こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
たった今も続いているアメリカの天文学的な数字の量的緩和政策の話から、
- 人為的な資産バブルが発生している理由
- 非実体が実体経済に与える影響
- 経済格差が拡がり続ける理由
そしてこの結果として
- Affordable housing(手に届く価格の住居)問題がいよいよ深刻化する
という話につなげてきました。
日本の江戸時代であれば、「日本風の洒落たデザインの下駄」は人が集まる地域ではそれなりに売れたのではないでしょうか。
当時の人々にとって下駄や草履は生活必需品としても売れていくのは当然のことでしょうし、そこに人の興味を注ぐ日本風に洒落たデザインが施されていたとしたら売れ行きは悪くなかったただろうことは想像に難くありません。
けれども今の時代に全く同じ
「日本風の洒落たデザインの下駄を売りなさい」
と言われても、夏場に瞬間風速的に売れる程度ではないでしょうか。
ましてや都会であったとしても、下駄の専門店として生計を成り立たせるのは極めて難しいかもしれません。
翻って現代、2021年世界長者番付トップ10の顔ぶれを見てみると
順位 | 名前 | 関連企業名 | 国 |
1 | ジェフ・ベゾス | アマゾン | アメリカ |
2 | イーロン・マスク | テスラ | アメリカ |
3 | ベルナール・アルノー | LVMH | フランス |
4 | ビル・ゲイツ | マイクロソフト | アメリカ |
5 | マーク・ザッカーバーグ | フェイスブック | アメリカ |
6 | ウォーレン・バフェット | バークシャー・ハサウェイ | アメリカ |
7 | ラリー・エリソン | オラクル | アメリカ |
8 | ラリー・ペイジ | グーグル | アメリカ |
9 | セルゲイ・ブリン | グーグル | アメリカ |
10 | ムケシュ・アンバニ | リライアンス・インダストリーズ | インド |
となっています。
上の長者番付トップの顔ぶれを見るとほとんどがIT関連に携わる人々であることが分かりますが正にここに答えがあり、商売人として栄える道を選ぶのであれば
「時代が(人々が)求めるものを目の前にお出しする」
この極めて基本的な原則に立ち返る必要があるように思うのです。
需要が長く続く実例
そこでアメリカ不動産市場において、私(佐藤)が個人的に
「ここには末長い需要が約束されているだろうな」
と考えるセグメントが2つあります。
その1つは「シニアホーム」です。
日本では少子高齢化が始まり久しくありますが、実はアメリカでも少子高齢化の兆候が見えていることはあまり知られていません。
もちろん日本と比較するとまだまだ人口は全体的に増え続けており、移民を含む多種多様な人材が経済を回していく上で直ちに
少子高齢化 = 労働力の不足
となることはないと思います。
けれども国の労働力云々の議論は横において、
「シニアホームへの需要は増加し続ける」
これは確実です。
そこでシニアホーム投資についての詳細はまた将来の項に譲りたいと思いますが、ここでいうシニアホームとは
「シニアケア用に立てられたビルディング」
には限定されないものです。
学校や病院のようにシニアホームといえばそれ専用に建てられた建造物をイメージする人々も多いかと思いますが、アメリカのそれは少し違います。
もちろん専用のシニアホーム(アシステッド・リビングと呼ばれる)はアメリカ国内に数多くありますし、すでに先をいっている全米展開するシニアホームも数多くあります。
もう少し言えば、シニアだけが居住を許されている「シニアタウン」なるものもかなり以前から全米各地に存在しているものです。
けれどもこの手のシニアタウンや専用のシニアホームだけのイメージを持つ人々が
「ああ、なるほど」
と目からウロコを落とすのが
「普通の一戸建て物件をシニアホームに改築した賃貸物件」
です。
見た目は住宅街にあるごく普通の一軒家ですが、その中身はシニアが入居して暮らす上で州・郡で規定される設備を備えた物件が「シニアホーム」として使われているのです。
その物件の広さと部屋数により入居できるシニアの数は変わってきますが、ごく普通の街中にあるシニアホームとして使われる一軒家が常に満室である状況は私(佐藤)も何度も確認しています。
そこで不動産投資家としては
1.一軒家を購入する
2.規定に沿ってシニアホームにあるべき施設に改築する
3.必要とされる設備を整える
という流れで介護派遣企業と契約を結び、シニアホームとして活用してもらうわけです。
もちろんこのようなシニアホームビジネスはかなり厳しい州規定に沿う必要がありますし個人で進めることは難しいと思いますが、きちんとビジネスとして各分野の専門家と提携しながら運用する上では投資家として十分に参入出来る余地があります。
通常の介護そのものは介護派遣業者が請け負うわけですが、不動産投資家としては建物とそのメンテナンスを提供することでシニア介護の需要を受け止められるわけです。
このシニアホームもまた間違いなくアメリカでは末長い需要が続くだろう不動産投資のセグメントになるでしょうし、その理由は
- アメリカでは人口増加が続いている
- 少子高齢化の傾向も見受けられる
という2点にあり、この流れに乗ることで不動産投資事業としても成功する確率が高くなるわけです。
そしてこれと同様に、ここからは
Affordable housing(手に届く価格の住居)への需要
を受け止めるとアメリカの不動産投資事業で成功する確率が高くなる、というシナリオが見えてきます。
明日に続けます。