こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。
昨日から家賃の値上げについてお伝えしています。
テナントにとっては家賃値上げの可能性から憂鬱になりがちな賃貸契約更新ですが、オーナーにとっても家賃値上げは実施して然るべき理由があります。
両者の想いに関わらず、住に対する需要が高まり続けているアメリカでは
固定資産税
保険
この双方が上昇し続ける傾向にあるからです。
もちろん、不動産価値そのものは今後再び大きな価格調整が発生する可能性は否めません。
けれども需要拡大という浮力がマイナスにならない限り、不動産価値は大きく調整されたとしても再び浮き上がってくる可能性が極めて高いといえます。
そしてその浮力を証明したのが過去10年間のアメリカ不動産市場の価格推移でした。
更に、ここに興味深い事実があります。
10年前の不動産価格大暴落であと時に不動産価値は大きく下がった一方で、賃貸家賃は一度も下がることなく上昇し続けているのです。
すなわち、アメリカ不動産市場において
物件価格
賃貸価格
この二つには全く別のベクトルが働いていることが分かります。
これが、私(佐藤)がアメリカで不動産投資を開始する時期は早ければ早い方がいいと考えている別の理由です。
そのように物件価値とは全く別の動きをする賃貸市場ですが、オーナーにとってはどれくらいまで家賃値上げが許されるのかと言えば、事実上そこに制限はありません。
もちろん欲張りすぎて利に叶わない値上げは訴訟の対象にもなり得ると思いますが、合理的な説明が出来る以上はそこに上限はないのです。
今日は、昨日に続いて家賃の値上げに関するいくつかのルールを見ていきましょう。
事前通知には明確なルールがある

ここまでにお伝えしたように家賃の値上げに制限はない一方で、その事前通知には規定があります。
事前通知とは「家賃がいくら値上げされるのか」をテナントに伝えること意味ですが、正式な手続きとしてはオーナーは
「Proposal(提案書)」
をもってテナントに通知することになります(形態や書式には違いがあります)。
更新契約の内容で確実に変更があるのは
・契約期間
・家賃
のみとなりますが、それ以外にも過去の運営状況から物件使用規約に変更を行う必要がある場合、その変更についても明確に示される必要があります。
そしてこの契約更新にあたる事前通知が行われるべきタイミングは、大抵の州では
「家賃値上げ実施日の30日前まで」
と定められています。
家賃値上げ実施日とはすなわち「新しい契約更新が開始される日」です。
そこで必然、オーナーからテナントへは次の契約更新日の30日前までに通知する必要があることになります。
ただし、厳密にはここは州ごとに規定の違いがあります。
例えばカリフォルニア州の場合は
「家賃を10%以上値上げする場合、その通知は実施日の60日前までに行われなければならない」
と、10%以上の値上げに対しては通常の倍以上の期間で余裕をもって通知するように定めているのです。
ちなみに昨日もお伝えしたロサンゼルス郊外の例では
$1,250 ⇛ $3,000
と$1,750の値上げでしたが、これは
1.4($1,750 / $1,250)
と実に140%の値上げが行われたことになり、10%どころではない家賃増額です。
実はこの時はオーナーとしても正当性を強めるべく、通知は6ヶ月前に行われていました。
カリフォルニア州規定の2ヶ月よりも4ヶ月程早く通知することで
「オーナーからは半年も前に告知していた」
と、家賃増額が横暴ではない姿勢を強調したわけです。
罰金を家賃に被せてはいけない

もう一つ、家賃値上げに関して知っておくべきルールに触れておきます。
こちらも州規定、郡規定、或いはその近所一体を管理する組合の規定に左右され得ることですが、賃貸物件に対して課せられる罰金なるものが存在します。
例えばオーナー責任として行うべき管理を完全に怠って、近所の景観を損ねるまでに至ったとしましょう。
分かりやすい例として、物件前の芝生がボーボーに伸び放題だったとします。
テナントは日常の生活には全く影響がないからとオーナーに刈り込みを要求することなく、オーナーであるあなたもテナントが何も言わないからとほったらかしにしていたとしましょう。
この場合は大抵は行政・組合からの指導が入り、期日までに是正(刈り込み)を行わないと罰金が課せられるのです。
その罰金も決して安くはなく、通常は最低でも数百ドル単位になります。
そこでオーナーであるあなたは三回も政指導を受け、合計$1,200の罰金を支払ったとしましょう。
その後に$1,200もの出費を被ったあなたは考えます。
「次回の契約更新時に家賃を$100値上げして、1年間で損失を取り戻そう」
これは完全に違法行為です。
オーナーは自分自身の過失により被った罰金を家賃を値上げすることで補填する行為は法律上禁止されています。
これを実行して後にテナントが裁判所に訴えた場合、
「被害額の3倍 + 裁判にかかった費用」
をテナントに賠償することになります。
当初の罰金による損失額$1,200を取り戻すどころか、
$3,600 + 裁判手続き費用
を更に負担しなくてはならないのです。
。。。
このように賃貸物件の家賃増額についてはその上限はない一方で、家賃値上げに関わる規定はしっかりと把握しておく必要があります。
地元の不動産管理会社はこのあたりの規定をよく把握しているはずですので、大抵は任せておいて地雷を踏むことはありません。
その一方で
「契約更新時に家賃をいくら増額するか」
については不動産投資においてかなり重要なテーマですから、家賃増額に関する決断を下す前には関わる数字を並べてしっかりと検証されることをお薦めします。
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