こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業物件を選ぶ際の「事前調査」についてお伝えしています。
5戸以上の商業物件に分類されるマルチファミリー物件の場合、その取引は終始
「営利目的の取引」
を前提として全ての段取りを進めていく必要があります。
買主が暮らすことが目的の住居用物件とは根本的に考え方が違うことになり、融資元となる金融機関も融資審査においては
「この物件はどれくらい稼ぐ力があるのか」
に焦点が置かれることになります。
ちなみに、住居用物件の場合は価格査定は
「近隣の同種物件は間近でどれくらいの価値で取引されたか」
が基準となる為に、Underwriting(アンダーライティング)の段階で最も焦点がおかれるのは以前お伝えした
- 申込者の安定した収入
- DTI(Debt to income:収入に対する借金の割合)
等の要素です。
このことは4戸までの住居用物件を「投資用物件」として購入する時でも査定方法は同じであり、Underwriting(アンダーライティング)の基準は申込者の収入や借金の割合に焦点が当てられます。
けれどもここはあくまでも原則であり、住居用物件のパターンでは
「収入元は是が非でも申込者の収入しか見ない」
ということはなく、場合によっては
「投資用物件からの見込み家賃」
も査定対象にしてもらうことも可能です。
ここはローンオフィサーにも確認を取ったことなので間違いありませんが、住居用物件のUnderwriting(アンダーライティング)でも購入する物件の収益性を対象に査定することは少なくとも業界では許されていることになります。
これに対し、商業物件の場合はその査定は「収益性」一本に絞られてくるといっても過言ではありません。
そこでそのUnderwriting(アンダーライティング)で現れる通じがそのまま
「この物件に投資するべきか」
の基準になり、慣れてくると事前に行う自前のUnderwriting(アンダーライティング)でスクリーニングするだけでも
「この物件は自分の投資基準に見合う」
「このレベルなら融資審査は通過する可能性は高い」
等の感触を得ることが出来るようになります。
けれどもUnderwriting(アンダーライティング)にはそれなりの時間と労力を費やすことになりますから、無駄を省くためにも
- 地域性の基準
- 地域の成長率
- 物件の数字
を基準にした事前調査で事前スクリーニングを行うとよいと思うのです。
事前調査の2つ目から、本日も続けます。
地域の成長率

昨日お伝えした「地域性の基準」をクリアしていた場合、その次に詳細を見ておきたいのが
「地域の成長率」
です。
ここはざっくり言っても
「人口は増加傾向にあるのか」
「十分な雇用機会があり、その雇用機会は増える見込みか」
これらを押さえるだけでも十分です。
例えば、人口でいえば
「最低でもこれくらいの人口は欲しい」
という基準は自分の中に持つ必要があります。
ここはあくまでも佐藤個人の基準ですが、マルチファミリー物件の場合は
「人口は最低20万人」
は基準にしておきたいところです。
反対に
人口5千人
人口4万人
といった10万人に満たない人口となると、賃貸需要がやや心細くなってきます。
特に大都市圏から完全に離れており、砂漠に囲まれたほぼ周囲の都市と接点がないような離れ小島の街であればなおさらです。
人口の絶対数が少ないということはもちろん
「住に対する需要が少ない」
ということになりますから、不動産投資の場合は人口はそのまま賃貸物件のポテンシャルにつながることになります。
とはいえ、それでは基準とする20万人(佐藤の場合)に満たないからといってのっけから候補から外すべきかといえば、そんなこともありません。
もちろん事前調査する時点の絶対人口が大切なことには間違いありませんが、それ以上に重要なのは
「人口の伸び率」
だからです。
例えば人口が15万人の街だったとして、けれどもその人口の伸び率が毎年10%だったとすればどうでしょうか。
この場合、計算では4年後には人口は20万人に達することになります。
もちろんここまで極端ではなかったしても、確かな人口の伸び率があればそれこそ
「賃貸需要は伸び続ける」
わけですから、問題はないのです。
また人口の伸び率が近年継続して確認できるようであれば、それは
「その地域には人を引き付ける理由がある」
があることに他なりません。
そしてもしもそこに
「世界に名だたる企業が複数腰を据えている」
ということであれば、仮に人口が自分の最低基準に満たないとしてもキマリです。
そのような手堅い雇用環境が根付いている地域で目を見張る人口増加が続くようであれば、その人口増加はほぼ間違いなく順調に推移すると思います。
かくしてこの「地域の成長率」を調べる段階でもまだ物件そのものの精査には至っていませんが、いくら物件が良質であったとしても、ここまでにお伝えしたこととは反対に
- 人口が減少傾向
- 地元産業も衰退傾向
ということであれば、残念ながらこの地域への出資は避けなければならないことになります。
ここもまた、物件の運用パフォーマンス精査以前の事前調査が必要となる由縁です。
そしてここまでの
地域性の基準
地域の成長率
これら2つをクリアして、ようやく物件そのもののスクリーニングに入ることになります。
3つ目の「物件の数字」について、明日に続けます。
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