こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
カリフォルニア州市場のAffordability(手頃な価格性)を俯瞰しています。
カリフォルニア各地の物件価格に対するお手頃感を見ると同時に、昨日はロサンゼルス市場に注目してみました。
2023年第一四半期においては、平均的な物件を購入するのに必要とされる年収は
アメリカ市場平均 … $92,000
ロサンゼルス市場平均 … 178,400
でした。
本項の時点で対ドルの円は130円台ですが、仮に
$1 = 100円
だったとしても、上記の物件購入に求められる年収は、アメリカ市場平均でもかなり高いことが分かります。
もっぱら米国はインフレ社会であり、給与も相応に上昇し続けてきた経緯がありますので、日本のようにデフレが続いていた国の所得と比較することは出来ません。
それでも、それなりの年収がないことには米国で物件を所有することは難しい時期に入っていることは間違いないのです。
このAffordability(手頃な価格性)はそのまま、物件に対する目に見える需要に直接的に影響してきます。
Affordability(手頃な価格性)指数が低ければ低いほど需要は少なくなり(購入したくともできない)、反対にAffordability(手頃な価格性)指数が高いと需要は目に見えて多くなります。
その意味ではここまでに見たカリフォルニア州市場では
「物件購入は極めて厳しい」
ということが分かりますが、本シリーズの締めくくりとして、ここでは直接的に
「毎月の支払いの変化」
を捉えていきましょう。
本日のデータ元も、カリフォルニア州不動産協会からです。
月間PITI:ピーク時対現在

上のグラフはカリフォルニア州市場においてAffordability(手頃な価格性)指数が最も高かった時と、反対に最も低かった時のPITIの総額です。
PITIとは
Principal … 元金
Interest … 利息
Taxes … 固定資産税
Insurance … 保険
の合計で、およそ融資を受けて物件を購入する際に、物件オーナーが支払うことになるだろう項目を表しています。
毎月のモーゲージ、日本で言うところの住宅ローンは
Principal(元金)
Interest(利息)
の総和であり、毎月元金と利息の内訳は変化していくものの、支払い合計そのものは一定になります。
また
Taxes(固定資産税)
Insurance(保険)
のうち固定資産税は固定費であり、保険は融資を受ける場合は加入が義務付けられる為にやはり固定費です。
これらをそれぞれ12カ月で割ることで、1カ月の支払額を算出します。
この合計が
PITI(Principal:元金、Interest:利息、Taxes:固定資産税、Insurance:保険)
ということになります。
ちなみに融資を受ける場合は自分の物件に紐づいて生成された債権を有するモーゲージ会社に対して支払いを行うことになりますが、この支払額はそのままPITIの合計になっているはずです。
モーゲージ支払いというと何となく
Principal(元金)
Interest(利息)
の合計のみをイメージしてしまいますが、固定資産税と保険の支払いも回収するモーゲージ会社(債権回収会社)が集め、代理で支払いを行っているのです。
そこには
「代行しないと、物件オーナーは基本的に年に一回の固定資産税と保険の支払いを忘れる」
という前提があり、物件オーナーの為、というよりも債権回収者は自分の利益を守るために、
Taxes(固定資産税)
Insurance(保険)
も集めて支払いを代行しているのです。
そこでお財布を直撃するPITIはAffordability(手頃な価格性)指数が最も高かった時と最も低かった時とでは、上記のように大きな違いがあります。
全米平均ですら187.5%も高くなっており、カリフォルニア州市場に至っては200%を下回る市場は一つもないことがよく分かります。
たとえば一戸建ててあれば、カリフォルニア州平均としては2012年に購入した人々の平均PITIは$1,410であったところ、現在は$4,710という高さです。
月間PITI:昨年対現在

次に昨年と現在で比較すると、上記の表のようになっています。
昨年は未だコロナ禍とされていた時期ですが、その時と比較してもカリフォルニア市場ではほとんどの場合は20%以上の支払い増となっています。
ただし昨年比については全米平均の方が25%と最も高く、カリフォルニア州内では全米平均よりも支払い増はなかった結果です。
またサンフランシスコ市場においては6.1%程度の増加で、同市場はまさにピークを迎えていたことが分かりいます。
いずれにせよ一年間の差異として見ると
「カリフォルニア州内では物件を所有しにくくなった」
ということは明らかです。
すなわち結果として言えることは
⇒ カリフォルニア州の人口は減少している
⇒ それに伴い需要は減少傾向に
⇒ しかしながら物件購入は以前よりも難しい為に需要は伸び切らない
⇒ 結果として、物件価格が劇的に落ちることは考えにくい
と読み取るのが適切かもしれません。
その意味でも、カリフォルニア州内の物件を所有する方々は引き続き所有を継続した方が良いように思います。
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