昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産の価値を推し量る手法として
比較方式(Comparative Market Analysis, CMA)
収益還元法(Income Capitalization Approach)
原価方式(Cost Approach)
の中の二番目、収益還元法についてお伝えしています。
昨日、冒頭で私(佐藤)個人の意見として
「アメリカ不動産は株よりもいい」
とお伝えしました。
米国株についてもそれなりに(ほんの微々たる)投資と勉強を続けていますが、正直なところ、米国株を実践しながら学べば学ほど
「アメリカ不動産の方が安心度が遥かに高く、実績を遥かに出しやすい」
と感じているのです。
少しだけ深掘りして話すと、不動産投資は家賃収入など定期的な現金収入の提供が可能であり、この点は通常、株式の配当収入よりも高い傾向にあります。
もちろん配当株の場合は10年後、15年後に結構なキャッシュフローを生み出す可能性もありますが、果たしてその会社が10年後、15年後に全く同じレベルの配当を続けているかも分からず、それどころか定期配当を継続しているかも道です。
不動産の場合は現物がそこにあり、大火事で全焼でもしない限り、紙くずになるということはありません。
また、減価償却や経費の控除といった税制面の利点を活用することで、不動産投資の利益を効果的に増加させることができます。
さらに、不動産価格は一般にインフレに伴い上昇するため、インフレヘッジとしての機能も備えています。
これに対し株式市場はインフレの影響を受けやすく、短期的な価格変動が生じることがあります。
加えて、不動産投資では物件の改善や管理により価値を自ら高めることができるのに対し、株式投資では投資家が企業経営に直接的な影響を及ぼすことは難しく、市場の動向に左右されることが多いのです。
。。。
もちろんここで米国株をこき下ろす意図は皆無で、私自身も勉強用に、(ほんのちょびっとだけ)米国株を保有しています。
何ら株式投資を否定するものではなく、それどころか日本株など、今から10年後にはとんでもないことになっているのではないでしょうか。
それでも、やはり私(佐藤)にとっては我田引水でもなんでもなく、純粋にアメリカ不動産が安心できるのです。
そこでアメリカ不動産の価値を推し量る手法の一つ、収益還元法(Income Capitalization Approach)について、昨日の続きで支出面の考慮を見ていきましょう。
純運営収入(NOI: Net Operating Income)の計算
純運営収入の計算は、不動産の収益還元法において中核的な部分を成します。
このステップでは、効果的総収入から運営に必要な費用を差し引いて、不動産が実際に生み出す純収益を求めます。
ここでいう運営費用には
物件の日々の管理
維持修繕
保険
税金などが含まれますが、これには資本支出(大規模な修繕や改善投資など)は含まれません。
例えば、あるオフィスビルが年間の効果的総収入として200万ドルを生み出すとしましょう。
この物件の年間運営費用が60万ドルであれば、200万ドルから60万ドルを差し引いた140万ドルが純運営収入となります。
この計算は不動産の収益性を判断するうえで非常に重要であり、物件が投資家にとってどれだけ収益性があるかを示す指標となります。
純運営収入は、単に収入から運営費用を差し引くだけではなく、物件の運営実績や市場条件を深く理解することが求められます。
市場の変動や物件の状態の変化が直接運営費用に影響を与えるため、これらの要因を適切に考慮することが重要です。
また、物件の種類や位置、競合状況に応じて、運営費用は大きく異なる場合があります。
この純運営収入は、その後の資本化率の選定や最終的な不動産価値の算出に直接関わるため、不動産の価値評価プロセスにおいて不可欠な要素です。
実際の運営費用を慎重に分析し、正確な純運営収入の計算を行うことが、不動産投資の成功にとって極めて重要なわけです。
資産価値の算出
そしていよいよ、収益還元法による価値の算出です。
不動産の資産価値の算出は、収益還元法の最終段階であり、このプロセスでは不動産の市場価値を決定します。
これを行うためには、まず純運営収入(NOI)と資本化率(Cap Rate)を用います。
純運営収入は先に計算された不動産の年間収益であり、資本化率はその不動産に投資した際の期待されるリターン率を示します。
資本化率の選定は、物件の種類や立地、市場の状況、そしてリスクの度合いに応じて変わります。
たとえば、リスクが低いと見なされる不動産では低い資本化率が適用され、高リスクの物件ではより高い資本化率が用いられます。
この資本化率は、同様の特性を持つ他の物件の売買情報や市場データを基にして慎重に選定されます。
資産価値の算出は、純運営収入を資本化率で割ることによって行われます。
たとえば、年間の純運営収入が100万ドルで、資本化率が10%の物件の場合、100万ドルを0.10(10%)で割ることで、その物件の資産価値は1000万ドルと算出されます。
$10,000,000($1,000,000 / 10%)
この計算により、投資家がその不動産に投資した際に期待できるリターンを基にした市場価値の推定できるのです。
この方法は、特に長期的に安定した収益を生み出すことが期待される不動産に適しています。
市場の動向や経済の変化に敏感であり、適切な資本化率の選定と正確な純運営収入の計算が不可欠です。
結果として収益還元法からはじき出されるこの数値は、不動産の価値を理解し、購入、販売、または投資の意思決定を行う際の重要な指標となるのです。
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