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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日までは日本の税法に基づいて
減価償却の本質は税の繰り延べである
譲渡税は長期(売却する年の1月1日で5年超)を選んだ方がよい
結果として減価償却期間は6年でもよく、築20年でもよい
というポイントをお伝えさせて頂きました。
このあたりの知識があるないでは、選ぶ物件や投資そのものに対する出口まで含めた戦略が全く違ってくると思います。
そこで今日はシリーズの最後として、減価償却が税の繰延べであって、場合によっては節税どころか増税になるケースをご紹介させて頂きます。
増税のケーススタディ:Bさん(年収約1,200万円)
Bさんは日本の会社員年収約1,200万円(課税所得は約800万円位でしょうか。)
所得税は23%、住民税10%の合計33%のカテゴリーに属します。
Bさんはアメリカ不動産で減価償却による節税ができると聞いて以下の不動産を購入します。
購入日: 2019年2月28日
不動産価格: 3,000万円(メンフィス市場なら中古戸建て2戸)
ネット収益: 7%
建物比率: 76%(端数処理を簡単にするため)
築年数: 22年
購入後1年後の課税所得を見ると、
純家賃収入3,000万円 × 7% = 210万
減価償却3,000万 × 76% ÷ 4 = 570万円
課税所得は440万円(800 + 210 - 570)となり、税率も所得税20%住民税10%のカテゴリーになりました。
より正確に言うと、695万円を超えた分から所得税が23%なので、給与所得についても所得税が3%安くなりました。
ここで1年後のキャッシュフロー増加分を見ると
3,000万円 × 7% × (1-30%) = 147万円
(*所得税と住民税で30%の為、残る利益は70%)
減価償却3,000万 × 76% / 4 × 30% = 171万円
税率低下分(800 - 695)× 3% ≒ 3万円
(*695万円を超えた課税所得に税率の差を掛ける)
合計321万円ほど増えました。
減価償却で繰延べできた税金は171万円、4年間では171 × 4 = 684万円です。
5年目は減価償却がないので課税所得は800 + 210 = 1,010万円となり、900万円超の部分は税率43%になってしまいました。
(それでも210万円 - 100万円 × 33% + 110万円 x 43% = 129.7万円の税引き後家賃収入増です)
(*実際には米国の連邦所得税がかかりますが、税額控除されるのでトータルで日本の所得税が上限となります)
売却してみる
そしてBさんは2024年10月、購入から5年8カ月も経ったので売却することにしました。
売却日: 2024年10月31日
売却価格: 3,000万円 + 売却手数料等相当分
簿価: 720万円(3,000万円x(1-76%))
売却益: 2,280万円(売却価格3000-簿価720-諸費用)
この2,280万円は(1年間の減価償却額570万円 × 4年間)に相当しますね。
この分の税金を繰延べしてきた、というのは前回までにご説明したところです。
税額にすれば、171万円 × 4 = 684万円(または2,280 × 30% = 684万円)となります。
ここから、譲渡税の話になります。
長期譲渡税は20%なので2,280万円 × 20% = 456万円です。(正確には復興税があり20.315%ですが、計算上無視します。)
年が明け、2025年3月の確定申告時にこの譲渡税の部分を申告分離課税しました。
ところが、税務署からは
「長期譲渡所得税の要件は売却の年の1月1日時点で所有期間が5年超です。お客様の場合は所有期間が4年10カ月なので39%(正確には39.63%)の短期譲渡税率が適用されます。」
と言われてしまいました。
とすると。。。
2,280万円 × 39% = 889.2万円(より正確な税額は2,280万円 × 39.63% ≒ 904万円)
なんと、ほぼ2倍ではないですか。。
減価償却で繰延べ出来た税金は減価償却3,000万 × 76% × 30% = 684万円のはずでした。
ところが明らかに684万円を大きく上回る金額になっています。
結果として、繰延べた金額より205万円も多く払うハメになってしまいました。
(2,280万円x(39% - 30%) = 2,052,000 ≒ 205万円
これが増税になってしまった分です。
「しまったっ!」時すでに遅し、です。
もしこれが、2025年1月1日以降の売却で長期譲渡税なら税額は
2,280万円 × 20% = 456万円です。
減価償却で繰延べできた税金は684万円だったので684 - 456 = 228万円節税出来たはずでした。
ところが長期譲渡所得税の要件を正確に理解していなかった為に228万円節税どころか、205万円増税になってしまいました。
実際のその差は、228 + 205 = 433万円にもなります。
(これは2,280万円x(39%-20%)=433万円、つまり税率の差ですね)
ポイントは、
① 減価償却そのものは節税にならない。単なる税の繰延べに過ぎない。
② 長期譲渡所得税20%の適用で始めて節税出来たと言える。
③ 長期譲渡所得税20%の適用要件は保有期間5年超ではなく、売却した年の1月1日時点で保有期間5年超であること。
③については、単に購入後6年以降に売却と覚えたほうが無難なのです。
(詳しくは国税庁HPをどうぞ!)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm
この国税庁のページに
土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
とちゃんと書いてありますね。
ちなみにアメリカでは所有期間1年を境に短期譲渡所得、長期譲渡所得が分かれます。
減価償却の期間も新築もどの中古を購入しても27.5年とされますので比較的簡単です。
アメリカ不動産は減価償却で節税になりますよ、という業者の説明を鵜呑みしないよう注意しましょう。
(減価償却後の利回りなんて書いているのは以ての外です!)
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