昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
一昨日から全米各地の賃貸市場の動きを確認しています。
当ブログでよく
「アメリカ不動産高ドル安」
という言葉を使いますが、過去数年のコロナ禍の時期もまた「アメリカ不動産高ドル安」を痛感した時期でした。
円との比較としてはたった今は
「円安ドル高」
のはずですが、その強いはずのドルが今でも
「アメリカ不動産高ドル安」
なのです。
基軸通貨としてのドルの立場はここ永劫に安泰とは言えないとはいえ、私たちが生きている間に米ドルが世界経済の中で完全にその地位を失うことはまず考えられません。
近年は日本人富裕層にも注目されている地域の一つにドバイがありますが、ドバイで使われている通貨はディルハムであり、そのディルハムは1998年以来
1ドル = 3.6725UAEディルハム
に固定されています。
ということはドバイを含むアラブ首長国連邦の経済は必然的にドルに連動しているわけで、この例を一つ上げるだけでもドル基軸はまだまだ世界経済に食い込んでいることが分かります。
そのドルに対し、アメリカ不動産は強いということです。
もちろんここからはアメリカ不動産価格も調整が見込まれますが、それでも家賃そのものは歴史的にみても2008年以降の大暴落の時期にすらその上昇率がほとんど変わっていません。
すなわちアメリカ不動産投資の強さはこの安定した家賃上昇にもその理由があり、だからこそアメリカ不動産投資は長期投資に向いているのです。
その賃貸市場の変化について、トップ100の地域の下位を見ていきましょう。
前年比家賃上昇率が高い市場 ~ 下位
大都市トップ100(2022年1月~9月) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
SANTA ANA,CA(カリフォルニア州サンタアナ) | 13% | 18% | 21% | 27% | 19% | 15% | 9% | 7% | 5% |
SEATTLE,WA(ワシントン州シアトル) | 24% | 24% | 24% | 25% | 20% | 21% | 16% | 13% | 5% |
LOS ANGELES,CA(カリフォルニア州ロサンゼルス) | 13% | 15% | 15% | 16% | 15% | 14% | 12% | 9% | 5% |
DENVER,CO(コロラド州デンバー) | 15% | 14% | 13% | 17% | 14% | 12% | 10% | 6% | 5% |
SAN FRANCISCO,CA(カリフォルニア州サンフランシスコ) | 13% | 13% | 13% | 12% | 9% | 9% | 5% | 4% | 5% |
OAKLAND,CA(カリフォルニア州オークランド) | 7% | 10% | 9% | 13% | 6% | 10% | 6% | 3% | 5% |
ATLANTA,GA(ジョージア州アトランタ) | 18% | 16% | 15% | 15% | 12% | 10% | 9% | 7% | 5% |
FORT WAYNE,IN(インディアナ州フォートウェイン) | 14% | 18% | 16% | 22% | 24% | 18% | 12% | 12% | 5% |
LAS VEGAS,NV(ネバダ州ラスベガス) | 26% | 24% | 27% | 27% | 20% | 16% | 12% | 8% | 4% |
PORTLAND,OR(オレゴン州ポートランド) | 15% | 16% | 14% | 16% | 11% | 11% | 7% | 7% | 4% |
CORPUS CHRISTI,TX(テキサス州コーパスクリスティ) | 6% | 3% | 5% | 6% | 8% | 6% | 5% | 7% | 4% |
ALBUQUERQUE,NM(ニューメキシコ州アルバカーキ) | 26% | 25% | 23% | 33% | 19% | 17% | 11% | 10% | 4% |
MESA,AZ(アリゾナ州メサ) | 27% | 26% | 27% | 25% | 17% | 14% | 6% | 5% | 4% |
SCOTTSDALE,AZ(アリゾナ州スコッツデール) | 19% | 11% | 9% | 5% | 8% | 7% | 9% | 5% | 4% |
PHOENIX,AZ(アリゾナ州フェニックス) | 27% | 26% | 25% | 24% | 18% | 15% | 8% | 4% | 3% |
CHESAPEAKE,VA(バージニア州チェサピーク) | 10% | 9% | 9% | 13% | 7% | 5% | 1% | 3% | 3% |
CHANDLER,AZ(アリゾナ州チャンドラー) | 21% | 20% | 24% | 20% | 15% | 10% | 8% | 5% | 3% |
SACRAMENTO,CA(カリフォルニア州サクラメント) | 22% | 18% | 16% | 19% | 16% | 15% | 8% | 5% | 2% |
BOISE,ID(インディアナ州ボイシ) | 33% | 29% | 26% | 27% | 18% | 14% | 7% | 5% | 2% |
MINNEAPOLIS,MN(ミネソタ州ミネアポリス) | 6% | 6% | 3% | 6% | 3% | 2% | 1% | 0% | -1% |
SAINT PAUL,MN(ミネソタ州セントポール) | 6% | 7% | 3% | 6% | 3% | -2% | -1% | -1% | -2% |
RENO,NV(ネバダ州リノ) | 15% | 17% | 14% | 18% | 12% | 12% | 3% | 0% | -3% |
SPOKANE,WA(ワシントン州スポケーン) | 22% | 22% | 19% | 28% | 20% | 15% | 8% | 7% | -6% |
上に並べたのは2022年9月度家賃の前年比上昇率が5%以下の地域です。
ここでも
カリフォルニア州
テキサス州
といった都市圏が目立ちますが、特に興味深いのは
- 多くの都市が本年3月時点まで家賃前年比上昇率20%を大きく超えていた
- 前年比上昇率30%に届く年も多かった
- けれども本年9月には5%以下に沈下している
という点です。
しかも
MINNEAPOLIS,MN(ミネソタ州ミネアポリス)
SAINT PAUL,MN(ミネソタ州セントポール)
RENO,NV(ネバダ州リノ)
SPOKANE,WA(ワシントン州スポケーン)
といった都市では9月の時点で家賃上昇率がマイナスに触れており、本年の落差が最も大きい市場は
BOISE,ID(インディアナ州ボイシ)
でした。
これらの地域では
「家賃上昇を期待したマイナスキャッシュフロースタートの投資はリスクが高い」
ということになり、しばらく様子を見る必要があることになります。
。。。
年末が近づくにあたり全米の家賃変化をざっくりと見てきましたが、総じて言えば来年2023年に向けても賃貸市場の家賃上昇率は下がり続けることは間違いありません。
最終的には家賃上昇率平均は正常値である
3 ~ 4%
に落ち着くことが予想されますがすでに現時点で上昇率がマイナスに触れている都市もあり、来年は賃貸市場もより注視していく必要がありそうです。
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