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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先だって
で木材価格が暴落した事実をお伝えしました。
市場の裏で起こっているこの資材バブル崩壊劇は、興味深いことにさほど表のニュースには出てきていないようです。
もともとLumber(木材)の記事などは話題性が乏しいのもあるのかもしれませんが、不動産市場にとってはかなり大きな出来事。
それでなくとも米国のみならずこの資材不足は世界的に問題になっており、日本も資材が不足している結果木材の代わりに鉄鋼を使わざるを得ず、けれども今度は鉄鋼の価格が高騰し始めていると聞きます。
その意味では本年5月からLumber(木材)の価格が暴落してパンデミック以前のレベルに戻りつつあるというのは喜ばしい話ですが、その一方で実際の市場から出ている疑問があります。
「木材の価格は下がったはずなのに、新築の価格が下がらないのはなぜですか?」
これはそのとおりで、市場裏では木材価格が大幅に下落している一方で新築の価格には昨年からの資材価格上昇の勢いが乗ったままになっています。
今の市場で何が起こっているのか、その詳細をみていきましょう。
Lumber(木材)価格が上昇した理由
最初に簡単におさらいになりますが、Lumber(木材)価格はパンデミック以降に劇的に価格が上昇してました。
アメリカやカナダのLumber(木材)市場では
board-feet(ボードフィート)
と呼ばれる単位が使われており、1 board-feet(ボードフィート)は
厚さ … 1 inch(インチ)
縦 … 1 feet(フィート)
横 … 1 feet(フィート)
で、その単位で数字の変化を見ると本年2021年5月3日に
1 board-feet(ボードフィート) = $1,686.00
を記録したのがピークでした。
想像してみてください。
1 feet(フィート)は人が一歩歩く程度の距離で
1 feet(フィート) = 30.48センチメートル
です。そして
1 inch(インチ) = 2.54センチメートル
ですから、
1 board-feet(ボードフィート)
というと30センチそこそこの正方形に高さが2.5センチ程度の木材。
この容積の木材で
$1,686.00 = 約186,394円
ですから、木材が相当な価格にまで上昇したことが分かります。
デベロッパーにしてみればその開発時の設計を
Square Feet(スクエアーフィート)
の単位で進めていきますが、この面積に比例して必要な資材価格が
2020年3月30日 … $264.10
から
2021年5月3日 … $1,686.00
へと、6倍以上に価格が上昇していたのです。
この6倍以上に値上がった資材価格をデベロッパーが吸収できるはずがなく、その分が新築価格にもスライドしていたのでした。
その後本年の5月からLumber(木材)市場では価格が大暴落して(というか正常に戻って)今月までに50%以上も価格が落ちています。
そうすると、
「新築の価格も落ち着きを戻すだろう」
と期待したいところですが実際には冒頭にお伝えした質問にある見方が正しく、卸値価格は下がりながらも肝心な新築物件価格は落ちる様子が見受けられません。
市場裏では資材価格が激落ちして仕入れ価格は下がりながらも、現場での小売価格では本年5月の価格から全く下がっていないのです(これ以上の上昇は見られないものの価格が下がるわけでもない)。
これはどういうことでしょうか。
需要の強さが価格を下支えしている
その答えは間違いなく
「物件に対する継続的な需要」
にあります。
それでなくとも本質的にアメリカ不動産業界においてはLumber(木材)を中心とする資材価格は
「天井にへばりつく」
という傾向は昔からあります。
どういうことかといえば、ここには時間軸で順番に
1.Lumber(木材)卸業者(木を切り落とし、製材にかける)
2.小売業者(卸業者から仕入れて市場に売りに出す)
3.デベロッパー(小売業者から購入して現場で使用する)
これらの3者が登場します。
そして昨年来のLumber(木材)の高騰は
「パンデミックの影響で製材(1)そのものができなくなった」
「いつもよりも資材の供給が圧倒的に不足する」
「けれどもゼロ金利政策が後押しして不動産市場は活況となり、需要が急激に上昇」
の式で、この
供給不足 ↔ 需要激増
この真逆の力学から
このように資材価格がスパイクしたのでした。
けれども今の問題は上記2の小売業者です。
価格が暴落した今、小売業者(2)が卸業者(1)から買い取る際の価格は劇的に下がっています。
どころがデベロッパー(3)に引き渡す小売業者の目線でみると
「資材の絶対数は未だに不足」
「在庫の維持費も上昇」
「人件費も上昇」
という条件の中にあり、何よりも
「資材に対する需要は変わらず堅調(3のデベロッパーはいよいよ資材を欲している)」
という状況にありますから、そうすると
「小売価格を天井にへばりつかせる」
のは商売の原理からも当然であり、小売業者にとっては
「資材の価格を下げる理由が見当たらない」
のです。
結果としてデベロッパー(3)は資材を昨年初頭のレベルで安く購入出来ない以上は
「物件価格を下げることは出来ない」
となるのは当然であり、すなわち構図としては
「デベロッパーが不当に儲けようとしている」
のではなく、市場のからくりとしては
「小売業者が価格を天井にへばりつかせている」
というのが実情です。
そこでこのベクトルを読み解くと、
⇛ 全米各地域市場の物件供給数が劇的に増える
⇛ モーゲージ金利が甚だ上昇する(一昔前に戻る)
この両方が同時に結構なレベルで起こらない限り需要がなくなることは考えにくく、その意味では新築の価格は良くて現状維持、大方はこのまま上昇していくのではないでしょうか。
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