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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日5月5日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
昨年の3月にパンデミックが本格化し始めた直後にアメリカ政府は「ケアーズ法」を制定し、量的緩和政策をベースにパンデミック下のアメリカ市民を救済するべく数々の救済策を実施してきました。
ケアーズ法が執行された当初から不動産業界に関わるものとしては
Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)...テナントの強制退去禁止
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)...物件差し押さえの禁止
があり、この為に所有する賃貸物件で暮らすテナントがパンデミックの影響で家賃が支払えなくなった場合はオーナーは家賃収入が入らないという泣き寝入り状態が続いていたのです。
仮にケアーズ法の施行直後から本日までテナントが家賃支払いをしなくなっていたとすれば、Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)の為にその物件オーナーは1年以上も家賃収入が入っていないことになります。
けれども、家賃収入が途絶えた物件オーナーの中で
「もうダメだ。。家賃収入が入らないのにモーゲージの支払いは出来ない。」
と賃貸物件維持がマイナスキャッシュフローの為に不可能となった人々が物件を失ったのかといえばそれは違います。
なぜなら後者の
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)
は
「モーゲージ支払いが出来ない場合、それがパンデミックによる影響であれば融資元である金融機関は物件を差し押さえてはならない」
という法律であり、それが為に各金融機関もまた債務不履行が発生したとしても物件を差し押さえられない状況が続いていたのです。
つまり
Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)...テナントの強制退去禁止
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)...物件差し押さえの禁止
これら2つは表裏一体であり、その法律の失効がいつになるかが注目されていました。
昨日の速報によると、Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)に関しては連邦地方裁判所が
「違法だ」
と判決を下す形で、ついにその時がやってきたわけです。
連邦地方裁判所が立ち退き禁止令を却下
詳細をいきましょう。
今回の判決は
アラバマ州不動産協会
ジョージア州不動産協会
これら2つの不動産協会が訴訟を起こしたことに端を発します。
アメリカ不動産業界では州をまたいで全米の不動産業を統括する組織として
NAR(National Association of Realtors:全米不動産協会)
が存在しており、その一方で各州には
〇〇州不動産協会
が設置され、各州の不動産市場を全米に適用されるコモンローに加えて州独自の不動産規定で州単位で統括がなされています。
そしてテナントが家賃を支払い続けられない場合は家賃支払いをしないまま居座り続けられる
Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)
については全米各地で必要性と不必要性の双方が論じられていたところ、
アラバマ州不動産協会
ジョージア州不動産協会
これら2州の不動産協会が訴訟を起こしていたのです。
この訴訟はコロンビア特別区の連邦地方裁判所に届けられ、その訴状を受けて裁判所判事は5月5日、
「Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)は違法である」
と結論づけて、
「Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)の取り消しを全米に適用する」
との判決を下したのです。
このEviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)に関しては昨年3月の施行以降、当時のトランプ政権下においても失効時期の延長が繰り返されてきました。
本年にバイデン新政権が発足した後も引き続き延長が発表され、現時点では
2021年6月末
までEviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)の延長が実施されていたところでした。
ところが今回連邦地方裁判所により違法であるとされ、その適用の停止を全米に通達することが決定したということは、1年以上続いてきたEviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)が終了する可能性が見え始めたことになります。
これを受けてバイデン大統領はただちに控訴するとの姿勢。
もしも控訴が却下されることがあれば、遠くない将来にEviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)は終了することになります。
鍵はRental Assistance(家賃補助)
そこで、もしもEviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)が終了した場合はどのようなことが予想されるのでしょうか。
強制立ち退きが可能になるのであれば、パンデミック以前と同じように家賃未納の場合は各州のルールに沿ってテナントに通知を出した後に強制退去も可能ということになります。
そうすると当然ながら、
- たった今の時点で家賃滞納が続いている
- 過去の滞納分を支払える見込みがない
という条件を満たす人々は退去を余儀なくされる可能性が高いことになります。
そして滞納が続いていた物件のオーナーにとっては
- 強制立ち退き実行後、新たにテナントを募る
- すでにモーゲージが支払えない状態になっており、物件を手放さざるを得ない
のいずれかが考えられます。
後者の場合は不動産市場における供給数増加につながりますから、各地域市場ごとに決して小さくはない不動産価格への影響が見込まれそうです。
そこで鍵を握ると予想されるのは
Rental Assistance(家賃補助)
です。
Rental Assistance(家賃補助)も昨年の途中からではありますがパンデミック救済措置の一環として予算が組まれ、その救済措置が続けられてきました。
事実、NAR(National Association of Realtors:全米不動産協会)は昨年の12月以降、連邦政府から割り当てられた約500億ドルの家賃補助資金をもって各地域市場の救済に尽力してきた経緯があります。
今回の判決を受けたNARのスタンスは
「Rental Assistance(家賃補助)資金は十分に確保してある」
「よって、Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)はこれ以上必要はない」
というものです。
ここから先、バイデン大統領政権による控訴の結果に注目が集まります。
もしも今回の判決のままMoratorium(エヴィクション・モラトリアム)が停止となる場合は果たしてRental Assistance(家賃補助)がどれほどの効き目があるのかは不明ですが、2021年5月、パンデミック下のアメリカ不動産業界は新たなステージに突入し始めたことは間違いないようです。
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