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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
バイデン政権による税制改正案の中でも不動産業界に大きく影響を与え得る3点、
キャピタルゲイン課税に対する増税
1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)制度の部分的終了
Stepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)制度の部分的終了
に焦点を当てています。
この中で昨日から
1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)制度の部分的終了
について考察を続けていますが、今回の改正案が実現される場合は物件交換を実施しても
「キャピタルゲインが$500,000を超える部分は適用外」
となります(より厳密には課税率も上昇します)。
これにより最も大きな影響を受けるだろう賃貸物件は
- キャピタルゲイン市場の1戸建て物件
- アパート物件
- 商業物件
です。
自分が暮らす自宅そのものは1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)は適用外となり原則として交換が可能なのは賃貸物件ですが、その中でも価格規模の大きいアパート物件や商業物件においてはほとんどの投資家は
「将来は別の物件に交換する」
ことを前提にプロジェクトを進めていますから、「$500,000を超える部分は適用外」となれば大きく冷や水を浴びせられることになります。
具体的には
- アパート物件
- 商業物件
の2種類にはどんな展開が予想されるのか、考察を進めてみましょう。
本日も続けます。
アパート物件への影響
アメリカ不動産では
1戸 ~ 4戸
が「住居物件」と定義されており、1つの建物に5戸以上入る物件は住居用であっても商業物件と定義されています。
不動産投資に対するリターンとしては1つの建物に対して複数戸ある方が面積あたりのキャッシュフローが高くなりますから、概ね不動産で資産を築く人々は
小さい1戸建て物件 ⇒ 複数世帯物件
の順番で進めていく傾向にあり、個人投資家のレベルでよくあるパターンは
1.キャピタルゲイン市場の一戸建て物件で開始
2.1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)で複数世帯に交換
です。
不動産で資産を形成することは正に「種に水と肥料を注ぎ続ける」ような感覚があり、1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)はその成長を大きく飛躍させる役割を担ってきました。
数字で見ると近年は
2016年 ~ 2019年
の3年間の不動産取引において12%の割合で
1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)
が実行されています。
その物件交換制度を利用した人々の中でも大きな割合を占めるのが
個人事業主の投資家 … 47%
S-corporation(エス コーポレーション)の投資家 … 37%
で、8割以上をこれらの投資家が占めていたようです。
ちなみに後者のS-corporationは中小企業の割合はごくわずかで、実際には
「納税分類をエスコーポレーションに指定する個人投資家」
がほとんどです。
すなわち、実体としてはアメリカの1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)はほぼ個人投資家に使用されてきたことが分かります。
そこで今回の税制改正法案どおりに1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)が部分的にでも終了となる場合、現在の不動産業界にある流動性が大きく損なわれていくことはほぼ間違いありません。
法案が発表された今、考えられるシナリオとしては
1.2021年に起こる駆け込み交換(法案可決前に交換を実行)
2.法案可決後の交換減少
の順番で、本年は今から夏に向けて1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)の駆け込み需要が起こるのではないでしょうか。
とりわけ資産バブルに押されて所有する物件価値が高まっている今、もしも最後の機会になるのならと物件交換を行う投資家はそれなりに増えると思います。
商業物件への影響
そこで実際の1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)は前述のように個人投資家によるものがほとんどですが、それでも
- 商業ビルディング
- オフィスモール
等の非住居物件についても多大な影響を及ぼすことになります。
個人で所有する投資物件の割合は一戸建物件が圧倒的に多いものですが、非住居用の商業物件についてはやはりキャッシュフローのボリュームが圧倒的に違ってきます。
その価値の定義としても近所の類似物件との比較で査定する住居用物件とは違い、
「その物件が年にいくら稼ぎだすか」
により価値が定まるのが商業物件の特徴です。
そしてここでは詳細を割愛しますが厳密には商業物件による1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)には4つの種類があり、商業物件を所有する投資家もまたビジネスを運営する上でこの1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)を前提に商売を進めているのです。
その代表的な例としてはフランチャイズチェーン店が挙げられます。
アメリカで最も巨大なフランチャイズチェーンは「マクドナルド」ですが、マクドナルドをナショナルブランドに育て上げたレイ・クロックは生前、ある大学の講義で
「皆さんは私がどんな商売をしているのかご存知ですか?」
という質問を学生に投げかけて笑いを取り、
「ハンバーガーですよね」
と答えた学生に
「私のビジネスは不動産業です。」
と答えたのは有名な話です。
ハンバーガーを売る「型」がすでに出来上がっているマクドナルドにとって最も大切なのはロケーションであり、現代のマクドナルド社は実質不動産会社といえる位置づけにあります。
そこでこれらのフランチャイズチェーンは
⇒ 古い店舗を新しい店舗に交換する
⇒ 不採算店舗を閉じて新しい店舗に交換する
このような場合に1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)を使ってビジネスそのものの流動性を保っているわけです。
。。。
かくして、1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)が部分的にも終了する場合は
アパート物件
商業物件
の双方において甚大な影響が考えられます。
少なくとも不動産売買の取引量が減少することはほぼ間違いなく、ということは税制改正施行後には
「需要が減り、物件価格が下がる」
ことにもつながり得る可能性があると思います。
明日に続けます。
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