昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
テキサス州サンアントニオ市についてお伝えしています。
今を時めくテキサス不動産市場の観点から、当ブログではその順番として
1.オースティン市場
2.サンアントニオ市場
の順位にご紹介していますが、実際には
- 人口
- 経済規模
このどちらで比較してもサンアントニオ市の方がオースティン市を上回っています。
サンアントニオ市は押しも押されぬ100万都市であり、人口増加の勢いが将来も長きに渡り続くことはほぼ間違いありません。
人口増加の数でもサンアントニオの方がオースティンよりも上回っている意味では賃貸需要もサンアントニオに軍配が上がるだろうことは容易に想像がつきます。
ちなみに公的な記録としてはサンアントニオの方がオースティンよりも市政は先に開始されているものの、考古学研究によると「人々が暮らしていた形跡」という点ではオースティンの方が遥か古く、かつてオースティンはネイティブアメリカンが暮らす土地だったとのこと。
近代史では人口増加と経済規模の上ではサンアントニオの方が上回りつつもオースティンには
「新しいものを吸収する」
という起業家的な市政がハッキリと見受けられ、サンアントニオに負けない勢いで急激に成長しつつあるわけです。
その結果として不動産市場としては
オースティン市場 ⇒ サンアントニオ市場
この流れで価格の波紋現象が起こり、言い換えれば
「オースティン市場からの物件価値の逆輸入」
が始まっているように見受けられます。
いずれにせよこれら二つの都市は全米でどちらもトップ3に入る人口増加の街ですから、どちらも名実共に全米のトップレベル市場です。
そこでサンアントニオ市場の将来を占う最後の要素として、不動産需要の三大要素の三番目である
「賃金・雇用機会」
についてみていきましょう。
本日も続けます。
サンアントニオの賃金・雇用機会
前提として、賃金や雇用機会が不動産需要の要素に含まれているのはそれが
- モーゲージの支払い能力
- 家賃の支払い能力
に影響してくるからです。
街の経済が活性化してそこで暮らす人々の収入が高ければ高いほど、
- より大きな家を購入する層が多い
- 自宅を所有する層が多い
- 賃貸物件も安定する
という傾向が出てきます。
そこでその街の賃金や雇用機会をざっくりとでも推し量る為には、その街の「世帯収入の傾向」を見るとよく分かります。
端的にいえば、街の経済がどんどん活性化しているのであれば世帯所得もどんどん上向いているはずだからです。
そこで今回はあえて
「オースティンの方向から迫ってくる物件価格の波紋現象」
という側面でお伝えしていますので、ここでは
サンアントニオの平均世帯収入
オースティンの平均世帯収入
の順番に並べて比較してみましょう。
両都市の平均収入の推移は下記のようになっています。
サンアントニオ市:平均収入の推移
オースティン市:平均収入の推移
いかがでしょうか。
なんと、サンアントニオの平均世帯収入は近年下がりつつあるようです。
これに対し、人口がサンアントニオよりもはるかに少ないはずのオースティンは平均世帯収入がぐんぐんと伸びていることがハッキリと分かります。
この点が正に、本シリーズで
「サンアントニオとオースティンで逆転現象が起こりつつある」
「不動産価格としては、オースティンからサンアントニオに波紋現象が見えている」
とお伝えしている根拠の一つです。
市政の歴史が古く人口も上回っているはずのサンアントニオが、車で1時間半離れたオースティンの経済の引っ張られる現象が始まり見え始めているわけです。
なぜこのようにサンアントニオとオースティンの差が出てきたのでしょうか。
ここは個人的な憶測にすぎませんが、オースティンの場合は90年代後半から力を入れてきたITを中心とする情報化社会の産業育成に力を入れてきた成果が見え始めているように思います。
そこで職業別でサンアントニオとオースティンを比較してみると、
サンアントニオ市:職種と割合
オースティン市:職種と割合
このようにオースティンは
- プロフェッショナル系
- サイエンス系
- 技術サービス系
がトップであるのに対し、サンアントニオでは
- ヘルスケア系
- ソーシャルアシスタント系
が多いことが分かります。
サンアントニオの職業別割合はアメリカ中西部のそれに近く、結果として平均世帯収入も中西部に近いことはうなずけます。
総じていえば、サンアントニオでは
⇒ 人口は増え続けている
⇒ 人口動態からも将来は明るい
⇒ けれども平均世帯所得は下がる傾向
ということになりますが、不動産投資の観点としては
「賃貸物件を持つのには有利な市場」
だと考えています。
事実、上記のような傾向でいえばサンアントニオはオースティンよりも持ち家率が低いはずです。
見てみると案の定、
サンアントニオ市:持ち家率
オースティン市:持ち家率
このようにサンアントニオの方が持ち家率が低いことが分かります。
けれどもサンアントニオの人口そのものは増え続けているということは、賃貸物件への需要は続くということです。
そこで傾向として押さえておきたいのは所得からの場所選びです。
ここは下手に投資地域の善し悪しを公的なブログの場で語るわけにはいきませんのでややぼかしますが、少なくとも
サンアントニオ市:地域別所得額
上の図を見ると、どのあたりの地域に狙いを定めるべきか分かるのではないでしょうか。(注意:高所得地域を狙ってはいけません)
。。。
本日までに不動産需要の三大要素
人口
人口動態
賃金・雇用機会
の観点からざっくりとサンアントニオ市場をみてきました。
間違いなくサンアントニオ市場は不動産投資向きの地域であることが分かります。
そこでこれらのマクロ視点の情報をもとに、今度はミクロ視点でサンアントニオ市場の開発案件を俯瞰しながら投資機会を見ていきましょう。
明日に続けます。
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