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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
1929年前後のアメリカ不動産についてお伝えしています。
過去の統計グラフを見ると、1929年の株価大暴落後の大恐慌の中で不動産価格は4ポイントしか下がっていません。
それより、少し前の第一次世界大戦前後の9年間で37ポイント下がっている方が目立ちます。
この時期のアメリカはヨーロッパで起こる大戦特需の為に好景気に沸いており、決して失業率が高まるような事実はありませんでした。
数字上は目立って不動産価格暴落の要素になる因数は見えないにも関わらず、それでも9年の間に相当価格が下落しています。
そうすると、
・人口は増えている
・好景気下にあった
という条件下にあっても価格が下落していること、また
・9年間という長期に渡り下落を続けていること
から、不動産価格に影響する要素以外の因数が長期間働いていたと考えるのが自然です。
そしてこの物件価格が下降を続けた時期に合致するのが全米不動産協会、NAR(National Association of REALTORS)の発足です。
NARの設立目的は
To unite the real estate men of America for the purpose of effectively exerting a combined influence upon matters affecting real estate interests.
意訳:
NAR設立の目的
アメリカ不動産関係者を団結させ、不動産の利益に影響を与える事柄に対して複合的影響を効果的に及ぼすこと
とあります。
設立からの流れは厳密には
1908年5月 … シカゴで発足(19人の役員と120人のメンバー)
1913年 … 倫理規定を本格導入
1916年 … 名称変更。倫理規定を厳格化
このようになっています。
興味深いのは、不動産価格が下落を始めた1916年に倫理規定の厳格化が開始されていることです。
この1916年こそ、アメリカ不動産価格が後に9年に渡り下落を続けた時期でした。
このことはあくまでも私(佐藤)個人の仮説に過ぎないのですが、9年間という長期に渡り結果的に37ポイントも価格が下がったのは景気サイクルの結果というよりも
「アメリカ不動産売買の取引を公平なものたらしめる」
という、ある種の人為的操作で価格が下落していったと見る方が適切ではないでしょうか。
それまで売主に有利な取引ばかりがなされてきたアメリカ不動産取引が、倫理面を強化する組織が現れたことで倫理的に正常な方向に導かれていった時期だったと思われます。
結果として、完全ではないものの約10年間という歳月をかけた倫理規定の浸透は物件価格の正常化という形で現れたのです。
1929年のあの時へ
改めてグラフを出します。
ご覧の通り、1921年以降はアメリカ不動産価格は急反発するかのように上昇しています。
この時期は大戦景気も終焉となり、アメリカはデフレに入っています。
お金の価値が高まり、人々がモノを購入しやすい環境が整った時期ともいえるかもしれません。
それがややバブル気味になったのか、1925年をピークに不動産価格は下がり始めます。
そこから少し価格を戻しところで、あの1929年10月のウォール街大暴落へと続きます。
この時の株価大暴落はその後に1か月間続きましたが、それからも断続的に値下がりが続いて結局は反発を繰り返しながらも3年に渡り下落を続けています。
せっかく大暴落の前に株価を売り切って逃げた著名な投資家も、その後は見誤って3年の間に財産を失うほどでした。
そして不動産価格はどうなったかといえば、大暴落後の大恐慌で価格は4ポイントだけ下げています。
ここで、1929年から現在までのアメリカの
失業率
GDP
インフレ率
を網羅するグラフを見てみましょう。
実際のところ、1929年の株価大暴落に関してはその後の世界大恐慌に影響した説と、直接は影響していない説の両方があります。
いずれにせよ事実としては上記のグラフが示す通り失業率はほぼ25%、すなわち就業人口の1/4が職を失う事態になっているのです。
その結果としてGDP、アメリカ国内生産力は弱まり、デフレスパイラルに入っていたことが分かります。
大恐慌の中で不動産は
そこで当時の不動産価格はどうだったのかと言えば、グラフのように
1929年 ~ 1932年
この3年間は価格が下がり続けていますが、その下落は4ポイント程度でした。
ここに、不動産というハコモノ資産の強さを見ることが出来ます。
そもそもなぜ不動産が資産保全に有利と言われるのかといえば、不動産はモノと同義だからです。
ここでインフレとデフレの定義を簡単におさらいすると
インフレ … モノやサービスの価格が上がり、相対的にお金の価値が下がる
デフレ … モノやサービスの価格が下がり、相対的にお金の価値が上がる
ですが、ここで捉えておきたいのは
「モノそのものは形と性質が変わるわけではなく、本来の価値は厳としてそこにあるまま」
である、ということです。
モノの「価値」と「値段」は根本的な違いがあります。
その価値に対していくらに値段をつけるのか(つけられるのか)は、景気の状態によって変わってきます。
その証拠に、2007年からのアメリカ不動産価格大暴落の時にも
「不動産価格は大きく下がったけれども、不動産価値は上がり続けた」
という現象が起きたのです。
すなわちアメリカのような人口が増え続ける国においては場所と物件を間違えない限り、金融資産は不動産という現物のハコモノに転換された時点で「上昇気流にロックオン」されることになります。
明日に続けます。
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