昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本年に入りジワジワとモーゲージ金利が上昇しつつある中、2月末にはモーゲージ申し込み数が11%減少したことを捉えて全体の流れを俯瞰しています。
当ブログは経済専門ではありませんが、少なくともアメリカ経済の中で不動産市場に関連する事象と数字を捉え、お読みくださる方々のリスクコントロール力を向上して頂くことも目的としています。
現代社会の経済と金融はかなり複雑に絡み合いながらそれぞれの要素が密接につながっており、現実には全ての分野の全ての因数を個人が一人で100%理解することはほぼ不可能です。
それでも不動産市場に関する部分であればお読みくださる方々を相当なレベルにまで深堀して案内し、先に見えるリスクに対して自己責任で判断できるだけの情報は掴んで咀嚼して頂けるはずです。
そこで当ブログでは初心者の方々でもご理解頂けるように極力専門用語や難解な解釈は控え、アメリカ不動産市場において
「今、何が起こっているのか」
「先にはどんなことが起こり得るのか」
をある程度先を見通すのに必要な情報を極力簡単にお伝えできるように努めていきたいと思います。
昨日までは
「昨年からアメリカ全体では世帯収入が増え、支出が減少している」
「実際に2021年1月単体で全米個人所得が10%増となる1954.7ビリオンも上昇している」
「予想どおり、モノやサービスの価格が上昇しつつある」
という、数字と実体経済が完全に分離している現実を捉えていきました。
この辺りは昨年パンデミック以降に予想されてきたことですし、当ブログでも昨年から度々この手の話題について触れてきました。
いよいよ待ったなしに自分と家族の老後を万端に整えていく上では
- 現状を正しく把握し
- 将来に起こり得るシナリオを理解し
- 不必要な間違いを事前に避ける
というリスクコントロール力が極めて大切です。
本年以降のアメリカ不動産の将来を占う上でここからもう少し現状を深堀していきましょう。
本日も続けます。
モーゲージ金利の推移はこうして予想できる
まずは昨日の続きとなりますが、
「パンデミック以降に物価上昇が始まっている」
このことは紛れもない事実であり、先の物価上昇を予見させる証拠がいろいろ出てきています。
端的にはパンデミック以降から強まった政府政策が大きく影響し、結果としてアメリカ経済を捻じ曲げる現象が起こりつつあるのです。
その結果の一例を見てみましょう。
上の図は貴金属を専門に取り扱う「kitco」から引用した銅の価格です。
かくのごとくパンデミック発生直後には価格が大きく下落していますが、昨年3月から本日まで価格は大きく上昇し続けています。
ということは銅を素材とする製品は価格が上昇している(せざるを得ない)ということです。
このようにあらゆる素材関連の価格もどんどん上昇していくことが見込まれ、不動産業界でも資材の価格上昇が確認されています。
そして話はここからですが、アメリカ不動産市場の将来を占う要素として特に今注目しておきたいのが
「米国国債10年もの」
です。
従来「米国国債10年」と「モーゲージ金利」には密接な関係があり、
「米国国債10年とモーゲージ金利の変動は比例する」
という事実があります。
このことをbankrate.comの記事から印象してみます。
In a move that could push mortgage rates up, Treasury yield climbs to 1-year high
Most consumers pay little attention to 10-year Treasury notes, but the rate on the benchmark bond directly affects how much you pay for your mortgage. The 10-year Treasury acts as a reliable indicator of economic sentiment and as a key benchmark for mortgage rates.
(佐藤意訳)大概の消費者は10年国債の値動きをさほど気にしていないが、現実には消費者が支払うモーゲージに大きく影響してくる。国債は経済の動きを捉えるにあたり信頼出来る指標であり、モーゲージ金利の主要な基準として作用している。
出典:bankrate.com
とのことですが、実際に米国10年国債と固定金利の関係を見てみましょう。
上のオレンジが30年固定金利で下のライトブルーが米国国債10年ものですが、見事に比例していることが分かります。
今度はたった今の間近の米国10年国債の推移をクローズアップしてみましょう。
いかがでしょうか。
昨年夏以降に米国国債10年ものは金利が上昇し始め、特に本年に入ってからは破竹の勢いで伸びていることが分かります。
この原因はもちろん、米国政府がコロナウイルス対策の為に膨大な資金を必要として大量の10年国債を発行している為です。
そしてこの3月にはバイデン政権により改めて
$1.9 trillion($1=100円で190兆円)
という天文学的な数字の予算が組まれましたから、これに伴い10年国債はさらに大量に発行されることはほぼ間違いありません。
結果としてモーゲージの30年固定金利は上昇していくことになり、現実にモーゲージ金利は上昇に転じ始めているのです。
そこで先のシナリオを推し量る上で私たちが考えるべきは
「金利はどこまで上昇するのか?」
「上昇し続けた場合は何が起こるのか?」
です。
明日に続けます。
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