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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産権譲渡のキモとなるシステム、Deed(ディード)についてお伝えしています。
昨日はDeed(ディード)に関する
Delivery and Acceptance(デリバリー アンド アクセプタンス)
について触れましたが、Deed(ディード)そのものはその文書上で法的効力を発揮するべき条件を満たしたとしても、その紙のままの状態では譲渡されたことにはなりません。
あくまでもその法的効力を持つ文書が
Delivery(デリバリー、買主に運ばれて)
Acceptance(アクセプタンス、買主が受け入れた時)
の後に、不動産権が譲渡されたことになります。
そこで少し前に戻りますが、条件を揃えたDeed(ディード)は譲渡前に売主により
「はい、この文章内容でいいです。」
という第三者の前での承認行為が可能であり、この承認行為のことを
「Acknowledging(アクノレッジング、承認)」
といいます。
細かく言えば、Acknowledging(承認)とは、文書を実行した人(供与者)が、公証人の前で、実際にその文書に署名したことを宣言する行為です。
法的観点から大切なこととして、Deed(ディード)のような証書の類は公的機関に記録されるためにはAcknowledging(承認)が必要とされています。
そして一度Acknowledging(承認)されると、その証書は法廷で登場する場面があった時に
「現存する証拠」
として扱われることになります。
ちなみにここは正しく理解しておきたいところですが、法的には証書が有効であるため、または所有権を移転させるためには証書を承認または記録する必要はありません。
例えばAさんがBさんに対する譲渡を完了させたい時にDeed(ディード)を仕上げ、そのDeed(ディード)内容は法的に必要とされる条件を全て満たしているとします。
条件とは数日前にお伝えした
- Grantor Competent to Convery(譲渡者が譲渡能力を有すること)
- Adequate Description of the Property(対象物件資産が適切に記述されていること)
- Grantee Capable of Receiving(譲受者が譲受出来る状態にあること)
- Action Clause、Granting Clause(行動条項、譲渡条項が記述されていること)
- Proper Description of the Parties(関係者が適切に記述されていること)
- In Writing(書面形式であること)
- Grantor's Signature (Executed)(譲渡者の署名があること)
という条件のことです。
そして最後の条件にある通り、売主の署名が法的効力を発揮する条件になっており、言い換えるとこの段階で売主側の仕事は終わっています。
実際の不動産売買の流れではこの売主によるDeed(ディード)への署名はNotary(公証人)の前で行われますが、厳密にはDeed(ディード)が法的効力を発揮する為には公証署名は必要ではありません。
けれども
「公的機関に登記されるのであれば、Deed(ディード)は公証署名がなされねばならない」
とされている為に、全ての不動産取引において売主はクロージングに際しNotary(公証人)の前で署名を行うのです。
Recording(記録)
そして公証署名がなされたDeed(ディード)は役所に登記できることになりますが、前述のようにDeed(ディード)の法的効力そのものはすでに公証署名が行われた段階で発揮されており、
「役所への登記の目的は、Deed(ディード)の法的効力を発揮することではない」
ということは明確に認識しておきましょう。
反対の例として、アメリカ不動産において
「役所に登記しないと、その法的効力は発揮されない」
とされているのは
- Mechanic's liens(業者による留保権)
- Homestead exemptions(ホームステッド免除)
- Lis pendens(リス・ペンデンス、特定の不動産に関する訴訟が進行中であることを公に通知する法的な手続き)
- Abandonment of homestead(ホームステッドの放棄)
等に限られており、Deed(ディード)は登記前から法的効力を発揮している、ということになります。
Notice(ノティス、通知)の種類
そしてRecording(記録)に付随して知っておきたいのが
Notice(ノティス、通知)
です。
ここでのNotice(ノティス、通知)とは個人資産の権利を公に知らしめる体系のことであり、アメリカ不動産に関しては主に
- Actual Notice(実際の通知)
- Constructive Notice(法定通知/推定通知)
の二種類があります。
そして本項で話すDeed(ディード)の登記はこの二種類のうちに
Constructive Notice(法定通知/推定通知)
に相当し、この場合は法律に則って一般の人々が特定の事実や情報を知っていると推定される状態です。
ということは、実際にはその事実を知らなくても「法律的には知っている」ことになるわけで、Deed(ディード)を役所に登記した以上は
「いや、公的機関の役所で登記したのですから、この物件は私の所有であることを誰もが知っていることになりますよね?」
という解釈になるのです。
かくして、アメリカにおける不動産権譲渡は
1.条件を満たしたDeed(ディード)が完成した時点で法的効力を発揮し、買主が受け入れた時点で譲渡完了
2.しかしながら役所に登記するためにはDeed(ディード)完成直前の売主による署名は、Notary(公証人)の前で署名がなされる必要がある
3.公証署名が完了したDeed(ディード)が登記された段階で「Constructive Notice(法定通知/推定通知)」となり、その所有が万人に知らされたものと見なされる
という過程と結果が伴うことになります。
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