昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本シリーズではアメリカ不動産投資を試みる日本人投資家がよく耳にするだろう、リビング・トラストについてお伝えしています。
昨日はリビング・トラストの種類について見てきましたが、大局を見て捉えておくべきはリビング・トラストには
Revocable Trust(可撤回トラスト)
Irrevocable Trust(不可撤回トラスト)
の2種類がある、ということです。
特にアメリカ国外から投資する方々の場合、リビング・トラストの使用を検討するとしたらその目的の多くは
「万が一の為のスムーズな相続」
ではないでしょうか。
ここまでに繰り返しお伝えした通り、(アメリカから見た外国人が)個人名義で所有していた場合、その万が一が起こった時に一番困るのは残される遺族です。
個人名義のままでは物件の所有権判断はほぼ確実に司法の手に委ねられることになり、遺族が正当な権利もつことを証明するには専門家の力を借りたとしても時間とお金がかかります。
けれども事前にリビング・トラストを整えて物件をトラスト名義に移すことで、そこからは本質的に
「自分ではなくトラストが所有する」
という形に変わりますから、言い換えると
「所有権としては自分の手を離れるけれども、生きている間は所有権を有するのと変わらない状態を保てる」
ことになるのです。
もちろんリビング・トラストを立てることは法律上の義務ではなく、あくまでも個人に委ねられるアメリカ不動産所有の方法の1つです。
けれどもそのもしもの場合に備えるとしたら、ストレスなくスムーズに相続する意味ではこれ以上のツールはないことになります。
リビング・トラストを活用できる場面
そこでここまでにリビング・トラストの性質と種類についてお伝えしてきましたが、その活用方法にはどのような場面が考えられるのでしょうか。
本シリーズの趣旨として、特にアメリカ国外に居住する方々がアメリカに不動産を所有する際の方法の一つとしてお伝えしてきましたが、不動産所有の方法はあくまでも活用パターンの1つにすぎません。
それ以外にも数多くの場面でリビング・トラストの活用方法が考えられますが、ここでは少しパターンを広げて、不動産所有の形態以外で考えられるリビング・トラストの活用に仕方について見ていきましょう。
あらゆるパターンを見ることで、視野を広げてリビング・トラスト活用方法の幅を広げることにもなると思います。
アメリカでビジネスを所有している
アメリカで自分のビジネスを所有している場合、そのビジネスの資産をトラスト名義に移すことでそれら資産を個人資産から取り除くことができます。
アメリカ不動産を所有する場合は前述のように
⇒ 名義を自分からトラストに移す(実質、トラストという第三者の所有になる)
⇒ けれども不動産から受ける利益はそのまま自分が得ることが出来る
という性質について述べましたが、これと全く同じことで自分のビジネスに活用する場合はビジネスで所有する資産を
⇒ 名義を自分からトラストに移す(実質、トラストという第三者の所有になる)
⇒ 会社投票権など、会社の運営契約に明記された権利をそのまま保持することができる
となります。
資産を個人的に守りつつ、ビジネスに絡む権利は何一つ失わずに維持できるのです。
複数の州に不動産を所有している
この点は
アメリカで暮らす一般市民 / ビザ保有者
アメリカ国外に暮らす投資家
のどちらにも言えることですが、アメリカで複数の州をまたいで物件を所有している場合はリビング・トラストを立て、トラスト名義で所有するのも一つの方法です。
この場合は何が有利かといえば、複数の州に不動産を所有している場合は仮に不動産資産に明確に言及している遺言があったとしても
「同州で作成された遺言が他州ではそのままでは使えない」
という場合があり得るからです。
この場合は物件が立地する他の州(リビング・トラストが立てられた州以外)で故人の遺言を適用させるには、補助的な遺言執行(または「二次遺言執行」)を実現させねばならない可能性があり、手続きが難しくなる可能性があります。
けれどもリビング・トラストを組んでトラスト名義にしていると、他州の不動産は複雑な手続きを経ることなく、ストレートにそのまま相続人に引き継がれるのです。
相続税を最小限に抑えたい
そしてこの点は多くの人々のとってのモチベーションになると思いますが、リビング・トラストの活用方法の一つ相続税の極小化があります。
具体的に数字を挙げると、2023年の連邦相続税免除額は$12.92ミリオンです(州によっては免除額が低い場合があります)。
不動産が取消不能信託に保持されている場合、相続税の額を減らすことができる可能性があります。
もちろん相続税を全く支払わなくてよいということはありませんが、仮にリビング・トラストを
Irrevocable Trust(不可撤回トラスト)
の区分で立てておくと、相続税が減額される可能性があります。
リビング・トラストにおいてはIrrevocable Trust(不可撤回トラスト)が資産を守る上で最強のタイプになりますが、実はIrrevocable Trust(不可撤回トラスト)は
「相続税を減額できる可能性がある」
という点でも優れているのです。
。。。
かくしてリビング・トラストの活用が検討できる場面は様々あります。
自分の資産保全にリビング・トラストを活用したい場合、詳しくは専門の弁護士にお尋ねください。
明日に続けます。
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