰れればそれで十分。広いキッチンやリビング、裏庭は求めない。それよりも家賃を安く抑えたい。」

というニーズに応えて、最近では「マイクロアパートメント」と呼ばれる物件が登場するようになりました。

アメリカ人からすればかなり手狭な部屋で「えっ?」と驚くレベルですので「マイクロ」と呼ばれていますが、日本だと別に珍しくはないサイズです。

今日は、このマイクロアパートメントについてその詳細を見ていきましょう。

マイクロアパートメントのサイズ

まず「マイクロ」と呼ばれるに賃貸物件はどれくらいのサイズなのか?というと、典型的なサイズとしては300スクエアーフィート以下です。

換算すると27.8㎡。

日本のホテルの客室の広さが

シングル ・・・ 15㎡
ツイン ・・・ 25㎡
ダブル ・・・ 22㎡

程度だとすると、ツインルームよりも一回り大きいイメージでしょうか。

ところが、このサイズでも手に届かないくらい高額な大都市のマイクロアパートメントになると100スクエアーフィートなんてものもあります。

換算すると9.29㎡ですから、上記の目安であればホテルのシングルルームよりもはるかに狭いことになりますね。

六畳一間の広さが10.9㎡ですから、厳密には六畳よりも狭いサイズのマイクロアパートメントまで登場しているのです。

マイクロアパートメントが存在する都市

そして前述のように、マイクロアパートメントが登場した背景には「家賃の高騰」があります。

少しでも家賃を抑える為に小さいサイズの賃貸物件が提供され始めたわけで、その意味では必然的にマイクロアパートメントは大都市を中心に出始めています。

例えばニューヨークのCarmel Place

ここでは260スクエアーフィート程度の戸が賃貸物件として出されていますが、

折り畳み式ベッド

小ぶりなバルコニー

壁に入り込んだ冷蔵庫や洗濯機

等のデザイン性を伴うスペース使いで

「案外悪くないじゃないか」

と、住に寝るだけの機能を求める層に受けているのです。

この新しいトレンドにデベロッパーも目をつけ、他の都市ではいえば

ボストン ⇒ Factory 63

ワシントンD.C. ⇒ Moda17

デンバー ⇒ Turntable Studios

ヒューストン ⇒ The Ivy Lofts

等が登場しており、今や全米一家賃が高いともいえるサンフランシスコ近郊でもPanoramicのようなマイクロアパートメントが建築中となっています。

マイクロアパートメント特有の機能性

そこで、デベロッパーとしてもマイクロアパートメントを貸し出すにあたってポイントとなるのは

「いかに住人に狭さを感じさせないか」

です。

アメリカ人は従来広いスペースの居住空間に慣れていますから、マイクロアパートメントのサイズになると大抵のアメリカ人は引いてしまいます。

いくら大都市で家賃を抑えて暮らしたいと言えども、ある程度の快適性は確保したいものです。

その点はマイクロアパートメントの開発にあたり設計チームがよく工夫を凝らしており、

高い天井

大きめの窓

部屋から外に見えるバルコニー

と、上方に外側にと飛び出るように見せるデザインで錯覚ながらも広く感じるように設計がなされています。

また、住人であれば使用できる

屋上デッキ

パティオ

等の共有スペースも設けられており、ゲストを呼んでちょっとしたパーティーを開く際にも狭っ苦しい部屋の中ではなく、これら共有スペースが使えるようになっているのです。

かつ、基本設計としては前述のように狭いスペースを上手に活用する概念が大元にある為、

壁に収納される折り畳み式ベッドが更にソファーに変形

仕事用デスクに変形するコーヒーテーブル

通常は4つのストーブが付いているガスコンロの前後を狭くしてストーブは2つのみ

通常の冷蔵庫よりも前後の幅を狭くしたスリムな冷蔵庫

等、マイクロアパートメント特有の機能が供えられています。

これに加え、いくつかのマイクロアパートメントでは

無料Wi-Fi

ハウスキーパー

までアメニティとして付属しており、狭さへの不満を打ち消す快適な生活が提供されているところもあるのです。

マイクロアパートメントの価格

ここまでご紹介してきたマイクロアパートメントの価格ですが。。

「大都市の高い家賃を避けたい人々の為の住居」

という位置づけであるはずですが、それでも価格は決して安くはありません。

大きなスペースが約束される従来の物件より安いのは事実ですが、それでも需要の高さに伴ってそれなりのお値段となり、前述のニューヨークのCarmel Placeであればおよそ260から350スクエアーフィートの部屋に対し家賃は月額$2,500となります。今の換算レートで約28万円です。

これがロサンゼルスのOne Santa Feであれば474スクエアーフィートのスタジオで月額$1,975、約22万円です。

決して安いとは言えませんね。

。。。

このように過去10年の間にアメリカでその数が増えつつあるマイクロアパートメント。

大都市で高い家賃を避けたい人々の需要を掴んで順調に成長しつつありますが、その正体は今のところはあくまで「高所得者の独身用」と言えそうです。

とても平均的な給与で支払える家賃ではありませんから、今はまだマイクロアパートメントという新しいトレンドの黎明期といえるのではないでしょうか。

それでもこの

「狭い場所でもいいから、高い家賃を避けたい」

という考え方自体は全ての層にあるはずです。

将来的には地方都市を始めとして同様のデザイン性と機能性を兼ね備えたマイクロアパートメントが広がっていくと、その需要はかなり大きいと言えるのではないでしょうか。

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