こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先だって9月度のカリフォルニア市場の実績が発表されました。
本年第1四半期にコロナウイルスが拡散し始めて以降、カリフォルニア市場の変化を毎月お伝えしています。
3月から4月と5月にかけて急激に落ち込んだ市場は6月に急回復。
そのままアメリカ不動産販売の年間サイクルの波に乗るかのようにピークタイムの7月と8月は全回復し、その実績は昨年の価格を大きく上回るものとなりました。
アメリカ不動産売買が最も活発になる夏のピークタイムだったとはいえ、コロナウイルスの時期にこれほど大きく回復するとは誰にとっても予想がだったはず。
そして今夏この大きな回復の起因となったのが、アメリカ不動産金融史上で最も低いモーゲージ金利です。
今回はコロナウイルス拡散後にFRBの低金利政策が素早く出された分、これに呼応してアメリカモーゲージ金利は大きく下がってきました。
結果としてこの低金利政策はかなり功を奏し、今夏のアメリカ不動産価格を大きく引き上げる結果となったのです。
以前お伝えした
「1% = 10%ルール」
は
「金利が1%上がると物件価格は10%下がる」
「金利が1%下がると物件価格は10%上がる」
というものです。
今夏は金利がどんどん下がってきた結果、上記のルールに沿って不動産価格はどんどん上昇してきたことになります。
けれども現在の状況は決して健全ではなく、私(佐藤)は今のカリフォルニア市場を
「バブルレベル3にある」
と表現しています。
航空業界で起こっている大量の失業
金融機関で起こっている大量の失業
旅行業界で起こっている大量の失業
飲食業界で起こっている大量の失業
エンターテインメント業界で起こっている大量の失業
これらは誰もがニュースメディアで知っているとおり。
不動産市場に起こっている現象を数字にすると、現在
「200万人(軒)以上が90日以上、モーゲージローンの支払いが出来ていない」
「賃貸世帯の30%が家賃支払いが不安定」
という状況です。
不動産需要要素の一つ、
賃金・雇用機会
が大きく崩れているはずなのに、不動産価格はどんどん上昇していくという何とも奇妙な現象が起きています。
その後9月度の実績はどのように推移したのか、その詳細を見ていきましょう。
9月度カリフォルニア市場
まずはいつもの通り、過去4ヶ月分の結果を並べてみましょう。
(クリックで拡大出来ます)

いかがでしょうか。
一年の物件価格サイクルの中でも9月は7月、8月のピークタイムよりは取引数が減ってくるのはいつものことです。
繁栄される価格としては案の定、例年どおり7月と8月ほどの伸びはないようです。
とはいえ、
「コロナウイルスの時期にありながら、9月も価格が伸び続けた」
このことは、低金利の効果が続いていることを示しています。
そしてこれに加えて驚きなのは、昨年比の価格です。
上記を見てのとおり、物件価格を昨年比で見ると
「すべての地域において昨年比で14%以上、価格が上昇している」
これはもはや驚異的とも言えます。
実体経済と大きく乖離するこの動き。
もはやこれをバブルと言わずして何をバブルと言わしめんや、です。
そしてこの謎について、私(佐藤)は先だって
「今のカリフォルニア市場は格差社会の広がりを反映している」
と表現しました。
明らかに多くの市民が苦しい思いをしているはずなのに、物件価格はどんどん上昇していくという謎。
それは、
「富裕層が低金利の恩恵に預かっているパターンが多い」
からです。
その証拠が、もう少し地域市場に特化したデータを見るとはっきり現れています。
下の南カリフォルニアだけに特化したデータをご覧ください。

ロサンゼルス郡では先月比で10%の伸びと飛び抜けています。
実際のところ、ここロサンゼルス郡ではコロナウイルスが発生する以前から
人口流出
物件価格の下げ
が確認されていました。
しかも今回のコロナウイルスが拡散して以降、少なくとも人口流出の傾向は加速してきていた状況があります。
それなのに、なぜロサンゼルス郡では家がどんどん売れているのでしょうか。
それは紛れもなく、ロサンゼルスで暮らす多くの富裕が低金利の恩恵を受けんと動いているからです。
もっぱら数億単位の豪邸は売れにくい状況ですが、その一方で上記の価格帯にある物件はどんどん売れていたことになります。
そして今回の話はここからですが、カリフォルニア市場について決して軽視できない、深刻な数字がこの9月度の統計に出てきました。
上記にあるロサンゼルス郡の9月度に先月比10%の伸びというのは驚きですが、実はそれ以上に驚異的な地域市場が9月度のカリフォルニア市場内に登場しています。
それは、先月比の数字を見ると驚愕してしまう
Mariposa County(マリポーサ郡)... 20.2%(同地域先月比)
Mono County(モノ郡)... 31.6%(同地域先月比)
の2つの郡です。
先月比でこれだけ物件価格が上昇するというのは、数字だけを見ると完全に異常値のレベルと言えます。
これらの数字を見ると、ロサンゼルス郡の先月比の価格上昇など完全に影が薄くなってしまいそうです。
そして実をいうと、この2つの郡の数字が持つ意味は表面的な数字以上にかなり深刻なものがあります。
明日はこれらの異常値が示す事の深刻さについて、もう少し深堀りしてみましょう。
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