こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカでは冬の寒い時期に南部に移動して暮らす人々がいます。
その多くはリタイヤしている年配者ですが、普段はシカゴやニューヨーク等の冬の寒さが厳しい北部で暮らす中、寒さの厳しい冬だけフロリダ等の冬でも気候が温暖な地域に一時的に移住して暮らす方々です。
この冬場の一時的な移住者の人々をSnowbirds(スノーバード)と呼びます。
日本でいう渡り鳥のイメージですが、冬の寒い時期だけ一時的に渡ってきて、暖かくなると地元に返っていくわけですね。
もっぱら、移民の国であるアメリカでは出身国が温暖あるいは亜熱帯気候に分類される東南アジアや中南米出身で、冬だけ出身国に戻って春に戻って来る方々もいますが、出身国そのものがアメリカである地元人は主に南部に移動するわけです。
そのような生活を毎年繰り返す中で、彼らの中には当然のように湧いてくる疑問があります。
「毎年訪れるのなら、いっそのこと物件を購入した方がよいのでは?」
スノーバードの誰もがこのように思うようです。
この場合、スノーバード達は避寒地に物件を購入するべきなのでしょうか、もしくは賃貸で済ませるべきなのでしょうか。
今日は、アメリカのスノーバード達の中でも避寒先の物件購入を決めた人々が取る典型的な行動についてみていきましょう。
すぐには購入しない
スノーバードの中で避寒地に物件をセカンドハウスとして購入するタイプの人々は、その購入決断に数年をかける傾向があります。
避寒地を訪れるのは年に一度の数ヶ月間(或いは数週間)だけなわけですが、ワンシーズン滞在して
「ここはいい!ここの物件を購入したい!」
とはならないようです。
もっぱら、セカウンドハウスで購入する以上はその目的は不動産投資というよりも「自分たちが暮らす」目的が大半を占めます。
そうすると、投下する資金に対するリターンというよりは「自分たちが暮らしていてワクワクするか」という感性の方を重視する傾向があるようです。
そもそも避寒地にセカンドハウスを購入するスノーバードはご年配の老夫婦が多いのですが、どちらかというと奥様の希望が購入判断の大きな比重を占め、最終的には二人が感覚的に「暮らしたい」と希望する地域を選ぶ傾向が見受けられます。
そうするとどうしてもワンシーズンの滞在だけでは分からない側面が多くありますから、何年間かは賃貸での滞在を繰り返して購入するか否かを決めていくわけです。
このことは日本国内で考えてもそうですね。
例えばあなたが軽井沢にセカンドハウスを購入するとなった場合、避暑地としてある夏に訪れていきなり購入するかといえばそこは慎重になるものです。
軽井沢であれば物件価値としてもその需要から場所を選べばお金を捨てることにはならないとしても、すぐに購入するかと言えば、やはり何度か訪れてそこでの暮らしが本当に自分に合っているかを確かめるものだろうと思います。
行く先を変える
そして真剣にセカンドハウスとして避寒地での物件購入を考える方々は、毎年の冬に訪れる避寒先を変える傾向があります。
今年はフロリダ州マイアミ
今年はアリゾナ州ツーソン
今年はカリフォルニア州パームスプリングス
と行く先を毎年変えて、自分たちの感性にあった地域を選ぶわけです。
アメリカは広いだけに、東と西であればその景色と気候はまるで違ってきます。
実際にそこで数週間暮らしてみると、その気候の違いから自分の体調への影響もよく分かってくるものです。
例えばカリフォルニアやアリゾナの場合は空気が乾燥しているため、その気候に慣れない人々は冬は喉をやられて咳き込んでしまう場合があります。フロリダであれば湿度が高い為、そのような心配はありません。
そして自分自身の体調への影響はもとより、
- 周辺地域の暮らしやすさ
- 近所の人々の様子
- 近隣にあるアトラクションの種類
等、自分たちが実際に暮らしてみて各地域の特徴を比較し、自身のライフスタイルにあった場所を選定していくのです。
そしてそのように地域の選択肢を広げられるのは、アメリカの不動産物件は基本的に価値が上昇していく前提があるからです。
自分たちが暮らしたいと願う感性面がはんだん中心になるとはいえ、よほど下手な地域に物件を購入しない限りは物件価値は基本的に上昇していきますから、いわゆる元本割れは起こりにくいものです。
そうすると、自分たちが暮らさない夏の時期は貸し出したとしても、その限定期間の家賃収入で固定資産税や管理費等、最低限の維持費が賄えれば十分なわけです。
そのような資産保全としてはある種の保証がある為に、避寒地にセカンドハウスを求める人々は毎年行き先を変えて、数年かけて物件購入を検討する傾向があります。
。。。
私(佐藤)自身は職業柄、全米あちこちの地域とそこにある不動産物件を見てきましたが、実際に自分自身がスノーバードだったとして地域を一つに選べと言われるとすごく難しいものです。
フロリダであればマイアミから少し北のフォートラウダーデールが最もバランスがよいように思いますし、アリゾナの片田舎に近い地域でも人気の高いツーソンであれば美しい岩山が魅力的です。
また現実面としてその物件を維持する費用も地域によって違いがありますから、避寒地としてのセカンドハウスを購入する前にはやはり数年かけて地域を選ぶことが賢明だろうと思います。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。