昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業不動産ローンについてお伝えしています。
数日に渡り商業レベルファイナンシングのほんの触りをお伝えしていますが、不動産投資におけるファイナンシングは商業物件(5戸以上)の購入時に必要不可欠なものです。
このあたりは数字が苦手な場合は尻込みしてしまう部分もあるかもしれませんが
自分基金を構築していく = お金に関する知識を高めていく
ですし、
お金に対するリスクコントロール力を高める = お金の心配がいらない人生を構築できる
となりやすいように思うのです。
良い借金の使い方を血と肉にしていくことでリスクコントロール力が高まり、それに応じて自分基金構築の安定度ははるかに高まってきます。
そしてアメリカ不動産投資に至っては、その金融知識を最も研ぎ澄まさねばならないのは間違いなく本シリーズでお伝えする
「商業不動産ローン」
と向き合う場面になると思います。
商業というからにはこれらはもちろん
- オフィスビル
- オフィスモール
- ショッピングモール
等の大型商業用物件の類であり、ここでお伝えする内容もそのまんまこれら商業用物件に適用されるルールと全く同じものです。
というよりも厳密にいえば、5戸以上の住居用物件であれば
「商業物件」
に定義されている為に融資審査も商業用のそれが適用されるわけで、
「5戸の最も小さい商業物件も、大型商業物件と同じルールに引っ張られてしまう」
という言い方の方が正しいかもしれません。
そこで商業不動産ローンについては本当に精査していくと結構難解なゾーンに入っていくことになります。
けれども最初はスクリーニングでプロジェクションの解明に2日かかったものが2回目は1日になり、更に数をこなしていくと数時間、そしてベテランになると1時間程度で精査完了等、数をこなせばこなすほどスピードは増していくものです。
本シリーズでお伝えする内容は商業不動産ローンのほんの一端になりますが、アメリカ不動産の上級編を垣間見る上でもう少しだけ踏み込んでみましょう。
本日も続けます。
商業物件の借金に問われるものは
少し前のシリーズで4戸までに適用される住居物件用の不動産ローン審査で
「借金の割合を43%以下に収める」
というルールについて触れました。
DTI(Debt to Income:収入に対する借金の割合)
が高ければ高いほど、金融機関にとっては
「この融資申請者にお金を貸すことはリスクが高い」
ことになります。
そこで最も安心できる収入リソースは会社からの給与となり、それを証明する為に過去2年間の
- タックスリターンの記録
- Form W-2
の提出が求められるわけです。
これを簡単に言えば、要は融資審査では
「借金を返済する資金はきちんと毎月確保されているのか?」
と言う懸念を払拭する必要があるわけで、ここが融資審査の全てといっても過言ではありません。
そして商業不動産ローンを組む場合もこの論点は全く同じであり、
「借金を返済する資金はきちんと毎月確保されているのか?」
という、商業ローンに対する借金返済能力が問われることになります。
ただし、住居用と商業用で違うのはまさにこの
「収入元」
です。
住居用の場合はオーナー居住物件であれ賃貸物件であれ、
「物件所有者の稼ぐ能力(安定した給与)」
が問われることになりますが、商業物件の場合はその目的が居住ではなくビジネスとしての使用です。
そうすると「そこで働く人々の給料」というわけにはいかず、あくまでも基準は
「その商業物件そのものが稼ぐ能力」
におかれることになります。
まさに商業物件とは商いをして富が生み出される物件のはずですから、その稼ぐ能力そのものが問われることになるのです。
そこで商業不動産ローンで審査する側が査定する際に必ずと言っていいほど使う指数があります。
それは
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:借金返済を賄える度合い)
です。
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)という指数
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)
とは一言でいえば
「借金返済を賄える度合い」
です。
様々な商業物件が多種多様な使われ方をする上で、その商業物件が稼ぎ出す収入結果には一つとして同じものがありません。
すなわち
- 借金の総額
- 毎月の返済総額
- 毎月の収入
これらの中で固定されているのは
- 借金の総額
- 毎月の返済総額(固定金利の場合)
のみであり、毎月の収入は変動する数字です。
そこで定められた返済額を毎月きっちり返済していく能力を推し量る指数が
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)
ということになります。
商業物件も大から小まで様々あり、規模感に差がある上でその数字に統一感は全くありません。
けれどもその幅が大きい数字を「割合」という数字に落とすことで、
「この割合なら借金返済能力のレベルはこれくらいだろう」
という、借り入れに対する返済能力を推し量ることが出来るようになります。
このDSCRはおよそ商業不動産であれば一様に適用される査定尺度であり、
- オフィスモール
- ショッピングモール
- オフィスビル
- 5戸以上の住居用物件
これら全てに一様に適用されるのです。
上記の4種類で数字の規模感は全く違いますし、特に
⇛ ショッピングモール
⇛ 5戸の住居用物件
これら2つにはその数字に雲泥の差があります。
けれども割合という尺度に落とし込まれたものであればそこに差はなく、
「融資基準を満たしているか」
が確実に査定できるわけです。
そこでこのDSCRは商業不動産ローンの借り入れに取り組む上で必ず目にする数字ですから、その概要について例を上げながら見ていきましょう。
明日に続けます。
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