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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業不動産ローンの審査過程で出てくる
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:借金返済を賄える度合い)
についてお伝えしています。
実に分かりやすいことに、商業物件の価値の測り方は
「この物件はどれだけ稼げるのか」
です。
通常の住居用物件の場合、特に一戸建ての場合はそもそもの目的が投資用ではなく
「この家で暮らす」
という目的ですから、価値を定めるのに稼ぐもなにもありません。
そこで住居物件のレベルであれば物件の価値判断基準は
「周囲の類似物件は間近でどれくらいの価格で取引されていたのか」
という、他の類似物件の取引実績と比較する方法が適切とされています。
そしてこの物件の価値を定める
住居用物件 ⇛ 比較接近法
商業用物件 ⇛ 収益性の査定
の違いはそのまま融資を組む際のローン審査の過程に受け継がれることになり、商業不動産ローンの審査でほぼ間違いなく使われる融資可否の判断基準の一つが
DSCR(借金返済を賄える度合い)
ということになります。
DSCRは金額の高に関わらず割合に落とし込まれた数字ですから、
⇛ ミリオン単位の収入がある物件
⇛ 十万ドルちょっとの収入がある物件
といった収入の規模に関わらず、平等な目線で
「この物件の収益性は十分だな」
「この物件はまずいかも」
と査定出来ることになるのです。
DSCRの詳細について、実例に近い数字をもって見ていきましょう。
本日も続けます。
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)の公式
まずはDSCRの言葉そのものをより正確に把握してみたいと思いますが、
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)
を直訳すると
Debt Service:一定期間の利子と元本の合計を返済するのに必要な現金
Coverage:カバー、賄うの意
Ratio:割合
です。
このDebt Serviceという言葉はアメリカ不動産金融では主に
「借金返済額を賄える現金」
のことを言います。
「この物件は借金をきちんと返済出来るか?」
を推し量るわけで、その公式は
英語:DSCR = NOI / Debt Service(Interest + Principal)
日本語:DSCR = 純収入 / (利息 + 元本)
です。
商習慣として世のあらゆる借金返済と同様に不動産ローンの返済もまた
「月に一度返済」
が基本となりますが、DSCRの場合は
「1年間の純収入を1年間の返済総額で割る」
ことで算出します。
そしてNOI(Net Operation Income:純収入)の公式は
NOI = Revenue - COE(Certain Operating Expense)
であり、総収入から運用にかかった実費を差し引いて算出します。
Revenue(総収入):家賃収入 + 駐車場代 + コインランドリー + その他
COE(総支出):管理費 + 固定資産税 + 保険料 + 修繕費用 + その他
これらの要素をもって1年間のCOEを
NOI = Revenue - COE
で算出するわけです。
そしてこのNOIこそが
- 返済前
- 税引前
の純収入であり、ここに残る現金で借金を返済していくことになります。
この返済力を推し量る割合がDSCRであり、その公式が
DSCR = NOI / Debt Service
なわけです。
どの程度の割合が許容範囲か?
そこでDSCRの許容範囲を結論から言えば、一般にアメリカ商業不動産ローンの世界では
「DSCRは1.25あれば十分」
とされています。
例えば年間を通しての成績が
NOI = $2,000,000(収入から支出を差し引いた残り)
あり、年間返済義務の総額が
Debt Service = $350,000(利息と元本一部を合わせた返済総額)
だったとしましょう。
この場合はDSCRの公式に当てはめると
DSCR = NOI / Debt Service = $2,000,000 / $350,000 = 5.71
と年間を通した借金総額に対して収入は5倍以上ありますから、
「この物件は十分に借金を返済出来る能力がある」
と見なされることになります。
あくまでも「この物件所有者は」ではなく「この物件は」と物件の収益性を見られるところがポイントです。
そして金額は小さくとも今度は5戸のマルチファミリー物件で
NOI = $36,000
Debt Service = $25,000
だった場合は
DSCR = NOI / Debt Service = $36,000 / $25,000 = 1.44
となり、1.25を超えていますから
「この物件は収益性十分」
と見なされるわけです。
総収入が2ミリオンの物件と5戸のマルチファミリーではあまりにも収益性の規模が違いますが、けれどもDSCRという割合の単位に落とし込むことで
「借金返済能力」
そのものは平等に推し量れることになります。
そしてDSCRの割合でほぼアウトになるだろうパターンは、ここまでの数字を見て分かると思いますが
「DSCRが1未満の時」
であり、1以下の割合であればまず審査を通らない可能性が高くなると思います。
もちろん
「フルリノベーションの関係で初年度は収益が見込めない」
「けれども2年目からはDSCRも抜群」
ということはあり得ますが、この場合はそれ事前に(過去の実績を知っている)融資元との関係性が出来ていなければ難しいものです。
かくして、住居用物件ローンの場合は
DTI(Debt to Income:収入に対する借金の割合)
という尺度が重要視されるのに対し、商業用物件ローンの場合は
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:借金返済を賄える度合い)
という尺度が重要視されることを覚えておきましょう。
明日に続けます。
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