FSBO(For Sale By Owner:物件オーナー自身による売却)コンサルティング案件が増加中です。
・バイヤーエージェントの報酬はバイヤーからお支払い頂きたい
・自宅も自分で売却することでリスティングエージェントへの報酬をゼロにしたい
という方はこちらからご連絡ください。
コンサルティング料金は発生しますが、リスティングエージェント雇用よりは大幅に節約が可能です。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は
「アメリカ不動産市場に混乱を引き起こし得る内部要因」
としてシニア世代の売却について触れました。
アメリカでもまた本年からいよいよ生活者が体感するレベルでの物価高を経験していることは周知のとおりです。
食材を始めとする生活に直結するモノやサービスの価格が大きく上昇し始め、生活者の財布の中身を圧迫しつつあります。
ただし物価高が著しいことは事実ですが、それでも今の段階では物価高が原因で全米各地で混乱が起こるようなレベルではありません。
この点は「同時に給与も上がっている」ということもありますが、それよりも説得力のある事実は
「まだ貯蓄で余力がある」
ことです。
米国の貯蓄率は近年上昇傾向にあり、特にパンデミック以降に
Stimulus Checks(スティミュラス・チェック:政府支援による小切手)
が数回配布されたことで貯蓄率がさらに上昇した経緯がありました。
この時の貯蓄がある分、現在の物価高にもなんとか耐えられる世帯が多いわけです。
けれどもこの物価上昇に対する蓄えももってあと8ヶ月程度と試算されています。
そうすると今の物価高の勢いがこのまま続くのであれば、来年半ばあたりからは生活が苦しいと感じる人々がより増えてくることが予想されます。
そこで今の米国市民は実際にどれくらいの蓄えがあるのかを世代別に統計で見てみると
このように貯蓄額は見事に年代ごとに上昇する傾向にあります。
ただし気になるのはその貯蓄額の
Median(中央値)
Average(平均値)
の違いです。
例えば65歳以上のシニアの場合は
中央値:$87,700
平均:$280,000
と大きく違いがあります。
ということは
「一部の大きな貯蓄額が平均を引き上げている」
だけであり、ほとんどの人々の貯蓄額は$100,000にも満たないわけです。
そして本年7月時点の統計によると
「リアタイヤメントプランの401Kの中央値は$35,345」
という衝撃的な数字があります。
米国政府の後ろ盾て老後資金の準備を整えてきたはずの米国市民が
「ほとんど老後資金の準備できていない」
ことが明らかになっています。
賃貸市場への影響
そこで昨日からの流れで年代別の物件所有率を見てみましょう。
この通り、年代別に物件所有率を見ると65歳以上が最も多い割合となっています。
年齢が上昇するに連れて物件の所有率が上昇していくことはごく自然のように思いますが、
「それは過去の方が物件が安かったから当然」
かと言えばそうでもありません。
過去と今を比較すると不動産価格は大きく上昇したことは事実ですが、当時に
「Purchasing Power(購買力が低下した)」
ことも事実です。
昔と比べると$1の購買力はインフレと共に減少しつつあるわけで、加えて昔は現在と比べると給与が低い時代でした。
だからこそ今も昔も全く変わらない
「最近は家賃が高い」
「家は高くて購入できない」
という同じセリフを聞くわけです。
とはいえ
物件価格の上昇率
物価の上昇率
を比較した時に物件価格の方が若干伸び率が高いことは事実で、このジリジリ感の差は確かに世代間の所有率の差になったことも否めないように思います。
そこで話しを戻し目先の問題は
⇛ 老後の蓄えが十分ではないシニア世代が多いこと
⇛ パンデミック以降の一時的な政府支援による貯蓄も限界があること
です。
パンデミック以降にばらまかれたスティミュラスチェック(景気刺激政策の為の小切手)の恩恵に預かったのはシニア世代のみならず全米国市民ですが、今回の急激な物価上昇に耐え得る貯蓄は
「もってあと約8ヶ月」
との試算。
そうすると米国では物価が容赦なく上昇し続ける上で、来年には今の平均貯蓄額も大きく目減りしていく可能性もあることになります。
買い手市場では価格は急降下する
そこで私達が一つのシナリオとして先を読んでおきたいのは
「貯蓄が足りなくなったシニア世代が物件売却を決意する場合、何が起こるのか?」
というシュミレーションです。
米国で最も物件所有率が高いシニア世代が持ち家を売却した場合、どんな事態が想定されるのでしょうか。
この場合はシニア世代の動き以前に需要と供給の観点で市場を見ておく必要がありますが、ここまでの時点でアメリカ不動産市場は明らかに
「買い手市場」
へと変化しつつあります。
買い手市場ということは物件を売却したい売主にしてみれば
⇛ 買い手がつきにくい
⇛ 買い手がついても価格交渉で不利
⇛ 結果として望む通りの価格で売却できない
ということです。
余談ですがこの流れは予想ではなく、たった今も複数の方々を南カリフォルニア市場でご案内している立場だからこそ
「今の市場では完全に買主の方が立場が強い」
ことを体感していますし、このような時期にはバイヤーを案内するのは楽しいものですが反対に売る立場になるとかなり不利。
結果として、通常のサイクルに戻った今の冬の市場では
「徹底的に買い叩かれる」
可能性はかなり高いことになります。
けれども貯蓄が底をつくわけにはいかないシニア世代はどう判断するでしょうか。
売らざるを得ない場合、
「今年初めまでにエクイティは十分に積み上がった」
「今更大きく値引きしても相対的に損はしない」
という事情から、積極的に価格を下げるシニア世代も少なくないことが予想されます。
そうすると住居物件の価値は周辺地域の同等物件の売却実績に影響されるルールですから、
「あの家が値下げした」
「この家が値下げした」
「それに引っ張られて自分の物件価値も大きく下がった」
という価格の大幅な下落が起きかねないことになり、アメリカ不動産市場には決して小さくない影響を与えることになることも考えられます。
このシニア世代に関するシナリオの一つから繋げて、賃貸市場の動きも含めて見ていきましょう。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。