昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
自宅購入・運用から派生する控除項目についてお伝えしてきた総括です。
8つの項目
1.モーゲージの利息(Mortgage Interest)
2.ホームエクイティローン(Home Equity Loan Interest)の利息
3.ディスカウントポイント(Discount Points)
4.固定資産税(Property Taxes)
5.改築費用(Home Improvements)
6.ホームオフィス関連の支出(Home Office Expenses)
7.モーゲージ保険(Mortgage Insurance)
8.キャピタルゲイン(Capital Gains)
を見てきましたが、これらは全て自宅購入と保有期間中に控除対象とされ得る項目です。
これらの税制に今後も微調整が入る可能性はあるものの、投資ではなく自宅である以上は
「この全項目がパタッとなくなる」
という可能性は低いのではないでしょうか。
そこで自宅用物件を購入する際はこれらの控除項目も視野に入れた上で検討を進めると良いかと思います。
ちなみに物件購入のタイミングとなると、アメリカ不動産の歴史を見た時に
「物件購入は早い方が有利か、遅い方が有利か」
と問われれば、その答えは間違いなく
「早ければ早い方が有利」
であり、かつ
「安ければ安い方が有利」
です。
購入が早ければ早い方が有利な例の一つに、本シリーズでお伝えした「固定資産税の計上」があります。
具体例を挙げると、たびたび当ブログで言及する
ウォーレン・バフェット氏
は「オハマの賢人」として知られていますが、なぜオハマなのかといえばそのまんまバフェット氏の自宅が
ネブラスカ州オマハ市
に位置するからです。
このオハマ市にバフェット氏は自宅を所有していますが、実はバフェット氏、カリフォルニア州に最低でも
1970年代初期に購入した物件
1990年代中ごろに購入した物件
の2つは所有しています(本項の時点で売却されたかは不明です)。
例えば約20年前の記録を見ると
市場価値 | 固定資産税 | 税率 | |
1970代購入物件 | $4,000,000 | $2,264 | 0.06% |
1990代購入物件 | $2,000,000 | $12,002 | 0.60% |
オハマの自宅 | $500,000 | $14,401 | 2.88% |
この通り、なんと市場価値が最も高いはずの1970年代初期に購入した物件が最も安い固定資産税になっています。
実に1/8の価値のはずのオハマの自宅が7倍近い固定資産税を支払っているのです。
これはなぜかといえば、先だってご紹介したカリフォルニア州で1978年に可決された
Proposition 13(Prop 13:住民投票事項13)
に関係があります。
そのルールは
「固定資産税率の上限は1%まで」
「査定額は前年の2%を超えてはいけない」
でしたが、後者の条項内容により1970年代初期に購入した物件は
「物件市場価値は遥か2%以上で推移していくが、査定価値は2%以上は上がらない」
為に、過去約50年の間に市場価値と査定価値に大きく乖離が出来てしまったのです。
結果として後年購入したオハマの自宅の方が税率が遥かに高く、
1970年代に購入した市場価値$4M以上の物件
1990年代に購入した市場価値$2M以上の物件
の2つよりも固定資産税が高いことになります。
「そりゃあ、70年代に購入したのなら有利でしょう」
「でも今からでは手遅れでは」
と思われるでしょうか。
事実としては、数学的には
「Proposition 13(Prop 13:住民投票事項13)は現在も有効」
「今後も査定額は前年の2%を超えてはいけないルールは変わらない」
という条件下であれば少なくともカリフォルニア州では
「物件価値の上昇率が2%を下回らない限り、早めに購入した方が有利」
となるはずです。
もちろん過去と当時は状況が違い、
これだけ全米の物件価格がスパイクしてくると
「大暴落で価格は奈落の底に落ちるのでは」
そんな憶測もしたくなるものです。
そして実際に本年のみならず来年はより一層、全米の物件価格を押し下げる圧力は強まってくると思います。
ただし市場に出てくる物件そのものが減少している今、
需要の減少
供給の減少
この同じベクトルが続く以上は
「価格の下落は限定的」
になることも予想されるのです。
いずれにせよ、アメリカ不動産価格が上記のような軌道を見せる真因は
「米ドルが金(ゴールド)から外されたこと」
「米ドルの価値がインフレに伴って下がり続けること」
そして
「物件価値の推移は指数関数的にならざるを得ないこと」
という数学的な理由があります。
とどのつまり、極めて高い可能性で
「金融資本主義の最後の日まで指数関数的に物件価格は上昇し続ける(ドルの価値が下がり続ける)」
ことになりますから、その流れでいけばいよいよ
「価格の上げ下げは起こるにせよ、購入は早ければ早い方が有利」
「安ければ安い方が有利」
と言えると思います。
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