昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先だって、
⇒ 物件管理はプロのプロパティマネージャーに任せた方がよい
⇒ 任せるにしても、物件オーナーとしての判断は常々仰がれる
⇒ 適切な判断を下せるよう、最低限の知識はあった方がよい
という趣旨でお伝えし、その典型例としてテナントのスクリーニングの場面についてお伝えしました。
その際にお伝えしたスクリーニングテクニックについては地域市場毎に異なるものでもなく、いずれの地域市場でも共通して使えるスタンダードとも言える手法です。
- 東海岸・西海岸の大都市
- 中西部
- 南部
とそれぞれの地域市場毎に特徴はあれども、物件に暮らすのは同じ「人」である以上、そのスクリーニング手法に大きな差はないのです。
そこで今度は現場目線でそれこそ地域市場毎に差が出てくるだろう、賃貸市場の今について見ていきましょう。
賃貸市場の状況そのものはスクリーニングのような普遍的なテクニックとは違い、その地域市場の性格に大きく左右され得るものです。
自分が不動産投資を実践したい地域市場を選ぶとき、或いはすでに当地に投資物件を所有している時でも
「その地域市場の今」
を捉えておくことは大切なことです。
その一つの例として、今回は西海岸カリフォルニア州の賃貸市場について今を捉えてみます。
カリフォルニア州の場合、ロサンゼルスのような高級ライフスタイルの魅力からサンフランシスコのテクノロジーの中心地まで、魅力的な都市が数多く存在しています。
アメリカの中でもカリフォルニア州の家賃が全米で最も高いレベルにあると言われる所以です。
カリフォルニア州の不動産市場は
- テクノロジー
- エンターテインメント
- 農業
など、多岐にわたる産業を含む大規模で多様な経済を持つため、不動産投資家にとって重要な市場であり続けています。
この多種多様な吸引力から住宅需要が急増し、魅力的な賃貸収入と一貫した不動産価値の上昇が生まれやすいのがその特徴です。
結果として、今も昔も変わらずカリフォルニア州は非常に競争力のある不動産市場であり続けています。
マイナス点として、カリフォルニア州の不動産市場でプラスのキャッシュフローを実現するには、他州と比べると参入障壁が高い為に容易ではありません。
厳しい現実をいえば、カリフォルニア州の市場で最も成功するのは
既に不動産を所有している人
近年家を相続した人
十分な資本を持って借金を極小化できる人
です。
カリフォルニア市場の概要
そこでカリフォルニア州の賃貸料金については2021年の国勢調査データによると、家賃支払いの中央値は1,698ドルで49%の世帯が借家人でした。
ちなみに中央値や州全体の数字を見る場合、ブレントウッドのスタジオアパートメントからビバリーヒルズの高級邸宅まで、すべての数字が含まれることは念頭に置いておく必要があります。
市場価格は常に変動し、かつカリフォルニア州は広大な土地を持つからそこ、その内部には多様な地域があります。
カリフォルニア市場に関する最新の米国国勢調査データに基づく概要を簡単にみてみましょう。
人口:3924万人
年間世帯収入の中央値:84,907ドル
月額家賃の中央値:1,698ドル
月額世帯費用の中央値:1,810ドル
不動産税の年間中央値:5,151ドル
賃貸住宅の割合:49.1%
これらの数字はカリフォルニアの不動産市場の実情をそのまま反映しているかといえば、必ずしもそうではありません。
月額世帯費用の中央値は1,810ドルですが、実際には全世帯の42.6%が月額費用2,000ドル以上で、ほぼ20%が月額家賃3,000ドル以上になっています。
今の対日本円の為替でいえば、40%以上の家賃世帯が26万円以上の家賃を支払っているわけです。
ここから、国勢調査データを元にカリフォルニアのいくつかの主要な都市とトレンドデータを見てみましょう。
ロサンゼルス
ロサンゼルス郡の人口は980万人以上であり、ロサンゼルス都市圏には380万人以上が住んでいます。
世帯収入の中央値はカリフォルニア全体よりもわずかに低く76,367ドルで、中央値の家賃は1,653ドルです。
ロサンゼルスは需要が高い都市で、世帯の63%が賃貸住宅を占めていますが、不動産リスティングサイトによると2023年1月時点でのロサンゼルスの平均賃料は以下の通りです。
スタジオ:1,698ドル(前年比+10%)
1ベッドルーム:2,395ドル(前年比+7%)
2ベッドルーム:3,190ドル(前年比+7%)
3ベッドルーム:4,378ドル(前年比+4%)
4ベッドルーム:5,925ドル(変化なし)
ロサンゼルス市場では平均賃料が月3,885.92ドルになっています。
ロサンゼルス市場の都市はカリフォルニア州内でも高く、サンフランシスコのベイエリアよりも3%以上かつ、フロリダのマイアミの平均賃料よりも53%高くなっています。
このように賃貸市場でみても、カリフォルニア市場は常に全米の中でも花形でした。
けれどもカリフォルニア全体で家賃が上昇し続けているものの、光あれば必ず影があります。
近年では2020年から2022年にかけて、個人投資家の多くは家賃の凍結や立ち退き禁止措置によって苦しめられ、一部の地域では、人々がより手頃な住宅や広いスペースを求めて主要都市を離れたため、家賃が下がることすらありました。
ようやくパンデミックの影響が緩和され人々が都市に戻り始めると、賃貸市場はより定期的な季節変動に戻りつつあります。
実際、一戸建て住宅の賃料の成長が鈍化している一方でロサンゼルス近郊の家賃は前年比で上昇しているのです。
ここからカリフォルニア州内の他の主要地域の今も捉えておきましょう。
明日に続けます。
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