昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本年最後のシリーズとして2021年のアメリカ不動産市場を振り返っていきます。
2021年の市場で特筆されるべきは、その異様な(いびつともいえる)価格の変化です。
昨日ご紹介した
こちらは1963年からの変化をグラフですが、ごく近年のみに縮めてみると
このように2020年3月にガクンと落ちたものの、それ以降は価格が上昇しはじめ、物件価格の中央値としては本年ついに40万ドル台に乗せています。
(注釈*上記はHUD(アメリカ合衆国住宅都市開発省)のデータベースを元にした統計グラフですが、民間企業の統計とは多少差があります。)
Redfin(レッドフィン)発表によると
- 2021年10月の米国住宅価格は昨年比で13.2%上昇
- 中央価格は$378,545
- 2021年10月の住宅販売実績は608,011戸
- 2020年10月の住宅販売実績よりも678,451戸減少
とのこと。
HUDとRedfinで中央価格の数字に差はあるようですが、総じていえば
⇒ 物件販売数は減少しつつある
⇒ けれども物件価格そのものは上昇し続けている
ということになります。
そこで
1.Interst(金利)
2.Demand and Supply(需要と供給)
3.Affordability(値ごろ感)
の三つの観点から、2022年の風向きを見ていきましょう。
まずは金利からです。
金利上昇の時期が早まる見込み
この点は多くの投資家が予想していたことですが、案の定、
「2022年の金利上昇は時期が早まる」
見込みのようです。
各メディアが報道するとおりですが、少し前までFED(連邦準備制度理事会)からは
「現在のインフレは一過性のもの」
という見解が、一転して
「現在のインフレは一過性とは限らない」
という趣旨の発表に変化。
米国で見受けられる物価上昇が決して一時的なものではないことを認め、来年2022年に3回の利上げを実施することを発表しました。
パウエル議長を始め理事会メンバーも最初から
「一過性のものじゃないよね」
と理解していたはずです。
およそ大人の都合で少しでも衝撃を抑える軟着陸を試みたものと予想しますが、いずれにせよこの年末に理事会として一過性のインフレではないことを認めたことになります。
そうするとタンカーの舵を動かす立場としては市場を引き締めなければなりませんから、パンデミック収束に伴い必須となっていた金利上昇を予定の2022年第四四半期から早めることになります。
ちなみにFED(連邦準備制度理事会)による
「金利を上げる(下げる)」
という報道がある時、その金利とはフェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)のことを指します。
フェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)は簡単にいえば、
「FRS加盟銀行間の貸し借り利息」
です。
米国の銀行はほぼ全てがFRS(Federal Reserve System:連邦準備制度)に加盟しています。
厳密にはFRS(連邦準備制度)に加盟せずとも銀行活動は出来ますが、実質は加盟しないと幅広い銀行業務は不可能です。
そしてFRS(連邦準備制度)に加盟する銀行はすべからく、連邦準備銀行(アメリカの中央銀行)に無利息の準備金(フェデラル・ファンド)を預けることが義務付けられています。
建前上は
「何かあった時の為のクッションを預けておきなさい」
というFRS(連邦準備制度)からの指導により、加盟銀行は強制的に一定額を預け入れているわけです。
ところがこの準備金が不足する時、加盟銀行としては「借金」をして準備金を用意しなくてはなりません。
興味深いことに、民間にお金を貸し出す銀行そのものが他行に借金をすることがあるのです。
そしてこの融資元は余剰の出ている別の加盟銀行になります。
この時にお金を借りる際のお互いの約束は「無担保」であり、また融資にあたる金利はFED(連邦準備制度理事会)により決定されることになります。
これがフェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)と呼ばれるものであり、パウエル議長を始めとする理事会が
「金利を上げる」
「金利を下げる」
と発言する時は、このフェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)のことを指しているわけです。
そこでこのフェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)の変化を見てみましょう。
上のグラフは1957年7月からのフェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)の変化です。
過去を見るとFED(連邦準備制度理事会)が急激に金利を上昇させた時期が2回あります。
1回目は米ドルの価値を金(ゴールド)から完全に外して金本位制が終了した後の急激なインフレの時期。
そして2回目はオイルショックの時期です。
このフェデラル・ファンド・レート(Federal Funds rate)の操作はFED(連邦準備制度理事会)にとって唯一の伝家の宝刀であり、いわばタンカーを操縦する舵のようなもの。
経済の波を見極めながら金利を上げたり下げたりを繰り返し、世の経済の混乱が起こらないように調整しているわけです。
この特徴を捉えながら、現在のモーゲージ金利について深堀してみましょう。
明日に続けます。
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