こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ史において、開拓期当初に存在した物件は木造がほぼ100%でした。
その後1800年代からブロック式の建物が徐々に増え、「木造」と「コンクリート」の2つの素材を中心に今日の建築技術は発展してきています。
そして物件のフロアに関しては、当時は「物件素材のままの剥き出し」が当たり前でした。
木造物件であればフロア部分も木がそのまま剥き出しでしたし、コンクリート物件であればフロア部分もコンクリートがそのまま剥き出しだったのです。
その後に登場したのが日本でも知られる「ラグ」と呼ばれる、ミニカーペットのような素材。
現在もデザイナー系ラグはよく使われていますが、昔も今も変わらないのはラグはどちらかというと室内のワンポイントデザインの意味合いが強いものです。
必然、当時のアメリカカーペット業界はラグ程度の商品を売るにとどまり、その業績は鳴かず飛ばずのものでした。
ところが後に、アメリカのカーペット業界のマーケティングに異変が起こります。
それまでのカーペット業界では顧客は「物件に暮らす一般消費者」が常識だったのが、顧客対象を「住宅の設計者」にシフトするべきことに気づいたのです。
このマーケティングの変化はホームランとなり、結果としてアメリカでは「Wall-to-Wall Carpet(壁の端から端まで敷き詰められているカーペット)」と呼ばれる室内カーペットが今では当たり前のように使われています。
現代のアメリカ一般家庭でカーペットが床のように敷き詰められている姿は、カーペット業界のマーケティング戦略の勝利によるものだったわけですね。
ところがこのカーペット、投資家の私たちの観点からすると考えものです。
ズバリ、投資の観点ではカーペットは「継続的な出費の要因」になってしまいます。
そこで今日は、投資の観点からカーペットフロアとハードウッドフロアを比較してみましょう。
ハードウッドフロアが好まれる傾向
最初に結論から言えば、不動産投資の観点では物件の床で
カーペットフロア
ハードウッドフロア
のどちらがよいかといえば、間違いなくハードウッドフロアに軍配が上がります。
もちろん「カーペットフロアは失敗」と断ずる意味ではなく、ハードウッドフロアの方が利点が多いという意味です。
その一番の理由となるのは、
「住居目的の物件購入者、賃貸目的のテナント希望者に関わらず、全米を通してフロアはハードウッドの方が好まれる傾向」
というもの。ハードウッドフロアの場合は
⇒ 物件の売却時に売れやすい
⇒ カーペットに比べて賃貸力がある
となる傾向があります。
繰り返しとなりますが、「カーペットではダメなのか」というとそんなことはありません。
カーペットだろうが、それ以上に立地や賃貸力等の他の要素で物件が売れる、あるいは賃貸される理由はいくらでもあります。
けれども、傾向としてはハードウッドフロアの方が好まれるのは間違いないのです。
事実、USA Todayというアメリカでは著名な新聞社の調査によるとアメリカの物件購入者の54%は
「一面に敷き詰められたカーペットの物件よりも、多少高くともハードウッドフロアにお金を出す」
と答えています。
割合として半分強というのはものすごく差があるといういうわけではありませんが、この結果に「数千~数万ドルの差が出るにも関わらず」という前置きを加えると、合理主義者が多いアメリカ人ですら割高になったとしても半分以上がハードウッドフロアを選ぶ傾向は見逃せません。
アメリカのカーペット業界のマーケティング戦略によりWall-to-Wall Carpetは完全に市民権を得ているはずですが、どうやらアメリカ人に本音を言わせると
「カーペットよりもハードウッドフロアの方が。。」
という気持ちが強いようです。
投資として賃貸物件を見た場合にもハードウッドフロアを選ぶ、もしくはハードウッドフロアに交換した方が無難といえそうです。
コスト面で考える
そこでカーペットとハードウッドをコスト面で比較した場合はどうなのでしょうか。
一般的なコストを比較すると、
カーペットを敷き詰めた場合:$3 〜 $5 / sqf(スクエアーフット)
ハードウッドを敷き詰めた場合:$9 〜 $12 / sqf(スクエアーフット)
となります。
ハードウッドはカーペットに比べて2.4 〜 3倍の差が出ることになります。(この価格比較は素材のみとなり、工賃は別です)
言い換えると、この単価を見ても分かるとおりカーペットよりもハードウッドフロアの方が人気があるわけですね。
そこでもしあなたが投資用に物件を購入するのであれば、最初から全室がハードウッドフロアであれば文句なしです。
ただし、この場合は価格は平均市場価値よりも高く取引される傾向があります。
また物件へのカーペット使用は
・物件内の全室がカーペットのパターン
・物件内の一部の部屋がカーペットのパターン
と2つのパターンがありますが、いずれにせよ購入を検討する物件にカーペットが使用されているのであれば、購入後のリノベーション時にハードウッドフロアに交換することは一考です。
ハードウッドの方が高いのは事実ですが、最初からハードウッドのみの物件は比較的市場価値よりも高めに取引される傾向にありますので
「カーペットの部屋があるが、市場価値よりも安く購入出来る」
かつ
「ハードウッドへ交換したとしても理に叶う」
と判断できるのであれば、購入後のリノベーション時にハードウッドフロアに交換するのは大いにありだと思います。
耐久面で考える
そして引き続いて耐久性で考えても、やはりハードウッドに軍配が上がります。
カーペットの場合は高品質の場合でもその耐久年数は10年 〜 15年程度です。
賃貸物件の場合はそれほど高品質である必要はありませんが、目安としては5年おきくらいには新調した方がよい場合があります。
毎回ターンオーバーのたびに新品に交換する必要はなくカーペットクリーニングだけでもよいのですが、カーペットそのものが経年劣化を起こすためにどうしても新調する時期がくるわけです。
これに対して、ハードウッドの場合は物件そのものの寿命まで使い続けることが可能です。
そうすると、カーペットの場合は
・カーペットクリーニング代
・カーペット交換代
とどうしても維持にコストがかかってしまいますので、投資としては出費が多くなり、その分リターンが少なくなってしまうわけです。
。。。
結論、不動産投資の観点では物件のフロアはカーペットよりもハードウッドの方が有利であることは間違いありません。
もちろん「カーペット敷きの物件に手を出すのはNG」ということはありませんが、もしあなたが長期保有を検討しているのであればカーペットが入っている物件を購入するにせよ、遅かれ早かれハードフロアに交換することは検討の余地があると思うのです。
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