昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「アメリカ不動産価格は大きく下がる可能性が高い」
「Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)が不動産価格を引っ張る重力の役割を果たす」
という前提でお伝えしています。
「(需要>供給)= 価値は上がる」
から
「(需要<供給)= 価値は下がる」
に代わる時、そこに必要な条件は供給が過剰になることです。
アメリカ不動産市場全体としては、その需要の根本的な高さは変わりません。
海の上に浮かぶボールを想像する時、
ボール = 物件価格
だとすれば、
水の塩分濃度 = 需要
に例えることが出来ます。
海水の塩分濃度が低ければボールは浮かぶどころか、水面下に沈んでしまうかもしれません。
反対に塩分濃度が高ければボールは水面上に浮かびますし、下に引っ張られてたとしてもその引っ張る力がなくなった途端、ボールは反発して水面上に飛び上がってくることでしょう。
今回の場合は塩分濃度の濃い海水の中にあっても、その力を押し切ってボールを下に引っ張るのが力が「途方もない数の債務不履行」だろうと思うのです。
。。。
ときに、本項を書いているときにちょうど最新のデータが手に入りました。
これによると、2020年8月の時点でアメリカ全体のモーゲージローン件数は
53,501,232件
です。
モーゲージローン保有数が5,350万件というのも相当な数ですね。
この中で債務不履行にある件数を見ると、
30日間未払い ...848,226件
60日間未払い ...465,450件
90日間以上未払い ...2,365,789件
となっています。
そして実際の差し押さえ件数は187,240件です。
この187,240件という数字が本年末から来年にかけて増加してくる可能性があり、たった今の時点では90日間以上未払いとなっている
2,365,789件
これらのモーゲージローンが危機に面していることになります。
そこで昨日は全米の中でも債務不履行の増加率が高い地域市場をみていきました。
今日は反対に、債務不履行の増加率が低い順番に地域市場を俯瞰してみましょう。
債務不履行の発生が少ない地域は
債務不履行増加率順に各地域市場を並べた時のボトム10を並べてみます。
債務不履行増加率(1ヵ月単位)が最も低い市場ボトム10
順位 | 都市名 | 増加率 (1ヵ月間) |
41位 | San Francisco, CA (カリフォルニア州サンフランシスコ市) | + 2.7% |
42位 | Pittsburgh, PA (フィラデルフィア州ピッツバーグ市) | + 2.6% |
43位 | Indianapolis, IN (インディアナ州インディアナポリス市) | + 2.5% |
44位 | Louisville, KY (ケンタッキー州ルイビル市) | + 2.5% |
45位 | Birmingham, AL (アラバマ州バーミンガム市) | + 2.5% |
46位 | Richmond, VA (バージニア州リッチモンド市) | + 2.5% |
47位 | Cincinnati, OH (オハイオ州シンシナティ市) | + 2.5% |
48位 | Milwaukee, WI (ウィスコンシン州ミルウォーキー市) | + 2.4% |
49位 | St. Louis, MO-IL (ミズーリ州、イリノイ州セントルイス市) | + 2.3% |
50位 | San Jose, CA (カリフォルニア州サンノゼ市) | + 2.2% |
いかがでしょうか。
今回の統計はあくまでも上位から50位までの範囲であり、上記のボトム10というのはご覧のとおり
40位 ~ 50位
のことで、その下にはまだまだ増加率の低い地域市場は続きます。
けれどもこのボトム10を見るだけでも、
41位 San Francisco, CA(カリフォルニア州サンフランシスコ市)
50位 San Jose, CA(カリフォルニア州サンノゼ市)
この2つが最下位にあることに軽く驚きました。
ご存知のように、これらの地域市場は全米の中でも物件価格が相当高い地域です。
ミリオン物件がかなりの割合であり、相応に固定資産税も高く、またモーゲージローン返済額も高いことになります。
それだけに、普通に考えればこれら2つの地域市場は昨日のトップ10の中に入っていてもよさそうなものです。
もちろん上記は割合の比較であり、実際に差し押さえが発生する件数は大都市の方が多くなるものと思います。
そこでこれらボトム10を見た時に、最も注目したいのは下記の4つの市です。
分かり易いように、人口統計へのリンクをつけて下記に並べてみます。
この中でも将来的に最も期待が出来るのはハンツビルです。
ハンツビルについては過去にこちらでお伝えしていますが、将来のポテンシャルはとても大きいと思います。
またインディアナポリス、ミルウォーキー、シンシナティ共に賃貸需要は安定している街です。
このあたりはいわゆる地方都市になりますが、たった今の債務不履行の増加率を見ると、これらの地方都市ではパンデミックの中でもモーゲージローン保有者のお財布を直撃している程度が(もちろん良い意味で)低いことを示しています。
特に人口が微増のシンシナティにおいては、末永く安定したキャッシュフロー型の投資が可能である傾向を示しているように思います。
大きな自然災害に見舞われにくいこれらの地域は、パンデミックの時期にこそ見えてきた安定投資市場としての見方も出来そうです。
かくして、
「アメリカ不動産価格は大きく下がる」
と見ている佐藤の予想からざっくりと債務不履行の増加率についてみていきました。
これらの数字は刻一刻と変化していきますので、大まかな傾向は押さえつつも引き続き注視していきましょう。
。。。
かくして、
「アメリカ不動産価格は年末から下がる可能性が高い」
と考える理由を補足的にお伝えしました。
そこで今度はあえて、今のアメリカ不動産市場をより多角的に見る意味で
「アメリカ不動産価格は下がらないよ」
と予想する人々の側に立って、市場を俯瞰してみましょう。
本年末から来年に向けて「不動産価格は大きく下がらないとして」、その要因になり得る要素も確かにあるとます。
明日に続けます。
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