昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
管理会社と付き合うにあたり、物件オーナーとして適切な指示が出来るようになるべく、最低限の知識についてお伝えしています。
ここでは特に通り一遍の知識というよりも、体験して始めて知ることになるコツのようなものです。
このあたりは正にAIには分かりようのない範囲であり、実体験からくる知識については文字通り実践を通して覚えるしかありません。
私たちの場合は自分で実践というよりも、プロパティマネージャーに代行頂く上で、けれどもいざ判断を仰がれた際には適切な指示を出せるようになっておくべきなのです。
そこで昨日はテナントスクリーニングの実践編としてちょっとしたコツをお伝えしていきましたが、今日は背景調査とクレジットチェックを実行する方法について、実践ベースで見ていきましょう。
本日も続けます。
背景調査とクレジットチェックを実行する方法
背景調査とクレジットチェックを実行するための基本的な手順をみていきましょう。
まずは
背景調査(Background Check)
クレジットチェック(Credit Check)
の違いからですが、背景調査(Background Check)ではテナントの
- 犯罪歴
- 立ち退き歴
- 詐欺や偽装
を調べます。
これに対しクレジットチェック(Credit Check)は、テナントによる請求書の支払いやローン返済能力を調べる作業です。
数年前、アメリカではテナントのクレジットチェック実施が困難かつ煩雑になる法律が成立しました。
以前は、どんな不動産オーナーでも応募者の情報を入力するだけでクレジットレポートを取得できたのですが、結構ハードルが高いのです。
結果として今では素人レベルには困難な作業になったため、信頼できる複数の会社を利用した方がよいと思います。
恐らく最も無難なのはTransUnionの「SmartMove」で、ここでは
⇒ 現場に出向いての調査は不要
⇒ 犯罪とクレジット履歴の両方を同時に提供
⇒ テナントがオンラインで申し込み、支払いが完了
⇒ テナントのレポートからの重要な情報が、オーナーに送信
⇒ 申請プロセスは不要で現場での調査も待ち時間もなし
という、背景調査(Background Check)とクレジットチェック(Credit Check)の双方に特化したサービスを提供しています。
ちなみにSmartMoveを通じて背景調査とクレジットチェックを実行するには、サービスにアカウントを設定するのみです。
そして物件情報と見込みテナントのメールアドレスを入力します。
テナント申込者はすぐにメールを受け取り、SmartMoveにアカウントを設定するよう促されます。
2分程度の作業ですが、ここで
- 名前
- 現在の住所
- 社会保障番号
などを入力する必要があります。
その後、クレジットカードでサービス料を支払いです。
この時は賃貸申込者ではなく、プロパティマネージャー側でサービスの費用を支払うことも可能です。
これらのプロセスで、すぐにテナントの情報が確認できるようになります。
テナントのクレジットレポートをチェックする方法
テナントのクレジットレポートには、テナントのクレジット履歴に関する豊富な情報が含まれます。
このレポートには
- 作成されたクレジットカード
- 口座を閉めたクレジットカード
- 車ローンの支払い
- 金銭的なトラブルに関する判決
- 遅延支払いの記録
等の詳細なリストが含まれます。
取り寄せる情報はかなりボリュームがある為、以下の項目に絞るとよいと思います。
クレジットスコア
あなたのスクリーニング基準に応じて、テナントの最低クレジットスコアを設定することができます。
その特定のスコアは、所在地やクライアントによって変えても全く問題ありません。
現在と以前の住所
テナントは、過去の住所を都合良く「忘れる」ことがよくあります。
そこでテナントが申請書に記載した住所がクレジットレポート上の住所と一致していることを確認するようにしましょう。
クレジットレポートにはすべての住所が含まれているとは限りませんが、リストされている住所は確認する必要があります。
賃貸申込者に住所を尋ねるか、或いはそれらの住所関するGoogle検索を行い、アパートの住所であればアパートに電話して、テナントがそこに住んだことがあるかどうかを確認できます。
公的記録
クレジットレポートのこの部分には、テナントに対して課せられた判決、つまり差し押さえや金銭請求の立ち退きなどがすべてリストされています。
*注意*
金銭請求のない立ち退きは含まれない為、金銭に起因しない立ち退き原因を見つけるには手順がやや複雑になります。
各州や郡には異なる方法がありますが、各郡で公開情報であるはずです。
テナントの名前、またはクレジットレポートに記載されている以前の住所のすべてを検索することができるはずです。
そこで「立ち退き」という言葉が含まれるケースを探してみます。
これにはなかなかの労力が必要で、ほとんどの不動産オーナーはクレジットレポートのみに結果に頼っていますが、奥まで調べた方がよいです。
また一つ前に賃貸していたオーナーと話をすることでもわかります。
お薦めする方針は立ち退きの記録があるテナントには絶対に貸さないことですが、一部の不動産オーナーは
「過去5年間に立ち退きがないこと」
といった、それ以上の過去を良しとする期限を設けています。
この手の個人的な裁量による判断は、その地域市場でのリスク許容度と賃貸需要に大きく依存するものです。
車の差し押さえ
車を差し押さえられたということは、テナントがお金をうまく扱えないことを暗示するものです。
車の差し押さえについて気づいた場合は、なぜなのかについて詳しく尋ね必要があります。
クレジットクリーニングを行う場合の注意点
アメリカ合衆国では、公正クレジット報告法という法律が存在し、次のように規定されています。
クレジットレポートまたは他の種類の消費者報告書を使用して、クレジット、保険、または雇用に関する申請を否認するため、または別の不利な措置を取るために使用する場合、そのことを(当人に)告知し、情報を提供した機関の名前、住所、電話番号を提供しなければならない。
(出典:連邦取引委員会規定より)
つまり、クレジット履歴をもって入居申し込みを拒否する場合、その理由を明らかにし、使用したクレジットレポート機関の名前、住所、電話番号を伝える必要があるのです。
。。。
ここにお伝えした点は実体験で学ぶべきことですが、クレジットレポートを確認する際は、ボリュームに惑わされずに上記のポイントを押さえるとよいと思います。
明日に続けます。
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