昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産のファイナンシングについてお伝えしています。
以前、
「個人名義で不動産投資を開始したいと考えています。」
「けれども友人から『 個人名義の融資は3件が限度だよ』と言われました。」
「4件目以降はどのように融資を引くことが出来るのでしょうか?」
という質問を頂戴したことがあります。
個人名義で投資用物件を増やし続けたいが、3件目以降はどうやって賃貸物件用のファイナンシングを実行できるのかとの質問です。
まず前提として、複数件の投資用物件に対して借入を実行する場合はよほど借金のコントロールに自信がある(返済能力に根拠がある)場合に限る方がよいと思います。
借入をするにしても少なくと融資を受けた最初の運用を軌道に乗せ、しばらく運用して数字的にも感覚的にも問題のないレベルに入ってから2件目以降に進めた方が無難です。
そこで
「借金は十分にコントロール出来るレベルにある」
という条件はクリアしているとして、複数物件に対して融資を受けるにはどうすればいいのでしょうか。
「個人名義で購入して融資を受ける場合」
について深く見ていきましょう。
本日も続けます。
個人融資へのキモ
賃貸用物件に対してファイナンシングを試みる際に、それが
「個人に対しての融資」
であれば、モーゲージローンオフィサーが重要視する部分は一点に絞られます。
それは
「W-2フォーム」
です。
W-2フォームとは米国の労働者に対し雇用者が年明けに発行する書式で、日本では源泉徴収票に相当します。
W-2フォームは年ごとに発行され、その年の
- 支払われた給与
- 源泉徴収額
- 社会保険税
- 医療保険税
- 福利厚生
等が細かく記載されています。
そしてローンオフィサーはこのW-2フォームと同時に
Tax Return(タックスリターン:確定申告)
をもって個人の財務成績を調べることになります。
後にも先にも個人への融資に対して金融機関が見ているのは
「固定収入がしっかりとあるか」
であり、より厳密には
「年収はどれくらいあるのか」
「毎月の返済義務はどれくらい抱えているのか」
です。
収入:W-2フォームで証明
支出:第三者機関に問い合わせて返済責任をチェック
これらの因数から
「この申込者は毎月$◯◯◯◯の返済が可能」
「このレベルなら◯件まで融資が可能」
と判断されることになります。
そこで冒頭の質問に戻ると
「けれども友人から『 個人名義の融資は3件が限度だよ』と言われました。」
この友人は実際に3件までと言われたのだと思いますが、それはこの友人の収入と返済責任に対してローンオフィサーが査定した結果
「あなたの状況では3件まで可能」
と判断したのであり、答えは個人の財務状況により全く違ってきます。
すなわち収入が少なければ
「融資は1件まで」
或いは
「あなたの収入では融資は不可能」
と判断されるでしょうし、反対に年収の高い方の場合は
「$100,000前後の物件であれば10件まで融資可能」
ということもあり得るわけです。
そして本質的に個人に対しての融資では
「W-2がないと審査通過は難しい(ほぼ不可能)」
ということになりますし、ということは
Self-employment(自営業者)
の場合は融資が難しいことになります。
厳密には自営業者でも融資を受ける方法はありますが、それでも確固たるW-2フォームで証明される収入がないと引き続きの融資を受けることは難しくなる場合がほとんどです。
それでも融資枠を増やすには
そこでW-2をもって証明される収入が個人への融資の条件だとすれば、単純に考えて
「仕事で安定した収入がないと融資は受けられない」
ということになります。
また実際の融資審査では自分が提出する資料のみならず、W-2の正当性を証明する目的で金融機関は勤め先の経理担当者に連絡をして
Verification of Employment(雇用証明)
という証拠書類の提出を求めてきます。
そうするといよいよもって
「自分の固定収入の範囲でしか融資が受けられない」
「勤め先からの収入が天井になる」
ということになりますが、そうするとそれ以上に物件数を増やすことは不可能なのでしょうか。
実を言えば、個人への融資枠を青天井にする方法が一つだけあります。
「自分のビジネスを所有すること」
です。
すなわち
1.自分のビジネスを所有する
2.自分のビジネスから自分に給与を支払う
この式で自分のビジネスから自分に対してW-2フォームを発行することで融資枠を引き上げることが出来ます。
ローンオフィサーにとっては
- 勤め先からのW-2フォーム
- 自分のビジネスからのW-2フォーム
のいずれも同様に
「固定収入」
として扱ってくれます。
厳密には、自分のビジネスからのW-2フォームを使う場合は
Profit and Loss Statement(プロフィット アンド ロス ステートメント:損益計算書)
も提出が求められ、
「そのビジネスは順調に伸びているのか?」
「年間どれくらいの純利益があるのか?」
を査定して、数字的に十分であれば
「自分のビジネスからのW-2は有効」
と判断されるのです。
そこでもしも個人名義で融資を受け続けたい場合、勤め先からのW-2フォームによる天井を突き抜けていくには、
「自分のビジネスからのW-2フォームを使う」
とう方法が有効であり、かつ融資枠を青天井にしたいのであれば
「ビジネスを順調に伸ばす」
ことが絶対条件となります。
明日に続けます。
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