昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨年の暮れ、とある一戸建物件への投資案件をもって来られた方がいました。
自分で全米のあちこちを見て、
「これは運用成績が抜群な物件では」
と思われる案件に対して
「セカンドオピニオンを依頼したい」
と連絡くださったのです。
その物件は
- 10万ドル以下の安めの物件
- 見込み賃料$1,200
- 小ぶりなサイズで修繕費も少ない見込み
- 治安良好
といった条件でした。
やたらと数字はいいものの投資行為そのものが憚られる場所ではなく、治安の良い平和な街です。
けれども少し精査してみて、投資は控えた方がよい旨をお伝えしました。
確かにこの物件だけを見ればリターンが大きいように見えるのですが、立地条件や物件の状態もさることながらそれ以前の問題が明らかだったからです。
市場が先か、物件が先か
投資物件に対するセカンドオピニオンの依頼を頂く時、投資を控えた方がよいと思われる場合は何が問題なのかのフィードバックを添えてお返ししています。
その案件は物件だけを見ると決して悪くはないものでした。
実際に見立ての数字が出る可能性は十分にありますし、運用コストもさほどかからないと思われました。
けれども避けておいた方がよい理由は物件そのものではなく、市場そのものにあったのです。
この点は
「鶏が先か、卵が先か」
の話にやや似ているものがあります。
地球上に生命が誕生した後に「ニワトリとタマゴでは、どちらが先にできたのか」という疑問。
不動産でいえば
鶏 ⇒ 不動産市場
卵 ⇒ 物件
です。
もちろん不動産の場合は土地の上に建つ物件が後に決まっているのですが、ここでは少し解釈を変えて
「どちらを優先に考えるべきなのか」
という話です。
「鶏を先(優先)にするべきか、卵を先(優先)にするべきか」
どちらもお互いにとって存在は不可欠であり、どちらの要素も大切になります。
答えを言えば、不動産の場合は優先させるべきは確実に鶏(市場)です。
品種改良された鶏は質の良い卵を産むそうですが、不動産投資の場合はそのまま
「優れた市場は優れた投資物件を生み出す」
ものです。
反対に物件がどんなに立派であったり投資パフォーマンスが良いと見込まれたとしても、市場そのものの将来が見込みが薄いようであれば投資は控えておいた方がよいと思います。
選ぶべき市場の条件は
そこで卵(物件)よりも鶏(市場)の方が優先だとして、投資先としてはどのような市場を選ぶべきでしょうか。
ここは、まず後にも先にも
「人口が増え続けている市場」
これが第一条件です。
ものすごく単純に言えば、不動産市場で投資が極めて成立しやすい条件は何よりも「人口が増え続けていること」に尽きます。
その理由は、
人口が増える = 住への需要が増える
この式がほぼ完璧に成り立つからです。
その意味では、もしも私(佐藤)が
「今の日本で投資するなら、市場はどこにするか?」
と聞かれれば、恐らく有力候補の一つに
「名古屋」
を上げると思います。
数年前に名古屋を訪れる機会があったのですが、その時に目にした名古屋近辺の街は明らかに「少子高齢化」と呼ばれるそれとは大きく違いました。
土地開発と新築物件の建築がどんどん進む様を見てある種の違和感を感じ、地元の方に聞いたところ案の定
「人口は増え続けて、子供の数も多い」
とのこと。
厳密には名古屋の統計を詳しく見たことはないのですが、現場をみた上で直感で名古屋は将来が明るいと感じました。
もしも人が集まる理由が数字に裏打ちされているようなら、迷うことなく投資対象として見て良い地域市場だと思います。
そしてこれがアメリカであっても同じことで、何よりも人口が着実に増え続けている市場に注目せねばなりません。
全米に目を向けると
アイダホ州ボイシ市
アリゾナ州フェニックス市
等、目を引く成長を続ける市場は数多くあります。
「不動産はロケーション・ロケーション・ロケーション」
と言われますが、厳密にはそれよりももう一段階前に「地域市場そのものを選ぶ」必要があるのです。
そして市場の人口成長を見るには過去からの統計グラフも大いに役立ちますが、得てして人口統計は発表までに多少時間がかかってしまいます。
この点は国勢調査を始めとする各種統計作業に時間がかかるために致し方ないものですが、投資家としてはいち早くこの人口動態に関わる状況を知りたいものです。
そこでアメリカ国内で人々がどこに移住しているのか、どの街に人々が流れているのかをタイムリーに知るにはいくつかのコツがあります。
例えば
- 引越し業者が公に公開している統計
- 運転免許証の登録数(引っ越したら30日以内に住所変更することが定められています)
等です。
これらの情報を精査することで、人々がどこに流れているのかがよく分かります。
かくして投資先の選定で最初に見るべきは物件ではなく、まずは「人口が増え続け、産業が根付いている市場」ありきです。
いくら物件のパフォーマンスが優れているように見えても市場が鳴かず飛ばずであれば投資として成立する可能性は低くなります。
あくまでもまずは市場ありきで、市場の力で物件価値を押し上げてもらうことを心がけておきましょう。
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