昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産市場に本年起こった大変化、
「買い手市場への変化」
を背景に来年2023年以降の市場の動きについて見立てています。
ここでいう見立てとはあくまでも
「物件価格の動き」
ですが、世に出回るすべての
- サービス
- 製品
と同様に、アメリカ不動産物件もまたその価格は需要と供給のバランスで決まっていきます。
そしてこの年末から顕著に見え始めた傾向が
「破格での売却劇」
です。
この傾向は全米で見え始めており、今の時期にどうしても売り抜けねばならない事情のある売主たちは
「明らかに今の市場では売りにくい」
「今の適正価格で市場に出すことは時間の無駄」
「先回りしてさらに価格を落とし、少しでも利確した方がマシ」
という考えに至りつつあり、結果として
3万ドル引き
5万ドル引き
10万ドル引き
という、昨年までは全く考えられなかったバーゲンが始まっているのです。
またこの点は当ブログでは繰り返しお伝えしてきた通りですが、経済サイクルの大底を前後して
1.価格が落ち始めた時期
2.大底の時期
3.価格が上向き始めた時期
この3つの中で買主目線ではいつが最も有利かといえば、それは間違いなく今現在の
「1.価格が落ち始めた時期」
です。
このことは憶測ではなく近年では
⇒ 2008年以降の不動産価格大暴落
⇒ 2020年以降のパンデミック直後の大暴落
この2つの時期で証明された通り。
たった今リアルタイムでお伝えする
「売れないものは売れない」
「破格にしないと売れない」
という時期は徹底的に買主の立場が強い時期ですから、取引に関わる全ての面において買主が有利なのです。
この流れは遅かれ早かれトレンドが
2.大底の時期
へと変化していきますが、その時にはどうなるでしょうか?
「今だ!」
と待ち構えていた投資家たちは一斉に市場になだれ込み、瞬く間に群雄割拠の様相が始まるのです。
そして需要が増えてくるとき、そこからは
「買い手市場への移行」
が始まり、買主にとっての購入条件は厳しくなってくるのです。
それならば今の
「多くの人々が戦々恐々と臆する時期」
に動き、
「先回りしてさらに価格を落とし少しでも利確した方が賢い」
と考える売主の心理を読み切ってさらに値下げを要求していくとよいと思います。
それが理由で私自身も今の時期に一戸建てを求めるクライアントの皆様方には普通に
「5万ドル値下げを要求しましょう」
「このポイントで攻めるとよいです」
と常識外れの数字を提示して、実際にバーゲン価格でのオファーを繰り返しています。
こうすることで仮に来年以降に価格がもう少し下がったとしても十分にクッションができると同時に、さらにその先の好景気時にはキャピタルゲインを享受することができるのです。
「そんな常識外れの値引き、佐藤はやりすぎじゃないか?」
と思われるでしょうか。
市場原理主義に基づいて、不動産価値とは
「売主と買主が合意した金額」
です。
その金額で売ってくれる以上、それが市場の答えなのです。
モーゲージ金利上昇が一服
そこで市場の話に戻りますが、金融のプロたちの間で
「2024年から2025年まで、全米の平均物件価格は落ち続けるだろう」
と予想する向きが強い中、その正反対に
「いや、2023年には落ち着いてむしろ価格はわずかながらも上昇し始める」
と予想する専門家たちもいます。
その答えを読み取る鍵は
- 需要の動き
- 供給の動き
にそれぞれ影響し得る因数は何なのか、またそれぞれの因数がどれほどのインパクトをもたらすのかです。
先を見通す技術は一面難しくもあり、けれども簡単とはいわずとも誰にでも先を見据えることができる神髄は
「大衆心理がどちらを向いているのか」
ですから、
「今が買い時と考える人々はわずか16%」
という今の事実だけを見ると需要激減により価格は落ちていくことが考えられます(ただし投資家としては動くべきは大衆が恐れる今)。
けれども価格上昇の原因にある理由の一つとしてまずは昨日上げた
「在庫の枯渇が続く」
「来年以降は新築数も大きく減少する」
という要素に同時に
「来年から平均価格は上昇すらし得る」
という予測に説得力を一つ加える事実に
「モーゲージ金利上昇の高止まり」
があります。
率直に、私(佐藤)自身は2020年から2021年までの動きを見たときに
「モーゲージ金利は1980年代初期のレベルにまでいくかも」
とすら思いました。
その可能性は完全には排除されていないものの、たった今の段階では投資用モーゲージ金利は7%台にとどまっているようす。
もちろんこれは昨年までの金利で考えると倍以上の高さですので誰もがしり込みするレベルですが、つい先日パウエル議長が発表した
「政策金利の上げ幅を縮小する」
との発言はかなりのインパクトがあるように思います。
もちろん上げ幅を縮小するというだけで利上げ傾向が続くことは間違いありませんが、
「今しばらく苦しい時期は続くにせよ、落ち着く兆しが見えてきた」
という中にあってはモーゲージ金利はこれ以上の過度な上昇は起こらない可能性も否定できないのです。
ちなみにこの点は過去の
MBA(Mortgage Bankers Association)
の予想を参考にすると、
このとおり数字こそズレがあるものの、
「2022年第4四半期のモーゲージ金利がピーク」
「2023年第1四半期からはモーゲージ金利は徐々に下がり始める」
との傾向そのものはピタリと的中しているようです。
もしもこのままMBAの見立てどおりに進むのなら
「モーゲージ金利は一服した」
この数字上の事実が大衆心理に訴えかけ、大なり小なりの需要増のきっかけになる可能性も否定できないかもしれません。
2023年の市場予想について明日に続けます。
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