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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本年も終わろうとする今、ここ数日のお問い合わせ数はさすがに減る傾向にあります。
年末の仕事納め、挨拶まわり、年明けの準備と慌ただしいタイミングですね。
私(佐藤)にとって、この年末年始のタイミングは来年以降の目標に向けた準備に存分に時間を投下できる好機です。
世の中のお休みモードにこそ一気に加速し、年が明けたら更に速度を増していきます!
ちなみにアメリカ人は基本働かないと思われがちですが、結果を出す優秀な方々はそんなことはありません。
彼らからはクリスマスも年末年始もなく返事はすぐに返ってきますし、その意味では周囲が休んでいるおかげで有志同士で企画をどんどん進められる時期ともいえます。
そんな一年でも興奮度が高くなるこの時期、正確には過去約一週間の間に複数の同じ趣旨のご質問を頂きました。
株価が大幅に続落していますが、株式市場の下落はアメリカ不動産市場にも影響してくるのでしょうか?
たった今起こっている株の大幅下落がアメリカ不動産市場にどのような影響を与えるでしょうか、とのご質問です。
ここ数年好調だったダウ平均株価は本年2回ほどやや激しい下落がありましたね。それがこの年末は目も当てられない状況に落ち込んでいます。
今日は、この大幅下落の動きがどのようにアメリカ不動産市場に影響し得るのかを考えてみましょう。
二人の人物に例えてみる
結論から先にいえば、今回の株価大幅下落によるアメリカ不動産市場への影響はごく限定的だろうと考えています。
あくまでの私(佐藤)の理解ですが、株式市場と不動産市場は性格が正反対の二人の人物のようなもの。
二人の名前を
株式市場 = 株さん
不動産市場 = 不動さん
としましょう。
株さんは気分屋で、どちらかといえば感情の起伏が激しいタイプ。
調子が良い時は良いのですが、人目を気にする性格も災いしてすぐに落ち込んでしまう傾向があります。
その一方で不動さんはかなりのマイペース。どちらかといえば鈍感な方で反応は鈍く、あくまでも自分のペースで物事を進めていきます。
大コケすることもありますが、それでもマイペースに時間をかけて復活して前進し続けるタイプです(多分、佐藤はこのタイプ)。
この二人、それぞれが日々の生活で違った栄養を摂取して暮らしています。
株さんは「期待値」から構成される栄養素。目に見えない栄養素ですが消化が抜群によい為、その影響はすぐに株さんの心と体に影響してきます。
他方、不動さんが摂取するのは「人口、人口動態、賃金・雇用機会」から構成される栄養素。
いずれも目に見える栄養素ですが消化がよいというわけではなく、不動さんの心と体に影響を及ぼすには時間がかかります。
けれども一度影響を及ぼすと、その効果は中長期に渡り持続する傾向があります。
そしてこの両者、どちらかというと株さんの方は不動さんの動きをチラチラ気にしながら影響を受けてしまう一方で、不動さんはさほど株さんのことは気にせずにマイペースに進む傾向にあるようです。
このお二人の特徴をまとめると、
1.二人の性格はほぼ正反対
2.二人が摂取する栄養素は根本的に違う
3.株さんは不動さんに影響される一方で、不動産はマイペース
となります。
過去の事実を見てみる
ここから頭をエンジニアモードに切り替えてみていきましょう。
前提として、株式だろうが不動産だろうが将来を性格に予想できる人は世の中に誰一人として存在しません。
現代の複雑系の世界経済では特定の誰かが完璧にコントロールすることはまず不可能であり、それは空気中の落ち葉を10メートル先の直径10センチの穴に落とそうと試みるようなもの。
落ち葉に影響する風をコントロールして穴の方向に向かわせることは出来たとしても、10メートル先の直径10センチの穴に完璧に落とし込むことなどまず不可能なのです。
そこであるとすれば蓋然性(過去の事例から測れる将来の再現性)で物を語る程度ではないでしょうか。
その意味で、私達もここでは過去の事実から蓋然性で考えてみます。
先の例えで
「2.二人が摂取する栄養素は根本的に違う」
とお伝えしましたが、株式市場と不動産市場の活動に影響する因数には根本的な違いがあります。
不動産価格に影響を及ぼす三大要素は
人口
人口動態
賃金・雇用機会
であり、その意味では株式の動向は
賃金・雇用機会
に連動し得るとは思いますが、現実には賃金・雇用機会が不動産市場に影響するのもある程度時間がかかり、しかもその影響は全体的な不動産市場というよりは地域市場に限定されるものです。
その一方で唯一、株式市場と不動産市場を比較した時に共通項になり得るのはFRBの金利政策です。
不動産金融はモロにFRBの影響をうけますので、今回の株価下落の一因にもなったFRBによる利上げによりアメリカ不動産市場では
物件買い控え
物件駆け込み購入
この両者が来年に向けてより明確に分かれてくることが予想されます。
つまり、FRBによる金利政策は株式市場と不動産市場の双方に影響し得るとはいえ、
⇒ 株式市場
⇒ 不動産市場
のそれぞれに、独特の影響を与えるというイメージでしょうか。
そこで、過去5年間の米国株式市場の動きと不動産市場の動きを比較してみましょう。
不動産市場は常々「キャッシュフローが潤沢で打たれ強い」とお伝えしているメンフィス市場と、キャピタルゲイン市場の一つであるロサンゼルス市場を取り上げてみます。
source: tradingeconomics.com
ダウ平均株価 - 過去5年間
メンフィス不動産市場 - 過去5年間
ロサンゼルス不動産市場 - 過去5年間
このように、過去の実績でも不動産市場としては株式市場の上げ下げとはほとんど連動せず、ただマイペースに一定の周期をもって物件価格が値上がりし続け、かつメンフィス市場に至っては販売数が伸びつつあることが分かります。
「株価が全体的に上向きだったら、不動産価格も上昇し続けたのでは?」
というご意見もあるかもしれませんが、これは過去約10年の間に日経株価が相対的に
このように上昇し続けた一方で、日本の不動産価格が上昇し続けたかといえばそうではない事実からも答えが分かります。
「株価の変動が不動産価格の変動に影響する」
という強い証拠は見つけられないようです。
その一方で
「3.株さんは不動さんに影響される一方で、不動産はマイペース」
とお伝えしましたが、ダウ平均株価を時系列のMaxで見てみましょう。
2007年から2009年にかけて、株価が大きく下落していることが明確に分かりますね。
この時期をご記憶の方も多いと思いますが、例のサブプライム問題に端を欲する世界金融危機です。
つまり、過去の事実を見る限りは株さんは不動さんの目をいつも気にしており、株さんは不動さんの動向に影響を受けてしまうことは否めません。
結論、今回の断続的な株価の大幅な下落により
賃金・雇用機会
この因数に影響が大きく出ることがあれば、その地域市場には多少なりとも不動産価格に影響が出ることはあるかもしれません。
けれども株式市場と不動産市場を構成する根本的な因数に違いがある以上は、今回の株価下落による不動産市場への影響は極めて限定的なものに留まるのではないでしょうか。
念のための免責
本日の項は将来の株価や不動産価格を予想・保証するものではありません。
あくまで佐藤個人が過去の事実から理解する、蓋然性の尺度による個人的な見解です。
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