こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今年も4月となり、新卒が新社会人としてスタートする時期です。
誰だってそうだと思いますが、社会人駆け出しの頃は
- 初めての会社
- 初めての社会人経験
- 初めての仕事
等の初めてづくしで、多くの新卒が緊張の毎日です。
佐藤の場合、20代の熱量は決して低くなかったと思います。
どちらかと言えば熱量は高い方だったと思いますし、それなりに寝食を忘れて仕事に没頭していた20代でした。
特に営業的な動きでは、今考えると
「非常に暑苦しい(うざい)」
と思えるスタイルであったことを告白しておきます。
職種にもよると思いますが、商品を紹介する立場の者があまりにも鼻息が荒いとお客様は引いてしまうもの。
けれども駆け出しの頃は相手が受けるだろう感情に想いを馳せることが出来ず、〇〇の一つ覚えで
「元気さが最も大切!」
とばかりに内側から湧き出る想いを全面に表現し、目の前の相手にぶつけ続けていたのでした。
ある時など一生懸命に(一方的に)マシンガントークを展開していたところ、
「もう、いいですか?」
とすっかり呆れられてようやく我に返ったことも。
若気の至りといえばそうなのですが、若かりし佐藤は良かれと信じる感情をぶつけることしか知らない、世間知らずも甚だしい荒馬だったわけです。
感情もまた変数
それから30代になり、特に独立したあたりから
「物事、勢いを見せるだけではいけない」
ということに気づき始めます(遅すぎ)。
特にゼロからビジネスを立ち上げる段階では勢いは必要だと今でも思いますし、とりわけ起業するリーダーにとっては熱量は殊の外大切です。
けれども適切に言うなれば、熱量や勢いなるエネルギーは
「サービスを立ち上げる力」
に注がれるべきであり、
「100%の熱量をそのままお客様にぶつけることは、必ずしも正解ではない」
ように思います。
実のところお客様は「サービス」に対して対価を支払うものであり、熱量に対して対価を支払うわけではないからです。
もちろん接客する者の熱量から自然に溢れ出る笑顔や勢いに気分をよくし、お財布の紐を緩めることはあると思います。
⇒ 威勢のいい声で魚を売るおじさん
⇒ バーゲン価格を謳い文句に洋服売り場に立つ店員
⇒ 笑顔でハキハキ応えてくれるレジ打ちの店員さん
等、その仕事ぶりに嬉しくなる場面はいくらでもありますが、けれどもいずれの場合も接客が喜ばれるのは良質な商品を購入する後押しになればこそです。
⇒ 自分の勢いをぶつける
⇒ お客様の背中を押す
ここには体験しないと分からない、明らかな違いがあります。
更にいえば、その勢いの出し方も商品と客層によって大きく違ってくるはずです。
例えば不動産のような高額商品をもって、魚を売りさばくかのようにリアルターがガンガン迫ってきたとしたらどうでしょうか。
不動産のような高額商品の場合は勢いで気持ちよくしてお金を支払うということはありませんし、あってはならないことです。
働く立場では喜びをもって事に仕えることは素晴らしいことですが、そのやる気を解放する矛先はよく考える必要があります。
とどのつまりビジネスにおいては感情もまた変数であり、商売とは言わば変数のコントロールである以上、感情という変数を上手にコントロールする必要があるのではないでしょうか。
情熱の矛先はシステムに
そして不動産業において変数としての感情のコントロールは、30代以降からは私(佐藤)にとっての大きなテーマでした。
自分が導き出した答えが絶対解とは思いませんが、少なくとも佐藤の中で腹落ちしている、不動産業でぶつけるべき感情の矛先は
「お客様が心から安心して、アメリカ不動産売買を全うできるための安全なシステム」
です。
そもそもが
「アメリカで不動産物件を購入したい」
「アメリカで所有する物件を売却したい」
という時、お客様にとっては佐藤の感情(喜怒哀楽)は全くと言っていいほど関係ありません。
もちろん最初から最後まで気持ちよくお取引頂けるように、相応の「らしさ」で接しさせて頂くべきことは至極当たり前です。
けれどもその熱量を全開にするべきは、接客以上に安心できる売買システムの構築と改善に注がれるべき。
あたかも心地よいベルトコンベヤーに乗せられているかのような購入・売却体験が出来ればこそ、そこにお客様は安心感を覚えて頂けると思うのです。
- オファーで価格を決めるタイミング
- 契約書が送られてきたタイミング
- 交渉相手からの要求に返答するべきタイミング
- 物件調査の専門家から送られてきたレポートに目を通すタイミング
- クロージングに際し多額の資金を送金するタイミング
と、一回の取引の中でも
「これで大丈夫だろうか?」
と緊張してしまう場面は多々出てきます。
そんな時、痒い所に手が届くような安心するシステムがあったとしたら、そこに安心感をお持ちいただけるものです。
ポジティブな感情だけ放出を許可し、しかもその
- 熱量
- 放出する矛先
- タイミング
を常に調節する。
商売とは一面、感情という名の変数をコントロールするスポーツのように思います。